私の実家には、今年5歳になるラブラドールレトリーバーの男の子エマがいます。私自身、生まれてからずっと家には犬がいて、今まで犬のいない暮らしを経験したことがありません。それくらい両親は犬が大好きで、私もその影響を受けて育ちました。
結婚のため実家を出ることになり、エマとも離れることになってしまったのですが、実家にいた頃のエマとのたくさんの出来事から、犬と人間のあるべき関係性、互いの幸せのために気をつけたことなど、また過去に飼っていた愛犬たちから学んだことも紹介できればと思います。

5歳のラブラドールレトリーバーのエマ、表情豊かな彼と暮らして見えたのは、犬と人とのあるべき姿でした。
盲導犬として活躍するラブラドールレトリーバーですが実際に飼ってみて、本当に人が大好きで愛され方を知っている犬種だと実感しました。賢さはもちろんですが、たまに見せるヤンチャさもあり、常に人の側にいたい心の温かいワンチャンです。
特に家にお客さんが来た時の興奮は見ていて面白いくらいです。インターホンが鳴ると飛び起きて玄関へ走り、これでもかと尻尾を振り回します。玄関ドアが開くと、自分の体でドアを押し開けてお客さんをお迎えします。犬が苦手な人にとっては恐怖ですが…それくらい人に興味があって、体全身で愛情表現をしてくれます。
そんな人が大好きなエマですが、人が好きすぎるあまりに、自分が相手にされないとなんとかして注目されようとします。私が実家へ子どもを連れて行った時、どうしても大人たちは子ども中心になってしまいます。
そんな時エマは玄関から靴をくわえて来たり、タオルをひっぱり出して来たり、なんとか人の気を引こうと必死です。そんなエマが可愛くておもちゃで遊ぶと、嬉しそうな顔をしてついこっちまで笑顔になります。

可愛がることと甘やかすことは違うと思っています。失敗から学んだのは、犬と人間の関係性についてでした。
私が考える犬と人間の最高な関係は、しっかりとした信頼関係が構築されていることだと思います。犬は犬、人間は人間という関係性のもとで、互いに信頼し合える関係でありたいと思っています。
そこで我が家では、気をつけていることがあります。例えば同じベットで寝ない、人間のソファに犬を座らせない、散歩中は人より前にでないなど、犬と人間がまったく同じ立場にならないよう努めています。
エマと向き合うなかで、どう接するのが良いかを私たちなりに考えたうえで、わが家が出した答えでした。
この関係を意識し生活していても、ついその可愛いさから甘やかしてしまうこともありました。その先で起こったのが父とエマの事件でした。
エマは初めての室内犬でしたが、家では常に人とべったり。ソファに座ることもしばしばありました。ある日、それを見かねた父がソファから降りるようエマを叱りました。するとエマが唸ったのです。
今まで犬に唸られたことがなかった父はヒートアップし、父が噛まれる事態にまでなってしまいました。最後は、母が止めに入ることでその場はおさまりましたが、この事件により、家族全員でエマと自分たちの関係性について考え直すことになりました。
いくらエマが可愛くても、可愛がることと甘やかすことは違う、エマは大切な家族の一員だからこそ犬と人間の線引きが必要で、そこから良い関係が作られると思ったのです。

愛犬の立場に立って幸せを考え、人間が与えられる幸せは日々の生活の中にありました。
愛犬を幸せにしてあげたい、飼い主であれば誰もがそう思うでしょう。私は愛犬の幸せのために、まずは健康維持が第一だと思っています。
ラブラドールレトリーバー特有の性格の一つである食欲、エマは本当に食いしん坊でした。散歩中は気をつけていないと拾い食いをしてしまい、家にいる時も人間の食べこぼしがあればお米一粒でも食らいつきます。
愛犬を幸せにしたい思いからおやつばかりあげていると、肥満になりやすい犬種なのですぐに体に現れ、動物病院の先生にあと5キロ落としましょうと言われたことも…愛犬を幸せにしたい思いは、時に不幸と紙一重になり、愛犬にとって幸せなのか正しい判断も時に必要だと気付きました。
そんな食いしん坊エマはある夏の日、甥っ子が遊びに来てトウモロコシをみんなで食べていた時のこと。隙をみたエマが甥っ子の片手にあったトウモロコシを丸呑みしてしまいました。
トウモロコシは小さく切ってあったものの、エマが嘔吐をしました。病院へ行ってレントゲンを撮った結果、胃にトウモロコシの芯があり、胃から逆流できないサイズだったため嘔吐が続いていたとのこと。
結局口からは取り出せず、お腹を切ることに…。この事件をきっかけに、犬を飼うならまず犬の性格や基本的な食事面などの知識を良く習得し、何に気をつけたら良いのかを知ることが必須だと学びました。
犬の健康、幸せを守る責任は私たち飼い主にあります。この時、エマに辛い思いをさせてしまったのは私たち人間の不注意であり、愛犬が健康でいられることが何より幸せの基盤であると痛感しました。

犬を飼うということは、いつかお別れがあるということも心得てほしい。
私は生まれた時からずっと犬がいました。小学生の時に飼っていたゴールデンレトリーバーの男の子マルは、散歩の大好きな元気なワンチャンでした。
たくさんの楽しかった思い出がありますが、ひとつだけ心残りなことがあります。それは外飼いだったことです。それまでなんとなく犬は外で飼うものだと思っていたので、庭に犬小屋があることは普通だと思っていました。
しかし外飼いで良かったのか考えたのは、マルが亡くなるときひとりぼっちだったからです。マルが歳をとってきて少しづつ体が弱ってきているのはわかっていました。しかし、その最後の時が突然にきてしまったこと、その時を家族誰も見守ってあげられなかったことが、悔やんでも悔やみきれません。
今振り返って、マルはどんなに孤独を感じていたのだろう、夏は暑くて冬は寒かっただろうな、もっともっと触れ合える時間を作れたな…と考えることばかりでした。その思いは私だけでなく、家族も同じ思いをしていて、エマを室内犬で迎えることになりました。
犬を飼うということは、必ずいつかはお別れの時があるということです。
愛犬の死を経験して、私は命の尊さを知りました。いつも側にいた愛犬達はいつの間にか歳をとり、少しづつ弱っていきます。時に病気にかかり、可哀想で見ているのが辛い時もありました。しかし、その弱っていく愛犬から目をそらしてはいけません。その命を持って、私たちに生きるという事を教えてくれています。
私はそういった覚悟を持って、犬を飼う人が増えてほしいと思っています。これからたくさんの犬たちが素敵な飼い主と出会い、その出会いに感謝し、それぞれに試行錯誤しながら、お互いにとって素敵な関係を築いていけると良いです。

私はたくさんの経験、出来事を通して、愛犬との関係づくりに試行錯誤してきました。愛犬と暮らしていて、これが正解なのか不安に思うこともあります。しかし愛犬と向き合うことに意味があって、それが正解か不正解かよりも、二人にとって良い関係に繋がるのであればそれでいいと思いました。命をもってたくさんのこと教えてくれる愛犬たち、これからも最高の関係を築いていきたいです。
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