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健康管理 / 病気
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2021.10.02

犬の腎不全の最期。穏やかに過ごしてもらうために飼い主にできること

犬の腎不全は、初期症状がわかりづらいため、気づいたときにはすでに末期だったということが多くあります。愛犬が腎不全になってしまったときのことを考え、腎不全の最期に見られる症状や、愛犬のために飼い主ができることについてご紹介します。

監修:加藤 みゆき/獣医師(文:新井 絵美子/動物ライター)

犬の腎不全とは?

犬 腎不全 最期 穏やか

腎不全とは、腎臓の機能の低下によりさまざまな症状を引き起こす状態のことをいいます。腎臓は、尿の生成や体内の不要になった老廃物を尿として体外に排出するなどの働きがある臓器で、ネフロンと呼ばれるろ過組織で成り立っています。腎不全になりネフロンがダメージを受けると尿毒性物質が体内に溜まってしまうため、様々な症状が現れるようになります。

腎不全には、症状を発症するまでの時間経過によって急性腎不全と慢性腎不全に分けられます。

慢性腎不全

数ヶ月~数年の長い経過をたどって腎臓の機能が徐々に低下していくのが慢性腎不全です。左右1個ずつある腎臓の片方、または両方が正常に働いていない状態が3ヶ月以上続いている状態のことを指します。高齢の犬に多く見られる傾向にあり、発症してしまうと残念ながら完治することはできません。

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急性腎不全

急性腎不全は、数時間?数日という短期間で腎臓の機能が低下して重度の症状を引き起こした状態をいいます。慢性腎不全よりも発症率は低いですが、急激な状態の悪化により死に至ることもあるので注意が必要です。

早期治療によって腎臓の機能が回復する可能性もありますが、腎臓への障害が大きいため慢性腎不全へ移行する場合もあります。

犬の腎不全、最期の症状とは

犬 腎不全 最期 穏やか

腎臓の機能が低下していても症状がわかりづらいため、動物病院を受診したときにすでに末期(最期)だったということも少なくありません。ここでは、腎不全の最期の症状について見ていきます。

腎不全最期の主な症状

腎不全最期では尿毒症が発現し、主な症状としては以下が挙げられます。末期症状と言われるステージ4まで進行すると残存腎機能は5%で、積極的に治療をしないと生命維持が難しくなります。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • けいれん
  • 意識混濁
  • 血尿

病気が進行してから症状に気づくことが多い

慢性腎不全においては徐々に腎機能が低下していき、腎機能の75%を失うまでは目立った症状がないため、気づいたときにはステージ4の最期の段階だったというケースも多くあります。そのため、多飲多尿や脱水、食欲低下、元気がない、痩せてきたなど、腎不全の初期症状を見過ごさないようにすることが重要です。

犬の腎不全との向き合い方

犬 腎不全 最期 穏やか

一度ダメージを受けた腎機能は、元には戻ることはありません。そのため、「症状の緩和」と「病気の進行を遅らせること」に飼い主さんは向き合っていく必要があります。

尿毒素の原料となるタンパク質を制限する

末期になり尿毒症が起こってくると、口内炎や胃炎になりやすく口の痛みや吐き気によって食欲が落ちてきます。食べない状態が続くと体力が落ちて衰弱してくるほか、生命維持のためにタンパク質が利用され余計に腎臓に負担がかかります。

一方で、タンパク質は尿毒症の原因ともなるため、末期ではタンパク質をできるだけ制限した特別食を給餌します。さらにリン、ナトリウムの制限も有効で、これらを制限しビタミンを強化した腎疾患用療法食もあります。

皮下輸液・静脈輸液により水分を補給する

腎不全の末期になると尿をつくれず尿量が減り、体内に老廃物が溜まってしまいます。そのため、皮下輸液や静脈輸液により水分を補給し、体液を増やして尿量を増加させることで、体内の老廃物や毒素を体外へ排出させます。

輸液療法をしないとつらい状態が続いてしまうため、なるべく回数を増やしてあげるように獣医師からすすめられるかと思います。ただ、通院のために割く時間、治療費などの負担がどうしても大きくなってしまうほか、週に何度も通院することが愛犬にとってストレスになってしまうもの心配なところです。

愛犬がどれだけ穏やかに過ごすかはとても大切なことなので、愛犬にとってどこまで治療をしてあげるのがベストなのか、家族と話し合うことはもちろん、獣医師ともよく相談して治療を進めていくようにしましょう。

愛犬が穏やかに過ごせるかも考慮しながらケアをしてあげる

犬 腎不全 最期 穏やか

腎不全になり最後の症状が見られるステージ4になると、積極的に治療をしなければ生命の維持が難しくなってきます。とはいえ、そのときの愛犬の状態や愛犬の性格、経済的な状況などによって、どのように治療を進めるのがベストなのかはそれぞれ異なります。獣医師とも相談し、愛犬が穏やかに過ごせるかも考慮しながらケアをしていくことが大切です。

  • 更新日:

    2021.10.02

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ライター・専門家プロフィール
  • 加藤 みゆき
  • 獣医師
  • 日本獣医生命科学大学(旧・日本獣医畜産学部)を卒業後、獣医師として埼玉県内の動物病院にて犬・猫・小鳥の小動物臨床とホリスティック医療を経験。その後、小動物臨床専門誌の編集者を勤めた後、現在は都内の動物病院にて臨床に従事。 日々発展する小動物臨床の知識を常にアップデートし、犬に関する情報を通じて皆様と愛犬との暮らしがより豊かなものとなるように勉強を重ねて参ります。