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鼻先をつままれて歯がむき出しになった犬
健康管理 / 病気
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2021.11.08

【獣医師監修】犬の歯が茶色いのは病気?考えられる原因や対処法

若いときは真っ白だったはずの歯がいつの間にか茶色くなっていた、という経験はありませんか?犬の歯はどんなときに、どのような理由で変色してしまうのでしょうか。
ここでは、犬の歯が茶色くなる原因や考えられる病気、対処法についてご紹介します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:江野 友紀/認定動物看護士)

犬の歯が茶色い場合に考えられる原因4つ

茶色く変色した犬の歯

まず、犬の歯が茶色くなってしまったときに考えられる原因を4つご紹介します。

原因【1】色素沈着

人間の場合、お茶やコーヒーに含まれる色素やタバコのヤニなどが歯の表面に付着し、色素沈着することは有名です。犬も同様に、食べ物に含まれる様々な色素が歯の表面に沈着します。色素の沈着は「ステイン」とも呼ばれます。

原因【2】歯垢・歯石

口の中で細菌が増殖して蓄積すると、歯垢ができます。歯垢は「プラーク」とも呼ばれ、プラークに唾液中に含まれるカルシウムなどのミネラルが結合すると歯石になります。

犬は歯垢から歯石に変わるスピードが早く、3~5日程度で歯石になり、歯みがきでは落とせなくなってしまいます。

歯石を放置すると歯周病になり、歯根の先端に膿が溜まって頬が腫れたり、血流に乗って全身に運ばれた細菌により内臓に深刻なダメージを与えることもあります。

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原因【3】歯がすり減っている

硬いボールのおもちゃやヒヅメのおやつ、ケージなどを噛み続けると、エナメル質や象牙質がすり減ってしまいます。これを「咬耗(こうもう)」と言い、すり減った歯の表面が茶色くなることがあります。咬耗の程度がひどい場合には、神経が露出してしまいます。

原因【4】歯の病気

犬も虫歯になることがあります。虫歯になった歯は茶色くなったり、黒くなることがあります。

犬の歯が茶色い場合に考えられる病気2つ

口腔内と歯の状態をチェックされる犬

次に、犬の歯が茶色くなっている場合に考えられる病気を、茶色い歯と同時に見られる症状とともに2つご紹介します。

症状|歯がもろい、歯の表面がざらざらしている

歯の表面がざらざらしていて歯石や歯垢が付着しやすい、歯がもろくすり減りやすかったり折れやすいといった症状を併発している場合にはエナメル質形成不全の疑いがあります。

病気【1】エナメル質形成不全

歯の表面層(エナメル質)が発育過程中に正常につくられなくなる状態で、限局的に起こることもあれば、全体的に起こることもあります。

子犬期にジステンパーウイルスパルボウイルスなどの感染症にかかっていた場合や、重度の消化器疾患などにより栄養障害を起こした場合、特定の薬剤の使用などが原因でエナメル質形成不全になることがわかっています。

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症状|歯の表面に穴が空いている

犬の歯に茶色や黒い点があったり、歯に穴が空いている場合は虫歯の可能性が疑われます。

病気【2】虫歯

犬に見られる口腔内のトラブルのほとんどは歯肉炎や歯槽膿漏などですが、まれに虫歯になることがあります。

虫歯は正式には「う蝕(うしょく)」と言い、犬は痛みにより食べるペースが落ちたり、食欲が低下することがあります。症状が進行すると歯髄(神経組織)にまで病巣が拡がり、抜歯などの処置が必要になります。

原因は様々ですが、体質によるものや、糖分が多い食べ物、デンタルケアが不十分な場合にも虫歯になりやすいと考えられます。

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犬の歯が茶色いときに必要な対処法とは

茶色い歯の治療を受ける犬

犬の歯が茶色くなっている場合、対処が必要かどうかは原因によって異なります。原因がわからない場合は自己判断せず、動物病院を受診して指示を仰ぎましょう。

色素沈着の対処法

色素沈着は歯の表面に色素が沈着している状態であり、犬の健康に害を及ぼすわけではありません。専用の器具を使って歯の表面を磨くスケーリングで落とそうとすると、かえって歯のエナメル質を傷付け、歯垢や歯石が付きやすくなったり、虫歯の原因になってしまうことも考えられます。

飼い主さんは気になるかもしれませんが、デメリットを考えるとそのままにした方が良いでしょう。

歯垢や歯石の対処法

歯垢を落とすのに最も有効なお手入れは、歯ブラシによる歯みがきです。子犬の頃から慣れさせておくことが大切ですが、成犬になってからでも遅くありません。初めて磨くときは嫌がることが多いので、おやつなどを使って褒めながらしつけましょう。

歯垢が一度歯石に変化すると、歯みがきでは落とすことはできません。基本的には全身麻酔下でスケーリング(歯石除去)する必要があるため、動物病院に相談しましょう。

虫歯などの対処法

歯が変色して穴が開いている場合など、病気が疑われる場合は様子を見ずに動物病院を受診しましょう。

虫歯をどのように治療するかは症状の程度や治療を受ける病院の考え方などによって異なりますが、虫歯になった部位を削り取ってそこに詰め物を入れたり、歯髄を除去したり、抜歯をすることがあります。

犬の歯が茶色いと気付いたら早めの対処を

青いリードを咥える犬

愛犬の歯の健康を維持するには、毎日のデンタルケアが欠かせません。

犬の歯が茶色くなっているときは、ただの色素沈着で健康に問題はないこともあれば、歯みがきでは取れない歯石が付着していたり、虫歯になっていることもあります。

歯石や虫歯の場合は、対処が遅れると抜歯が必要になったり、肺や心臓にまで悪影響を及ぼすこともあるので、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

  • 更新日:

    2021.11.08

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。