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茶色の毛の犬が上目遣いをして見つめている
健康管理 / 病気
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2021.12.14

犬の唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)はどんな病気?【獣医師監修】

ある日突然、犬の喉元にぶよぶよした大きな塊ができていたら、唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)という病気かもしれません。すぐに命に関わるような病気ではありませんが、手術が必要になったり、治っても再発を繰り返すことの多い病気なので、注意する必要があります。
ここでは、犬の唾液腺嚢胞がどのような病気なのか、原因や治療法、予防法について解説します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬の唾液腺嚢胞ってどんな病気?

茶色と白の毛の犬がケージの柵に手をかけ飼い主に頬を撫でてもらっている

犬の唾液腺嚢胞は、何らかの原因により唾液を分泌する管が損傷を受けたりして閉塞し、その部分に唾液が漏れて溜まってしまう病気です。唾液腺嚢腫や唾液腺粘液瘤などと呼ばれることもあります。

犬には、耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺の4つの唾液腺があり、発生する部位により「頸部(けいぶ)唾液腺嚢胞」「舌下部(ぜっかぶ)唾液腺嚢胞(別名:ガマ腫)」「咽頭部(いんとうぶ)唾液腺嚢胞」「頬部(きょうぶ)唾液腺嚢胞」と分類されます。

犬では舌下腺下顎腺での発生が多いといわれています。

初期症状とチェック項目

一般的に痛みによる症状は現れませんが、まれに初期症状として、急性炎症により痛がる様子がみられるとされています。

嚢胞に唾液が溜まると、発生部位によりますが顎の周りや舌、咽頭部(のど)に大きな腫れが認められ、呼吸困難、元気がなくなる、食欲低下、いびきをかく、舌の運動異常などの症状が現れます。

他の犬や人にうつる?

犬の唾液腺嚢胞は伝染する病気ではないので、他の犬や人にうつる心配はありません。

犬が唾液腺嚢胞になる原因4つ

ベージュの毛の犬と茶色の毛の犬が芝生の上で寄り添っている

なぜ唾液が漏れ出し、唾液腺嚢胞になってしまうのかは原因不明なことが多く、気づいたら溜まっていたというケースがほとんどです。考えられる原因には次のようなものが挙げられます。

【原因1】外傷

他の犬とのケンカでケガをしたり、リードを強く引っ張ることにより首が締め付けられたり、交通事故にあうなどして、唾液を分泌する管がダメージを受けると、唾液腺嚢胞の発生に影響する可能性があるという説もあります。

原因【2】感染症や口腔内の炎症

ウイルスや細菌などによる感染症や、歯周病などによる口腔内の炎症が原因になることもあります。

原因【3】唾石

唾液腺内部や唾液管内に「唾石(だせき)」という結石が形成され、唾石が唾液管を閉塞することにより管が破裂し、唾液腺嚢胞につながることがあります。

原因【4】遺伝によるもの

唾液腺嚢胞には遺伝が関与しているとも考えられています。

かかりやすい犬種や年齢は?

年齢を問わずすべての犬種で発生しますが、ミニチュア・ダックスフンドトイ・プードルミニチュア・プードルジャーマン・シェパードには比較的多く見られるといわれています。

犬の唾液腺嚢胞の治療法

茶色の毛の犬が唾液腺嚢胞になりベッドの上でぐったりとしている

犬の唾液腺嚢胞には、次のような治療方法があります。

穿刺して内容物を抜く

針で嚢胞を穿刺して唾液を抜くという方法があります。たまった唾液を抜くだけなので、多くの場合すぐに再発しますが、中には数回の吸引を繰り返している内に再発しなくなるケースもあります。

内科的治療

唾液腺炎を伴っている場合は、病原菌を特定して抗生物質を投与することにより、唾液腺嚢胞が小さくなることがあります。

外科的治療

根治には、外科手術で切開して排液し、唾液腺そのものを切除する方法が有効です。しかし、手術後に再び唾液腺嚢胞を発症するケースも少なくありません。

治療にかかる費用

治療する動物病院によって異なりますが、唾液腺嚢胞を診断するための触診やエコー検査、レントゲン検査に数万円くらいかかることが多いです。

針で穿刺吸引すると1万円以内くらい、全身麻酔下での唾液腺を切除する手術はより高額になる可能性が考えられます。

動物の体重や処置の方法などにより変わってくるので、動物病院に確認しましょう。

犬の唾液腺嚢胞の予防法

グレーの毛の犬が飼い主に首輪をつけてもらっている

唾液腺嚢胞を確実に予防することは難しいかもしれません。首輪の締め付けは唾液腺にダメージを与える可能性があるので、胴輪に切り替えたり、首輪を使用しなければならない場合は散歩でぐいぐい引っ張らないようしつけるのも有効です。

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再発する可能性

犬の唾胞液腺嚢胞は、外科治療を行ったとしても再発を繰り返す事があります。治療後も注意深く経過観察し、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。

犬の唾液腺嚢胞との向き合い方

白と茶色と黒の毛の犬が唾液腺嚢胞になりベッドの上で眠っている

犬の唾液腺嚢胞は内臓の病気などと違い、飼い主さんにも見た目で発見しやすい病気です。日頃から愛犬の様子を観察したり、スキンシップを取って、病気の早期発見に努めましょう。
手術には全身麻酔が必要になるので、必要な検査を受けた上で、獣医師とよく相談して決めましょう。

  • 更新日:

    2021.12.14

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。