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ベージュの毛の犬が獣医師会に所属している獣医師の診察を受けている
住まい / 生活
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2021.11.24

獣医師会は何をしている団体?詳しい活動内容や役割を解説【獣医師監修】

動物病院によっては獣医師会に所属していることを明示している場合があります。しかし、「獣医師会って何をしている団体なのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、獣医師会の活動内容や、獣医師会に所属する獣医師の役割について解説していきます。 「獣医師会に所属していない動物病院は信頼できる?」という疑問にも答えていきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:後藤 俊/ライター)

獣医師会とは?

黒と茶色の毛の犬が獣医師会に所属する獣医師医に抱えられている

獣医師会とは、獣医学の研究の向上獣医業の発展を目的とした団体です。獣医師のみが所属し、動物と人間の共生社会をより良くするための活動を行っています。

日本獣医師会をはじめ、都道府県ごとにも獣医師会が存在し、獣医師同士での連携を強めています。

獣医師会の活動・事業内容

獣医師会で行っている詳しい活動内容について紹介していきます。

大会やセミナーの開催

日本獣医師会では、「日本産業動物獣医学会」「日本小動物獣医学会」「日本獣医公衆衛生学会」の3つの分野に分けた学会が存在しています。

それぞれの学会で定期的に大会が開催され、獣医学の普及に役立つ調査・研究結果が発表されています。
大会の参加者は毎回約2,000名を超えていることからも、積極的な情報交換が行われていることが伺えるでしょう。

大会に参加できなかった獣医師に対しても、毎月刊行される日本獣医師会雑誌にて情報が共有されます。

会員の福祉・厚生の保護

獣医師が安定した活動を行えるようにサポートするのも獣医師会の役割です。会員には怪我や病気による治療費を補償する、団体医療保険などが用意されています。

個人経営の動物病院が多い中で、獣医師の社会的立場を守るために役立っています。

イベントの開催

日本獣医師会では毎年10月に「動物感謝デー」と称して、一般人が参加できるイベントを開催しています。

子供も参加できる1日獣医師体験や本物の動物とのふれあいコーナーなど、普段、獣医師がどんな想いで動物に接しているのかを実際に体験できます。

獣医師の活動を社会により理解してもらうことを目的としたイベントです。

被災地への救護活動

災害時には日本獣医師会が中心となり、被災したペットの治療や保護にあたる救援活動を行っています。

2016年に発生した熊本地震の際には、「日本獣医師会熊本大震救援緊急対策本部」を設置し、支援要員の派遣や動物用医薬品の提供などを行いました。

海外との情報交換

獣医師会は日本だけでなく、世界各地に存在します。日本獣医師会では、世界獣医師会やアジア獣医師会連合が開催する大会に参加し、海外の獣医師が発信する情報を国内へ還元しています。

また、日本から海外に対しても情報提供を行い、獣医学が世界全体で向上する手助けをしています。

獣医師の活動分野

白と黒の毛の犬が獣医師会に所属する獣医師の診察を受けている

皆さんが獣医師の活動と聞いて思い浮かぶものといえば、動物の治療なのではないでしょうか。しかし、獣医師会に所属する獣医師は、治療以外にも様々な分野で活躍しています。

ここでは、獣医師の活動分野について紹介していきます。

農林水産の分野

豚や牛といった、畜産動物の診療病気の予防を行うのは獣医師の役割です。また、伝染病予防に用いられる動物用医薬品の製造や流通まで監視し、畜産業が安全に成り立つように支えています。

日本のみならず、発展途上国の畜産業への指導を行う獣医師も存在します。

公衆衛生の分野

食品における肉類は獣医師による検査が義務づけられているため、私たちが安全に口にできるように食品衛生を監視するのも獣医師の役割です。

肉類の他にも、牛乳や魚介類といった様々な食品の製造施設や販売店を監視し、健康被害を未然に防いでくれています。

また、狂犬病やエボラ出血熱などの感染症が発生した場合の調査や、検疫業務にも獣医師が携わります。食品衛生だけでなく、公衆衛生にも欠かせない存在なのです。

野生動物の分野

外来生物や害獣による被害がニュースなどで報道される機会が多くなった近年、そういった動物に対する対策を助言するのも獣医師の役割です。

さらに、希少動物の保護や生息環境の保全にも携わり、野生動物と人間とのより良い共生の形を作ることに貢献しています。

医薬品の分野

私たち人間が安全に医薬品を服用するために、その効能や副作用を試す段階として「動物実験」が行われています。

医薬品開発のために飼育されている動物を、動物愛護や福祉の観点から管理を行うのも獣医師の役割です。

動物愛護の分野

時代とともにペット文化が身近になったことから、動物の命の重さを伝えるための活動を行う獣医師が増えています。

治療するだけでなく、ペットの飼育に関する正しい情報を発信したり、飼い主の相談にのるのも動物愛護を目的とした活動のひとつです。

また、介護施設でペットとふれあう機会を設け、人間と動物の絆を深める活動など、社会福祉にも貢献しています。

獣医師会に入らない動物病院は信頼できる?

白とベージュの毛の犬が獣医師会に所属する獣医師の診察を受けている

獣医師会は強制的に入会させられるものではないので、獣医師会に所属していない獣医師や動物病院は数多く存在します。

獣医師会に入るメリットは、あくまで社会貢献をしやすかったり、獣医学の最新情報を手に入れやすいといったものです。これらの目的は治療技術の優劣に直接影響するものではないということを理解しておきましょう。

また、日本獣医師会に所属していなくても、各都道府県の支部組織に所属している場合もあり、情報収集に関しては、獣医師会ではなく各種学会の加入などで行っている獣医師もいるため、獣医師会への入会の有無が評価に直結するわけではありません。

獣医師会に入会している動物病院のメリットは?

獣医師会に所属している動物病院は地域のほかの獣医師との繋がりがあるため、情報を共有したり連携を取りやすい可能性が高いというメリットがあります。

もし獣医師会に入会している動物病院を探したいという場合は、日本獣医師会のホームページから都道府県ごとに探すことができるので、ぜひ利用してみてください。

参考サイト

獣医師会は社会にとって意味のある存在!

ベージュの毛の犬が獣医師会に所属する獣医師の診察を受けている

獣医師会は、獣医学の普及や発展を目的とした団体です。獣医業の研究が進むことで、難しい病気の治療ができるようになったり、動物を守るための新たなアイデアが生まれてきます。

そのほかにも、被災地への獣医師の派遣など、獣医師会は私たち飼い主にとっても欠かせない存在となっています。獣医師たちが連携して動物を守ろうとする姿勢を理解し、獣医師会の存在意義について今一度考えてみましょう。

  • 更新日:

    2021.11.24

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。