犬は口腔内のトラブルが多い動物です。歯周病が進行し、根尖膿瘍(こんせんのうよう)と呼ばれる状態になると顔が腫れることがあります。
歯根の先端を「根尖(こんせん)」といいますが、歯周病が進行し、歯の根元の部分に膿がたまった状態を根尖膿瘍(こんせんのうよう)といいます。「根尖周囲膿瘍(こんせんしゅういのうよう)」「歯槽膿瘍(しそうのうよう)」とも呼ばれます。
犬が根尖膿瘍になると口臭やくしゃみ、鼻水、鼻出血、食欲低下などの症状が見られるほか、片側の目の下や頬が膿で腫れたり、たまった膿が皮膚を突き破って排膿し、頬に穴が開くこともあります。
根尖膿瘍を根本的に治療するは、抜歯が必要です。抜歯と合わせて抗生剤の投与も行われます。
抜歯には全身麻酔が必要になるため、高齢犬など麻酔のリスクが高い場合には抜歯をせずに抗生剤の投与など内科的治療が選択されることもあります。ただしこの場合、顔の腫れが収まるのは一時的であり、再発を繰り返すことになります。
歯周病を予防するには、原因となる歯垢・歯石を蓄積させないことが大切です。歯垢を放置すると3~5日で歯石に変化すると言われているので、できるだけ毎日歯みがきで食べかすや歯垢を除去しましょう。
一度歯石が付いてしまうと、自宅で落とすことは困難です。定期的に動物病院を受診し、必要に応じて歯石取りの処置を受けましょう。
草むらにいたミツバチやアシナガバチ・スズメバチに刺されたり、犬小屋にいたマムシにかまれて顔がパンパンに腫れることがあります。
ハチに刺された場合、毒針が皮膚に残っていたらクレジットカードや爪で弾き飛ばすようにして抜きましょう。指やピンセットでつまむと、毒嚢とよばれる毒の入った袋がある場合に袋を押しつぶしてしまい、毒液が体内に入る恐れがあります。毒を絞り出すよう水で洗い、患部を冷やして動物病院を受診しましょう。
毒へびにかまれた場合、動き回ると全身に毒が回ってしまうので、なるべく安静にさせ、すぐに動物病院を受診しましょう。
好奇心旺盛な子は、虫やへびに興味をもって近付いたり、においを嗅いで顔を噛まれてしまいます。危険な生物がいそうな草むらには顔を突っ込ませないよう注意しましょう。お散歩中はリードをなるべく短く保持し、いざというときに犬の動きをコントロールできるようにしましょう。
狂犬病や混合ワクチンを接種すると、稀に接種後の副作用としてアレルギー反応が出ることがあります。
アレルギー反応の症状は大きく2つに分けられ、ワクチン接種後すぐ(30分以内)に呼吸困難や虚脱などの重篤な症状が現れる即時型アレルギー(アナフィラキシーショック)と、ワクチン接種後数時間~数日後に顔の腫れやじんましん、下痢や嘔吐が起こる非即時型アレルギーがあります。顔の腫れは「ムーンフェイス」とも呼ばれ、よく見られる症状です。
ワクチン接種後は犬の様子をよく観察し、何かおかしなことがあればすぐに動物病院に連絡を取りましょう。時間があれば、接種後10~30分くらいは病院で様子を見ることをおすすめします。アナフィラキシーショックや顔面の浮腫には、迅速な処置が必要です。
ワクチン接種は体調の良い日にをするように心がけ、当日の激しい運動やシャンプーなどは控えましょう。アレルギー体質の子や過去にワクチン接種でアレルギーを起こしている子は特に注意し、接種前に獣医師に伝えておくことも大切です。
犬の顔が突然腫れるときは、ここでご紹介した歯周病やアレルギー反応、虫やへびにかまれたとき以外にも、腫瘍や外傷によるものなども考えられます。
顔の腫れは様子を見ていると悪化したり、原因によっては命に関わることもあるので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。