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グレーの毛の犬が草むらの上を走っている
健康管理 / 病気
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2022.01.12

巨大食道症になる犬の特徴とは。治療法や予防法についても解説【獣医師監修】

犬の巨大食道症という病気をご存知でしょうか?巨大食道症の犬は繰り返し吐くので、食べ物を消化できず栄養失調になって痩せたり、誤嚥により肺炎を引き起こします。放っておくと命に関わることもあるので、早期に動物病院を受診することが大切です。
ここでは、犬の巨大食道症とはどのような病気なのか、原因や治療法についてご紹介します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬の巨大食道症ってどんな病気?

巨大食道症の茶色の毛の犬が眠っている

犬の巨大食道症は、何らかの理由で犬の食道が広がってしまい、食道の働きが低下することにより食べ物や水、唾液などが胃まで運ばれずに食道にたまってしまう病気です。

人の場合は直立すると口から食道、胃が地面に対して垂直ですが、犬の場合は四肢歩行で食道が地面に対して平行になっているため、この病気の症状が強く現れて問題になります。

初期症状とチェック項目

食道内の未消化物を吐き出す吐出(としゅつ)が見られるのが特徴です。食後、比較的短時間で吐き出しますが、数時間で吐出することもあり、その頻度は犬によって様々です。

吐き続けると栄養が取れず衰弱し、体重減少や脱水が見られます。また、吐いたものが誤って肺の方に入ってしまい、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすことがよくあります。誤嚥性肺炎になると呼吸困難や咳、発熱などの症状がみられ、命を落とすこともあります。

他の犬や人にうつる?

犬の巨大食道症は、食道が拡張し運動性が低下する病気であり、感染症ではないので他の犬や人にうつる心配はありません。

犬が巨大食道症になる原因2つ

巨大食道症の黒と茶色の毛の犬が地面に伏せをしている

犬が巨大食道症になる原因は、生まれつきである先天性のものと、生まれた後に何らかの原因によって巨大食道症になる後天性のものに分けられます。

原因【1】先天性のもの

先天性の巨大食道症の原因は、いまだ完全には解明されていませんが、食道周辺にある神経の欠損や異常により発症するといわれています。先天性では自然に回復する例もあるようですが、長引くこともあるので動物病院できちんと診察を受けておきましょう。

原因【2】後天性のもの

後天性の巨大食道症の原因としては、神経や筋肉の疾患やホルモン異常、食道部分の腫瘍によるものなどが考えられています。

具体的な病名としては重症筋無力症、多発性筋炎、全身性紅斑性狼瘡(ぜんしんせいこうはんせいろうそう)、全身性エリテマトーデス、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能低下症、胸腺腫、鉛中毒といった様々な病気が基礎疾患として挙げられますが、実際には多くが原因不明の特発性であると言われています。

かかりやすい犬種や年齢は?

先天性巨大食道症は1歳頃までに診断されることが多く、後天性の場合は様々です。

先天性の巨大食道症が疑われる犬種として、ジャーマン・シェパードミニチュア・シュナウザーワイヤーヘアード・フォックステリアアイリッシュ・セッターグレート・デーンラブラドール・レトリーバーなどが挙げられます。

犬の巨大食道症の治療法

巨大食道症のクリーム色の毛の犬が頭から毛布を被って這いつくばっている

原因となる病気が特定できている場合には、その治療を行うことで改善が期待できます。しかし、犬の巨大食道症の多くは特発性であり、現在のところ食道拡張を改善させるために有効な治療法が見つかっていないため、症状を緩和するための対症療法が行われます。

食事は立った姿勢で食べさせ、食後その姿勢を15~30分くらい保持したり、流動食などその犬に最適な食事の形状を探して与えるなどの工夫が必要です。

その他、食道炎や肺炎を起こしている場合には、抗生物質の投与などの内科的治療が行われます。

治療にかかる費用

犬の巨大食道症の検査では一般的に、X線検査(造影検査を含む)をはじめ、超音波検査や内視鏡検査、血液検査などが行われます。

検査にかかる費用は数万円くらいと考えられますが、治療費は原因や症状の程度などにより治療方法も異なるため変わってきます。

同じ処置でも病院によって治療費用は異なるため、かかりつけの動物病院で確認しましょう。

犬の巨大食道症の予防法

巨大食道症の茶色の毛の犬が芝生の上で伏せをしている

巨大食道症は予防が困難な病気といわれています。日頃から食後に吐く様子が見られないか観察し、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

再発する可能性

巨大食道症は有効な治療法が見つかっていないため、一度改善しても再発することがあります。再発の兆候が見られたら、動物病院を受診しましょう。

犬の巨大食道症と向き合い方

巨大食道症の茶色と白の毛の犬が芝生の上で舌を出している

犬の巨大食道症は、予防や治療が難しい病気です、しかし、飼い主さんが食事を適切に管理したり、誤嚥性肺炎がうまくケアできれば、長生きすることも期待できます。愛犬の体調に異変を感じたら、早めに動物病院を受診することが大切です。

参考文献
  • 更新日:

    2022.01.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。