毎年7月31日と12月2日の2回、アメリカでは「National Mutt Day(ミックス犬の日)」として、シェルターにいるミックス犬や雑種犬に1万人の新しいパートナーを探す活動をしています。
どんな犬もみんな同じ犬なのに、ミックス犬、雑種犬、そしてハンディキャップのある犬はシェルターに集まりやすいようですね。みんな同じ犬なのに……今回は幸せに生きられる犬が少しでも増えるといいな、という気持ちで書かせていただきました。

海外でも日本でも、どんな犬種が混ざっているかわからない犬がたくさん保護されています。子犬だと将来的な体の大きさは予想できないところも多く、引き取りをためらうこともあると思います。また、人間に対して恐怖心あり、簡単に友好的な関係を築けない場合もあります。
でも、どんな背景があってもみんな同じ犬です。人間とともに幸せに生きる権利があります。
ミックスや雑種の子の話になると、純血種を求める飼い主さんたちが少し良くない印象に思われてしまうこともありますが、私は血統書付きの犬を求めることも大切だと思っています。種の保存には、こうした犬たちを求める飼い主さんが必要で、もしこれがなくなったら犬はみんな同じような姿形になってしまうでしょう。
美しい姿はショーのためではなく、健やかな犬の体作りにも貢献します。純血種もとても重要な役割を持つ犬たちです。
犬の系統図を見ると、初めは1匹のオオカミから始まっています。現在「純血種」と呼ばれる犬たちも、ある特定の特徴を持つ犬の血統を受け継いでいくことで1つの種に定着させてきました。
だから今ミックスや雑種と呼ばれている犬の中から、いつか1つの犬種として登録される犬も出てくるかもしれません。そう考えると犬はすべて同じなのだということがわかります。

犬と暮らすことを考えた時、一緒に散歩して走り回ったり、かわいい顔をした写真や動画をたくさん撮影してSNSでアップしたり、楽しいことがたくさん浮かんできます。でもそんな生活は、健康でかわいい顔の犬でしかできないものなのでしょうか。
先日、散歩中に保護犬を引き取って育てている飼い主さんたちにお会いしました。奥さんが小さな犬を抱っこしていました。被毛がとても薄く元気そうな感じではないのでシニアの子かな?と思ったら、実はまだ1歳の女の子でした。足が悪くて上手に歩けないのだそうです。
その子は悪徳ブリーダーの元で生まれ、足が悪くて売り物にらならないからと、雨ざらしの屋外にずっと放置されていたそうです。 悪徳ブリーダーの元に警察が入って逮捕された後、近隣の動物愛護団体が一斉に入り、犬たちは全員保護されました。そこから今の飼い主さんに引き取られたその子は、かわいらしいワンピースを着せてもらい、素敵な名前ももらって大切にされていました。
売り物にならないから死ぬなら死ぬでかまわないという環境に置かれていたその子は、生まれた時からその環境にいたから、苦しいことが当たり前で育ったのかもしれません。でも今はきっと、こんなに楽チンに生きられるんだと感じていると思います。それが当たり前の生活になって本当に良かったと思います。
同じように、繁殖のためだけに8歳までブリーダーの元にいて、もう出産できないからと5万円で売りにだされた犬もいます。その子の飼い主さんはワクチンを打ってもらっていなかったのを知ってすぐに病院へ連れて行き、その後ドッグランに連れて行ってあげたり、犬服を作る講習会に参加して服を作ってあげたりして、とてもかわいがっていました。
でもその子は間もなく病気で動けなくなって亡くなりました。
小型犬だったので、もっと早くから大切にされていたら長生きできた生命だったかもしれません。その子も、楽しいことを何も知らずに、それが当たり前だと思って8年間過ごしていたのかもしれませんね。最期に優しい飼い主さんに恵まれて、犬らしい楽しみを知って生涯を終えられたことが、唯一の救いだったように思います。

私の周りでは、保護犬でも純血種でも、わが家のように色々混ざった雑種犬でも、気にする人はいないように思います。輪の中に入ってきて大丈夫ならみんな友達です。
でも中には、保護を引き取って育てていると話すと、引いてしまう人もいるそうです。それはなぜなのでしょうか。
以前たまたま会った飼い主さんは、保護犬を連れていました。その犬は犬も人も苦手らしく、うちのコと仲良くできたので喜んでくれたのですが、しばらくたってとても遠慮がちに「この子、保護犬なんです」と話してくれました。
よくよく聞くと、保護犬という言葉を出すと「うわ、この人意識たかーい!」と、急によそよそしくなったり、体が大きな犬だと急に噛むんじゃないかと怖がられることがあったりするそうです。
保護犬には色々な背景があり、すぐに人や犬になじめない子もいます。そうした犬を引き取った人や犬自身が周りと交流できないのは、少し寂しいと思いました。
ただ私自身に限って言えば、反省しなくちゃいけないところもあると思いました。
うちのコはブリーダーさんのところでもらい手がなく、里子に出された犬です。ブリーダーさんがザクザクと切った被毛はバサバサで、病気もたくさん持ってうちに来ました。私はトリミングに連れて行き、病気は全部自費で治療しました。そして私はそのことを心の中で誇りに思っていました。1匹の犬を助けた、幸せにしてあげたんだ、って。
でもそんなこと、よく考えたら当たり前だと思いました。血統書付きの子だって病気はするし、飼い主さんが自分でお金を出して治します。1匹の犬と出会って楽しく暮らしている、そのことがとても大切であって、保護した自分をさりげなく他の飼い主さんに自慢していたかもしれない自分は違うなって思いました。

幸せを知っていながら苦しい環境に置かれてしまった犬、そして生まれた時から苦しい環境でそれが日常になってしまった犬、どちらも幸せが当たり前の環境の中で生きられるようにすることが、私たち人間の義務なのだろうと思います。
血統書付きだから幸せが保証されているわけではなく、逆にシェルターにいるから不幸が決定したわけでもありません。大切なのは犬と幸せに暮らしたいと願う人がたくさんいて、その人たちが「一緒に生活したい!」という犬がどこにいるかを広い視野で探すことではないかと思います。
犬との出会いは、ショップ、ブリーダー、インターネット、里親サイト、そして動物保護団体などたくさんの場所にあります。多くの場所で多くの犬たちを知ることが、自分にとって最高のパートナーを見つける手掛かりになるのではないかと思います。
「手づくりごはん|パートナーに優しいレシピ【第4部】」記事一覧