呼び戻しのしつけは犬の安全を守るためにもとても重要です。室内犬であれば呼び戻しを教える必要はないと思われるかもしれませんが、「おいで」を覚えていれば急なトラブルにも慌てずに対応できます。まずは呼び戻しの定義とメリットについて、順番に見ていきましょう。
犬の呼び戻しとは、飼い主が声をかけたらどんな時でも戻って来られるようにするしつけを指します。一般的には「おいで」で教えますが、「来い」や「カム」、犬の名前など、コマンド(指示語)は何でも構いません。
ただし、しつけるときは家族の間で言葉を統一するように注意しましょう。
呼び戻しを教える一番のメリットは犬の安全を守れる点です。散歩中にリードが外れて道路に飛び出したり、窓から外に逃げ出したり、ふとした瞬間に起こるトラブルも呼び戻しによって対応が可能です。
また、ドッグラン等の他の犬がいる空間でも、呼び戻しを覚えておけば犬同士の喧嘩を未然に防げぐことができます。
「おいで」と呼んでも犬が来ない場合は、どのような理由が考えられるのでしょうか。
基本的に、犬は嫌な思い出があると同じ行動はしなくなります。また、「おいで」をしつけたつもりでも、目の前の楽しい事の方を優先してしまっている可能性もあります。
犬が言う事を聞かない場合は正しいトレーニング法を試す前に、何が原因かを先にはっきりとさせておきましょう。
以前呼び戻したときに「犬を無理やり捕まえた」、「正面から覆いかぶさるように抱いた」ことがあるなら、それが原因で言う事を聞かなくなった可能性があります。
たとえば、用事があるからといって呼び戻し、すぐにハウスに押し込められればそれは嫌な経験として蓄積されます。抱き上げる時に上から覗き込まれれば、小さな小型犬なら恐怖を感じて呼びかけても来なくなる場合もあるでしょう。
愛犬が苦手な歯みがきや爪切り、ブラッシング等をしたい時に「おいで」と呼び戻してしまえば、「呼ばれたら嫌な事がある」と学習してしまうでしょう。
たとえご褒美におやつ等を用意していても、犬にとっては嫌な事が待っていることに変わりありません。犬は基本的に拘束される事を嫌がるので、まずは体に触れられる事に少しずつ慣らしていきましょう。
犬を呼んだ時に尻尾を振りながら逃げるようであれば、飼い主を遊びに誘っている可能性があります。しつけをしているはずなのに来ないのは、「おいで」を理解していても目の前の楽しい事を優先させているためでしょう。
緊急時でなければそのまま遊んであげてもいいですが、呼び戻しはいつ、どんな状況でも戻って来るようしつける必要があります。犬の安全を守るためにも、しっかりコマンドが理解できるようにトレーニングしていきましょう。
呼び戻しのトレーニングを始める場合、まずは家の中等静かで落ち着いた環境から始めましょう。成功体験を増やしていくことが大切なので難易度は少しずつ上げていき、慣れてきたら屋外でもトレーニングに挑戦してみてください。
具体的なトレーニング方法は次の通りです。
犬への刺激が少ない屋内で、最初は犬が飼い主を意識していない時に「おいで」と呼び掛けてみましょう。犬が飼い主の顔を見て近づいてくればおやつをあげてしっかり褒めてください。
慣れてきたら難易度を少しずつ上げていき、以下のような状況でも呼び戻しに応じるようトレーニングを繰り返しましょう。
屋内に慣れたら家の外でもトレーニングしていきましょう。
最初は家の周辺でリードの届く範囲から始め、問題なければ公園などの人のいる賑やかな環境でも呼び戻せるか試します。そこでもクリアできたら、さまざまな刺激がある以下のような状況でも呼び戻せるように練習していきましょう。
呼び戻しのしつけで最も重要なポイントは飼い主との信頼関係です。このトレーニングは犬に信頼されていなければ成立しないため、もし上手くいかない場合は犬とのスキンシップやコミュニケーションの機会を増やしましょう。
そして、犬が呼びかけに応えて戻って来た時は感謝の気持ちや嬉しさを込めてしっかり褒めてあげることが大切です。おやつを使う時は犬が戻ってくるまでは見せず、呼び戻しが成功した時のご褒美として与えるようにすれば犬も理解しやすく上手くいくでしょう。
普段呼び戻しはあまり必要のないしつけかもしれませんが、いざという時のトラブルを避けるために非常に役立ちます。呼び戻しのトレーニングは根気が必要ですが、犬との信頼関係を築くという意味でも是非一度しつけの一つとして取り入れてみてくださいね。