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ベンチに置かれた薄手のクッションの上に頭を乗せて遠くを見つめた黒いチワワ犬
健康管理 / 病気
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2021.10.23

【獣医師監修】犬の斜視は治療が必要?発症の原因と考えられる病気

犬の目線がおかしく、どこを見ているか分からないとなんだか心配になりますよね。犬の斜視は必ず治療が必要なわけではなく、決して珍しい症状ではありません。
原因としては遺伝的なものや犬種、病気等が挙げられますが、この記事では犬の斜視について具体的に解説していきたいと思います。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:しろ/フリーライター)

犬の斜視の原因は?先天性と後天性の違い

シロツメクサの咲く草むらの中でおすわりしながらカメラを見つめて微笑む茶色いポメラニアン犬

犬の斜視の原因は大きく先天性と後天性に分けられます。

先天性の斜視は遺伝、犬種等が関係していて、早い時期から目線のズレを確認する事が出来ます。後天性の斜視は何かしらの病気に伴って現れる事が多く、重篤な病気のサインである可能性も否定出来ません。

まずは犬の斜視について主な症状と、先天性と後天性の違いについて詳しく見ていきましょう。

犬の斜視はどんな状態?

斜視とは、前を見ているはずなのに両目の焦点が合わず別の方向を向いている状態です。症状は片目だけに現れる事もあり、黒目部分が意図せずに内側、外側、上下、斜めを向いてしまいます。

斜視と間違われる状態として、犬の目頭部分にある白い膜(瞬膜)が他の犬に比べて目立っている事もあります。この場合、普段と変わりなければ問題ありませんが、病気が原因の可能性もあるので病院で診察を受けるようにしましょう。

先天性斜視

先天性斜視の原因は遺伝的な問題や骨格が関わっています。目が大きく、突出しているタイプのパグ、ブルドッグ、ペキニーズ、狆等に比較的多く、チワワやポメラニアン、トイプードル等の小型犬でもよく見られます。

先天性は早い時期から斜視が現れるので、子犬を引き取る時に目に違和感があって気付くケースもあるようです。

後天性斜視

後天性斜視では、元々目に異常がなかったのに成長してからある日突然斜視が現れます。斜視を伴う病気もあるので、目の様子がおかしいと感じたらすぐに病院で診察してもらいましょう。

病気の中には子犬の時期から発症するものもあります。斜視は病気の原因ではありませんが、先天性・後天性のどちらも重篤な病気のサインの可能性があるので、普段から行動に変化がないか気を付けて見てあげましょう。

犬の斜視が示す病気とは?3つの原因と主な症状

水色のチェック柄の布団の上で眠る茶色いトイプードル犬

それでは、斜視が伴う病気には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

筋肉の炎症等も原因として考えられますが、重篤な病気であった場合は精密検査が必要な事も。ここでは主要な3つの病名と原因、症状について紹介していきましょう。

【1】水頭症

水頭症は、頭蓋骨の内側に脳脊髄液が過剰に溜まって脳を圧迫する事で発症する病気です。

先天性の場合が多く、チワワ、ポメラニアン、パグ、トイプードル等の小型犬でよく見られるようです。後天性は稀ですが、外傷や脳腫瘍により脳脊髄液の循環路に異常が起こると発症する事があります。

症状には痙攣・てんかん、ぼーっとする、目が見えにくくなる等があります。斜視、頭部がドーム状に膨らむ、身体が小さく成長が遅い等の見た目から分かる特徴も存在するので、気が付いたらすぐに精密検査を受けさせるようにしましょう。

【2】脳腫瘍

脳腫瘍は高齢犬によく見られる病気です。犬種としてはゴールデンレトリバー、ボストンテリア、パグ、ブルドッグ等は比較的発症しやすいと言われています。

脳腫瘍は脳にできる癌であり原因は様々ですが、遺伝的なものやたばこの煙が原因で発症する事も考えられます。

症状は斜視の他にも痙攣・てんかん、同じ場所をくるくる回る、食欲がなくなる、性格が変わる等があり、認知症のような症状も見られるようです。

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【3】前庭疾患

前庭疾患は体のバランスを保つ前庭器官が腫瘍や炎症等によって侵される病気で、高齢犬によく見られます。

斜視だけでなく頭が左右に傾く、眼球が揺れる、同じ場所をくるくる回る等の症状が特徴的です。発症しやすい犬種はいませんが、比較的耳の炎症が起きやすい犬種に多いと言われています。

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犬の斜視に対する治療・手術の必要性について

診察台の上で青い服を着た獣医師の触診を受ける白いパグ犬

ここまでは病気の症状としての斜視について説明してきましたが、遺伝性の斜視の多くは視線のズレだけが問題とされます。

病気であれば適切な治療が必要ですが斜視だけの場合は治療が必要ないケースが多く、状態によって対応が変わってきます。

最後に、犬の斜視に対する治療と手術の必要性について説明していきましょう。

斜視に対する治療

基本的に遺伝性の場合、斜視は治療の対象外とされる事が多いでしょう。犬の日常生活に支障がないようであれば様子を見るように指示されるので、無理に治そうとする必要はありません。

手術すれば治療出来るかもしれませんが、必ずしもそれが良い結果をもたらすとは限らないのです。

手術の必要性

犬の斜視の手術は目の動きを調節する筋肉の一部を切って視線のズレを治します。ですが、この処置によって視力に異常が表れる場合も多いのでリスクが伴います。

あくまで手術は日常生活に支障がある場合の手段なので、まっすぐ歩けてふらつく事もなければ必要ないと考えることも多いです。必要であるかどうかは、獣医師の判断を仰ぐと良いでしょう。

犬が斜視になったら早めに病院を受診しましょう

青いシーツの上で横たわる白いフレンチブルドッグ犬

犬の斜視は基本的に治療が必要なく、日常生活に支障がなければ様子を見ていいでしょう。

しかし症状によっては病気のサインとして現れている場合もあります。目の様子がおかしいと感じたら自分では判断をせず、まずは病院を受診する事が大切です。

  • 更新日:

    2021.10.23

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。