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ビーグルが舌を出して笑っている
健康管理 / 病気
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2021.10.13

犬の舌が黒いのはなんで?考えられる原因や潜む病気とは【獣医師監修】

遊んでいて口を開けている時や、ぺろぺろと飼い主をなめてくれる時に見える犬の舌。中には飼っている犬の舌が黒くてびっくりした方もいるのではないでしょうか?犬には舌が黒い原因がいくつかあります。
今回は犬の舌が黒い原因やそれにまつわる病気などを解説します。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長

犬の舌が黒い場合に考えられる原因4つ

ラブラドールレトリバー犬が舌を出して笑っている

犬の舌が黒い原因で代表的なものは4つあります。

考えられる原因【1】舌斑(ぜっぱん)

舌斑(ぜっぱん)とは、犬の舌にできる黒いシミのことです。中には青みがかっていたり、紫がかった色だったりします。人でいう「ほくろ」や「蒙古斑」のようなもののため、犬の健康に支障をもたらすものではありません。古くから血を受け継いでいる犬種に見られ、和犬だと甲斐犬北海道犬、西洋犬だとジャーマンシェパードゴールデンレトリバーに多く見られるようです。

考えられる原因【2】犬種による特性

犬の中にはもともと黒い舌をもつ犬種がおり、シャーペイチャウチャウが該当します。正確には青みがかった黒色で「黒舌犬」「青舌犬」などと呼ばれることもあるようです。他の犬のようにピンク色でない原因は特定されていないようですが、正常な状態ですので病気などの心配はありません。

考えられる原因【3】チアノーゼ

犬の血中の酸素濃度が下がりチアノーゼを起こすと、普段はピンク色である口内の粘膜や舌が赤紫や青紫など、やや黒ずんだ色になります。チアノーゼを起こしている時は、心臓血管系の異常や呼吸器系の異常が疑われます。

考えられる原因【4】腫瘍

黒いドーム状のふくらみが犬の舌や粘膜部分にできていたら腫瘍かもしれません。悪性と良性どちらも考えられます。

犬の舌が黒い場合に考えられる病気3つ

大型犬の子犬が診察台で獣医師に診察されている

犬の舌が黒い時に考えられる病気は複数あります。

併発する症状【1】痰を吐くような咳をする

舌が黒っぽい紫のような色味の状態で痰を吐くような咳をしている場合は心疾患の可能性があります。チアノーゼと呼ばれる酸欠状態により下の色が変色しているのかもしれません。 速やかに動物病院に連れて行くのをおすすめします。

考えられる病気【1】僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症とは、左心室から大動脈へ血液を送る際に、血液が左心房へ逆流するのを防ぐ僧帽弁が変性し、機能が低下してしまう病気です。僧帽弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、全身へ血液を送ることができなくなります。

初期の段階では全身に大きな影響はでませんが、進行に伴い粘膜や舌の色が紫などの黒ずんだ色になるチアノーゼや、呼吸困難を引き起こします。 治療は心不全になるまでの時間を延ばす投薬や手術がほとんどです。

併発する症状【2】咳が続き、呼吸の様子がおかしかったり呼吸音が異常である

慢性的な咳が続いたり、呼吸音が異常な時に舌が黒っぽい紫の場合は、気管支や肺の病気が疑われるためかかりつけの動物病院に相談しましょう。

考えられる病気【2】慢性気管支炎から重篤化した肺炎

犬の慢性気管支炎は、刺激物やウイルス感染により気管支に炎症を起こす病気です。重篤化すると肺まで感染や炎症が波及し、呼吸困難になり、チアノーゼを起こすこともあります。完治は困難とされていますが、抗炎症薬や気管支拡張薬などの薬を使用し、咳や感染などをコントロールする治療が行われます。

併発する症状【3】口臭がひどくなったり、口から出血したりする

犬の舌に黒いふくらみがあり、口臭や口からの出血を伴う場合は悪性腫瘍の可能性が高いため、できるだけ早く治療を行ってあげましょう。

考えられる病気【3】悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は色素を作る細胞のメラノサイトが癌化してできる腫瘍です。多くの場合歯肉部から発生することが多く、次いで唇、舌、上あごの硬口蓋という順番に発生します。発症すると進行が早く、初診時には腫瘍が口中のかなりの部分を占拠し、肺やリンパ節への転移が高頻度に見られます。

治療として優先されるのは、悪性黒色腫を含む広範囲の摘出手術です。取りきれなかった悪性黒色腫や転移性病変に対し抗がん剤を使用した補助的化学療法も行われます。治療後も再発が多いため、定期的な検査が必要になります。

犬の舌が黒い時に必要な対処法とは

茶色い子犬が診察台で伏せしている

犬の舌が黒い状態になっていたら飼い主にできることはひとつです。

速やかに動物病院を受診する

舌斑や犬種により犬の舌が黒い場合は気にする必要はありません。しかしそれ以外が原因の場合は少しでも早く動物病院を受診し、正しい処置を行ってあげる必要があります。

愛犬の体の変化を見逃さないようにしよう!

ラブラドールレトリバー犬が飼い主に可愛がられている

犬はしゃべれないため、自分の体調不良を飼い主に伝えることができません。しかしほとんどの場合、何かしらの病気の際には犬の体に変化が起きます。犬に少しでも苦しい思いをさせないためにも、気になることがあればすぐに検査をし、正しい処置ができるようにしておきましょう。

  • 更新日:

    2021.10.13

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。