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茶色と白と黒の毛の犬が高脂血症になりぐったりと這いつくばっている
健康管理 / 病気
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2022.01.06

犬の高脂血症はどんな病気?原因・予防・治療方法を解説【獣医師監修】

「沈黙の殺し屋」とも言われる生活習慣病。その中のひとつである「高脂血症」は犬にとっても注意しておきたい病気です。犬が高脂血症になると、どんな症状が出るのだろう?治療は大変なの?予防法が知りたい!と、いろいろと気になる飼い主は多いのではないでしょうか。
ここでは、そんな高脂血症の原因、予防方法、治療方法などについてご解説していきます。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:ルエス 杏鈴/犬訓練士)

犬の高脂血症ってどんな病気?

クリーム色の毛の犬が高脂血症になり動物病院で診察を受けている

高脂血症とは血液中のコレステロールとトリグリセリド(中性脂肪)のどちらか一方、または両方が増加して濃度が高い状態のことです。

食後10時間以内であれば高脂血症の状態にあるのは生理的に普通のことなのですが、食後12時間をあけても数値が高いままの状態であれば高脂血症と診断されます。

初期症状とチェック項目

犬の高脂血症はほとんど症状がなく、定期的な健康診断や、他の病気の治療や診断の際に発見される場合がほとんです。場合によっては食欲低下、嘔吐、多飲多尿などの症状を発症する場合もありますが、症状を発症して高脂血症と診断されるケースは稀です。

他の犬や人にうつる?

高脂血症は他の犬や人にうつりません。しかし、生活習慣が原因で発症した場合は、同居犬もその同じ生活習慣だと、高脂血症になってしまう可能性も高くなってしまうので、生活習慣の見直しをしましょう。

犬が高脂血症になる原因4つ

ベージュと黒の毛の犬がフローリングの上で伏せをしている

犬が高脂血症になる原因は主に4つあります。ここでは、その原因やなりやすい犬種について詳しく見ていきましょう。

遺伝や先天的な異常

遺伝や先天的な異常が原因で高脂血症を発症してしまう犬がいます。このように、先天的な原因がある場合は予防が難しく、根本的に治療をすることが困難なので、継続的な投薬が必要になる場合があります。

他の病気に続発

クッシング症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症、閉塞性肝障害に続発して高脂血症になることもあります。この場合は原因になっている病気の治療がはじめのステップです。

生活習慣やストレス

運動不足、食事の栄養バランスの偏り、ストレスなどが原因で高脂血症になる場合もあります。特に、人間の食べ物を与えていたり、犬が肥満体型の場合は特に要注意です。

投薬の副作用

性ホルモン製剤ステロイドを投薬していると、そこから高脂血症が引き起こされる場合があります。しかし、投薬をしている場合は何らかの理由があるので、自分の判断で投薬を中断したりはしないようにしましょう。

かかりやすい犬種や年齢は?

高脂血症は、ドーベルマンロットワイラーミニチュアシュナウザーシェットランドシープドッグが特になりやすい傾向があります。

また、クッシング症候群や糖尿病などの持病持ちの犬やストロイドなどを投薬中の犬も高脂血症を併発する可能性があるので、心配な場合は獣医師に相談しましょう。

犬の高脂血症の治療法

茶色と白の毛の犬が高脂血症になりぐったりと這いつくばっている

犬の高脂血症は基礎疾患を直したり、食事中の脂質を制限する食事療法で治療する場合がほとんどです。しかし、これらの治療を行っても改善が見られない場合は、抗脂質作用のある薬の投薬により、治療を行います。

治療にかかる費用

基礎疾患の治療や生活習慣の改善により、高脂血症を治療する場合は特に治療費は必要ありません。投薬によって治療を行う場合は3,000~20,000円程度の治療費がかかります。

しかし、犬の体重や治療の期間によってはこの金額を上回る場合もあるので、事前に獣医師に大体の見積もりをお願いするのがおすすめです。

犬の高脂血症の予防法

ベージュの毛の犬が高脂血症になり獣医師が聴診器を当てている

高脂血症は、犬に適度な運動をさせて、栄養バランスの取れた食事を与えることが一番の予防法です。また、強肝作用のあるサプリメントや抗酸化物質も適量であれば予防になります。しかし、サプリメントなどを与える場合は事前に必ず獣医師に相談するようにしましょう。

先天的になりやすい犬種は予防していても発症しやすい傾向があるので、こまめな健康診断を心がけ、早期発見することが大切です。

再発する可能性

しっかりと治療をして数値が正常値に戻っても、生活習慣の乱れやステロイドの投薬の再開などにより、犬の高脂血症が再発する可能性は十分にあります。生活習慣が原因で再発するのを防ぐため、数値が正常値になってからも適度な運動と食事の栄養バランスを維持しましょう。

犬の高脂血症との向き合い方

茶色の毛と白の毛に黒の斑点がある犬が高脂血症になりベッドの上で寝転んでいる

犬の高脂血症は症状を発症することが少なく、日常にあまり支障をきたささないため、気づかずに診断されないケースが多いです。
しかし、症状がないとはいえ、血液に異常が起きていることには違いないので、愛犬の体調を日頃からよく観察し、早期発見できるようにしましょう。

放置して重症化した場合、急性膵炎や眼科疾患などが誘発されることが示唆されています。
また、適度な運動や低脂肪、高繊維食を用いたりカロリー管理を徹底するなど栄養バランスの取れた食事を心がけ、可能な限りで予防に取り組むことも大切です。

参考文献
  • 更新日:

    2022.01.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。