どんなに一緒にいたいと願っても、いつかは直面する愛犬との別れ。普段意識していなくても、愛犬の病気や加齢による変化を経験して、急に身近なことに感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
今回は、そのような飼い主さん向けに、シニア期の愛犬と最期を過ごした筆者の体験談をご紹介します。
愛犬のライフステージの変化は、いろんなところで感じはじめました。
若いころの愛犬はとにかく元気。ご飯やおやつの時間は、しっぽをちぎれそうなほど振ってくれていました。うれしそうな様子が見たくて、週末にはドッグラン巡りをしたり、旅行に連れて行ったりするのが筆者の習慣となっていました。
元気の塊だった愛犬ですが、シニア期に入るとさまざまな変化が。ここでは筆者が感じた変化をご紹介します。
まず、12歳を過ぎたころから走り回ることがなくなりました。そして1年後には後ろ足の筋力が低下して、歩くときに震えたりよろけたりするように。
また、後ろ足の筋力がないため、座っている状態でも後ろに下がっていってしまうといった変化もありました。
「ご飯だよ」と声をかけられたり、名前を呼ばれたりするとすぐに走ってくる愛犬でしたが、年をとって呼ばれても気づかないことが増えました。近くまでいって声をかけると、やっと気づくといった様子でした。
日々のケアや撫でるために触ると、怒るようになりました。感情のコントロールが難しくなることは、年をとるとよくあることのようです。日々のケアを行うときに、愛犬に吠えられたり噛まれたりすることもありました。
足が不自由でトイレが間に合わないというだけでなく、認知機能の低下からかトイレ以外でおしっこをしてしまうことが増えました。
また、足が不自由なので失敗したおしっこを踏んでしまうこともありました。
シニア期に入ると、ごはんを食べるスピードが徐々にゆっくりになっていきました。また、食欲旺盛な愛犬でしたが、食欲が落ちてフードを残すことが増えました。
加齢による愛犬の変化に対して、工夫したことをご紹介します。
元気だったころには問題にならなかった段差などにつまずくようになったため、わずかな段差もなくしました。トイレに間に合うようにトイレの範囲を広げたり、狭い範囲でも生活できるようにトイレと水飲み場の位置を近づけたりなどの工夫をしました。
きれい好きな愛犬は、失敗したおしっこを踏んでしまうことを嫌がっていました。しかし、足が悪いためどうしても体が濡れてしまいます。そのため、亡くなる前の1年間程度は、オムツを使用しました。
シニア期に入ってからは、内臓に負担がかからないようにシニア用のフードを与えるようになりました。また、食欲が落ちてからはお湯でフードを柔らかくして与えるなどの工夫も。お湯で柔らかくすると食べやすく香りも強くなるため、そのままで与えるよりも食べていました。
愛犬が若いころは一緒の部屋に泊まれる宿をとり、よくお出かけしたものでした。しかし、年をとった愛犬の体には、車での長距離移動が大きな負担となります。そのため、旅行する機会自体がかなり減りました。
家をしばらく留守にするときに利用するサービスにも、少しずつ変化が。最初はペットホテルでしたが、愛犬が年をとってからは環境の変化が少ないペットシッターを利用するようになりました。
筆者が経験した、愛犬との最期のエピソードです。
別れの1週間ほど前、愛犬はごはんをほとんど食べなくなりました。好物のリンゴをすりおろして与えてみたのですが、見向きもしません。
それでも、頭を撫でると目を細めてうれしそうにしっぽを振ってくれたのが印象に残っています。この1週間は、名前を読んだり思い出話をしたりして、とにかく声をかけていました。
別れの日の朝、愛犬は荒い呼吸をしていました。ずっと寄り添っていてあげたいと思いましたが家族それぞれに予定があり、「別れの瞬間に立ち会えないこともあるかもしれない」と辛い気持ちになりました。もしそうなってしまったときに寂しくないように、愛犬が好きだったぬいぐるみをそばに置いて家を出たのを覚えています。
夕方、愛犬は大きくゆっくりとした呼吸に変わっていました。筆者は子どもとそっと名前を呼びながら撫で続けていました。そして、夫が帰ってきて家族全員がそろうと、ほっと安心したように大きく息を吐いて亡くなりました。子犬のころから最も長い時間を一緒に過ごしてきた夫が帰ってくるのを、待っていたのだと思います。
「今までありがとう」「がんばったね」「またいつかうちにおいで」と別れの言葉を愛犬にかけました。
亡くなったあと、かわいい姿でお見送りできるようにシャワーできれいにしました。シャワーは、日々のケアに怒っていた愛犬が唯一好きだったケアです。声かけしながら時間をかけて行い、そして他の愛犬と対面できる時間をつくりました。
翌日、火葬や葬儀を出張で行ってくれる葬儀屋さんにお願いして、本当のお別れをしました。
愛犬とのシニア生活において悩んだのは、最期の迎え方でした。
愛犬がシニア期に入ってから、筆者は最期の迎え方について時間をかけて家族と話し合ってきました。
最期の迎え方には決まった形はありません。そしてその日は突然やってくる可能性もあるのです。だからこそ、それぞれのお別れができるように家族全員で納得するまで話し合って決めることが必要です。
今すぐ結論が出なかったとしても、考えを共有していくことで愛犬との関わり方は変わると思います。
話し合いの結果、延命治療は希望しませんでした。
点滴治療をしていたら、もう少し長く一緒に過ごせたかもしれません。しかし、16歳まで頑張ってきた愛犬を、自然な形で痛い思いをさせることなく逝かせてあげたいという家族共通の思いがありました。
家族全員が最も良いと考えている最期の迎え方ができたのです。
筆者は今回ご紹介した愛犬との別れの前に、別の愛犬を病気で亡くしています。その際は突然の別れだったのでなかなか乗り越えることができず、「もっとたくさん撫でてあげれば良かった」という後悔ばかりが残りました。
いつか訪れる愛犬との別れのとき。それを少しでも意識することで、愛犬との関わり方は変わるのではないでしょうか。愛犬と過ごせる時間には限りがあります。その時間をぜひ大切に過ごしてくださいね。
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