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茶色の毛の犬が胆嚢粘液嚢腫になり動物病院を受診している
健康管理 / 病気
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2022.01.13

犬の胆嚢粘液嚢腫とは?健康診断で早期発見をめざそう【獣医師監修】

みなさんは、犬の「胆嚢粘液嚢腫」という病気をご存じでしょうか?あまり聞きなれない病気だと思いますが、近年の画像診断技術の向上によって広く認識されるようになった、比較的新しい病気なのです。
今回は、胆嚢粘液嚢腫の症状や治療法、またかかりやすい犬種などを詳しく解説していきます。早期発見が重要な病気なので、ぜひ飼い主のみなさんも病気の知識を蓄えて、愛犬の健康維持に役立てましょう。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:Qt/家庭犬トレーナー)

犬の胆嚢粘液嚢腫ってどんな病気?

茶色の毛の犬が胆嚢粘液嚢腫になりベッドの上でぐったりとしている

「胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)」というなんだか難しそうな病名ですが、簡単に説明すると、胆嚢にネバネバした粘液状の物質が溜まってしまい、本来胆嚢から送り出されるはずの胆汁の排出を阻害してしまう病気です。

胆汁が排出されないと、肝障害を併発し黄疸の症状が出たり、胆嚢炎や胆嚢破裂といった病気を引き起こしてしまうこともあるため、早期発見が非常に重要です。

初期症状とチェック項目

胆嚢粘液嚢腫の恐ろしいところは、初期段階での自覚症状がほとんどないというところです。そのため、初期で見つかる場合は、健康診断で見つかることがほとんどで、愛犬に症状があらわれた時にはもうすでに重篤化してしまっているという恐ろしい病気でもあります。

自覚症状の一例は下記の通りです。

  • 食欲不振
  • 嘔吐を繰り返す
  • 黄疸が出る(白目や皮膚が黄色くなり、尿は濃いオレンジ色になる)

他の犬や人にうつる?

胆嚢粘液嚢腫は感染症ではないため、他の犬や人にうつる危険性はありません

犬が胆嚢粘液嚢腫になる原因2つ

ベージュの毛の犬が胆嚢粘液嚢腫になり這いつくばって眠っている

比較的新しい病気ということもあり、胆嚢粘液嚢腫の明確な原因はまだわかっていないというのが現状ですが、可能性として考えられているのは下記のとおりです。

甲状腺機能異常や脂質代謝異常

甲状腺機能の低下や、高コレステロールなど高脂血症を生じる脂質代謝異常などの基礎疾患のあるコは、胆嚢粘液嚢腫を引き起こしやすいと言われています。そのため、愛犬を肥満にさせないことや、低カロリー高タンパクのフードを心がけることなどが重要です。

また、胆石や胆泥などが存在すると胆嚢粘液嚢腫が誘発されることがあります。

好発犬種がある

胆嚢粘液嚢腫の原因はまだわかっていませんが、かかりやすい犬種がいるということがわかってきました。下記で詳しくご紹介します。

かかりやすい犬種や年齢は?

かかりやすい犬種として、チワワポメラニアンコッカースパニエルミニチュアシュナウザーシェットランドシープドッグシーズーなどの小型犬が挙げられます。

また、若い年齢でも発症例はありますが、10歳以上のシニア犬の発症が比較的多く見られるようです。

犬の胆嚢粘液嚢腫の治療法

ベージュの毛の犬が胆嚢粘液嚢腫になり獣医師が聴診器を当てて診察している

自覚症状がなく、健康診断などで初期段階で発見された場合は、利胆剤や抗菌薬などの投薬治療や点滴で治ることもあります。ですが、重症化してしまうと外科手術が必要になり、その多くは胆嚢摘出手術になります。

病気に気づかず症状が進んでしまうと、最終的には胆嚢破裂を引き起こし、その場合には腹膜炎により命の危険も伴います。破裂する前に手術をおこなうことが重要ですが、投薬などで回復する場合もあるため、手術のタイミングの判断が非常に難しい病気でもあります。

治療にかかる費用

症状の程度や治療方法によって費用は大きく変わってきますが、胆嚢摘出手術をおこなう場合の費用はおよそ20万~30万円ほどと言われています。

その他、検査費用や入院費なども別途かかることもあるので、最低でもこれくらいという認識をしておいた方がいいかもしれません。

犬の胆嚢粘液嚢腫の予防法

茶色の毛の犬がアスファルトの地面の上に立っている

胆嚢粘液嚢腫は正確な原因がわかっていないことから、残念ながら、今のところ効果的な予防法はありません。ほかの病気の予防と同様に、肥満にならないよう体重管理をしたり、適度な運動をさせたり、日ごろから愛犬をよく観察し、なにか異常があったらすぐに気づけるようにしておくことが大切です。

再発する可能性

手術で胆嚢を摘出してしまえば、その後再発することはありません。ですが、手術をせずに投薬や点滴などで経過観察する場合には、一度改善した症状が悪化してしまうこともあるため注意が必要です。

犬の胆嚢粘液嚢腫との向き合い方

茶色の毛の犬が芝生の上に立っていて口を開けている

犬の胆嚢粘液嚢腫は、自覚症状がないため早期発見が難しい病気です。そのため、わたしたち飼い主ができることは、愛犬に定期的な健康診断を受けさせること。早期発見ができれば、その後の治療の選択肢も増え、愛犬にかかる負担も減らせるかもしれません。

大切な愛犬の健康寿命をのばすため、若いうちは年に1回、シニアになったら半年に1回の定期健診を積極的に受診しましょう。

参考文献
  • 更新日:

    2022.01.13

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。