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2021.11.09

オペラント条件付けはしつけの基本!理論から実践までを解説【獣医師監修】

「オペラント条件付け」という言葉を聞いたことがありますか?なんだか難しい専門用語のようですが、この言葉自体を知らなくても愛犬と暮らすみなさんの多くは、おそらく実践しているはず。
愛犬のしつけの基本となる考え方なので、ぜひ理解して愛犬のトレーニングに役立てましょう。今回は、オペラント条件付けについてわかりやすく解説します。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:Qt/家庭犬トレーナー)

犬の学習における2つの条件付け

オペラント条件付け

愛犬のしつけに関する理論には、主に2つの条件付けが挙げられます。どちらも本来は犬のしつけに限定されるものではなく、行動主義心理学の基本理論とされるものでした。
今回はわかりやすく説明するため、犬のしつけにフォーカスして詳しく説明していきます。

【1】古典的条件付け「パブロフの犬」

古典的条件付けは、「パブロフの犬」という有名な実験で証明された理論です。

パブロフの犬の実験

犬にベルの音を聞かせた後にごはんを与えるという行動を繰り返すと、犬は「ベルの音」=「ごはん」と関連付けて覚えます。そうすると、ベルの音を聞いただけで唾液が分泌されるようになることを証明した実験です。

このように何らかの刺激により、意識せずに起きる現象は犬だけでなく、私たち人間でも起こります。「梅干しを見ると唾液が出る」や「目の前で物が落ちた時、とっさに拾おうとする」など日常の中に古典的条件付けは溢れています。

いわゆる「条件反射」のこと

上記の実験のように、自分から進んでする行動ではなく、意識せずに起きる現象であること(受動的)が特徴で、レスポンデント条件付けとも呼ばれます。いわゆる「条件反射」だとイメージするとわかりやすいかもしれません。

【2】オペラント条件付け

オペラント条件付けは、古典的条件付けのようにシンプルではありません。ある行動をした結果、何が起きて、環境がどう変化したのかを愛犬が自ら考え、その結果として愛犬の行動の頻度が変化する「効果の法則」がオペラント条件付けの主軸となる考え方です。
古典的条件付けと違い、自ら行動し「能動的」であるのが特徴です。

強化と弱化

オペラント条件付けでは、愛犬にとっての「いいこと」を「」、逆に「嫌なこと」を「」と呼び、それに対して愛犬の行動が増えた場合を「強化」、逆に行動が減った場合を「弱化(罰)」と呼びます。
4つのパターンがあるので、詳しく解説していきます。

オペラント条件付けの4つのパターン

オペラント条件付け

オペラント条件付けは、何らかの刺激を与える、もしくは取り除くことによって愛犬の行動が増えたのか減ったのかという観点で判断します。例を見ていきましょう。

正の強化

下のような流れを「強化」と言います。できたことに対してほめることで「これをすればいいことがある」と覚えてもらい、その行動が増えていくというイメージで、最近主流のほめて伸ばすしつけです。みなさんもすでにおこなっているしつけ方法かもしれませんね。

トイレトレーニングにおける正の強化

  1. 愛犬がトイレできちんと排泄できた
  2. オヤツをあげてほめる
  3. トイレで排泄するとほめられることを学習し、次からもトイレで排泄するようになる

正の弱化

行動の結果、愛犬にとって嫌なこと(飼い主さんに構ってもらえない)が起きたことで、次からその行動頻度が減ることを「弱化」と言います。
下のトイレトレーニングの例で言えば、上記の正の強化と併用することでさらに学習効率があがります。

トイレトレーニングにおける正の弱化

  1. トイレではなく毛布の上で排泄してしまった
  2. もちろんオヤツはもらえず、飼い主さんは淡々と片付けるだけ
  3. 飼い主さんに構ってもらえないので、毛布の上での粗相の頻度が減っていく

負の強化

自分の行動により、嫌なことがなくなったことで、次からもその行動を進んでするようになることを「強化」と言います。

トイレトレーニングにおける負の強化

  1. お散歩の途中ですれ違った苦手な犬に吠える
  2. 相手の犬が向こうへ行った
  3. 吠えれば相手がいなくなると学習し、苦手な犬を見つけた時点で吠えるようになる

負の弱化

行動の結果、自分にとっての「いいこと」を取り上げられたことで、次からはその行動をとらなくなることを「弱化」と言います。

トイレトレーニングにおける負の弱化

  1. お散歩の途中で自分の行きたい方向へ行きたがり立ち止まる
  2. その時点でお散歩が中止になり、家に連れ帰られた
  3. 立ち止まるとお散歩が終了になることを学習し、飼い主さん主導でお散歩に行けるようになる

オペラント条件付けに愛犬の行動を当てはめる

オペラント条件付け

上記の4つのパターンを愛犬の行動に当てはめてしつけをおこなうことで、増やしたい行動と減らしたい行動をコントロールできるようになります。

無駄吠え防止には「弱化」が効果的

多くの飼い主さんが抱えているお悩みでもある愛犬の無駄吠え。吠えてほしくない場面では、「弱化」させるように導きましょう。
愛犬がどういう気持ちで何に対して吠えているのかを把握し、その原因を取り除くことで徐々に無駄吠えを減らしていくことができます。

一般的なトリックには「強化」を利用しよう

「おすわり」や「待て」などの一般的なしつけには「強化」が効果的です。
オヤツやクリッカーなどを使ってほめて、愛犬の行動を強化していきましょう。

オペラント条件付けを愛犬のしつけに役立てよう

オペラント条件付け

どんなしつけにも共通して言えることですが、まずは愛犬の行動とその時の気持ちを考え、根本原因を特定することが大切です。そしてそれをオペラント条件付けの4つのパターンに当てはめて、どのパターンでトレーニングすると効果的なのかを導き出しましょう。その考え方をマスターすれば、愛犬の問題行動にもすんなり対応できるようになります。
ぜひみなさんの愛犬のしつけにも役立ててくださいね。

  • 更新日:

    2021.11.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。