一番最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月当時、私は、シェルター出身の愛犬1匹と友人1人と一緒に暮らしていました。それまで被災の経験がなかった私たちが、家に備えていた防災グッズは最低限。そんなとき、想像もしなかった出来事が起こったのです。
今回は、4歳の「保護犬」と暮らす我が家の災害対策について、愛犬との防災を本気で考え始めるようになったきっかけとなる体験談を交えながらご紹介していきます。

私の愛犬「カイル」は雑種の男の子で、元保護犬です。誕生日不明のため推定4歳として登録しています。
そんな彼が我が家にやってきてすぐの春、日本初の緊急事態宣言が発令され自粛ムードの中、なんと自宅リビングに汚水が溢れ出すという事件が発生したのです。
当時、新型コロナウイルスに関する情報は今より少なく、「謎のウイルス」として色んな憶測が飛び交っていました。私もテレワークが始まったばかりの4月下旬、大雨が続いた日でした。
当時のカイルは全く人に慣れておらず、飼い主の私が触るだけで失禁してしまうほど臆病でした。当然、お散歩もままならず「人と住むことに慣れる」ことが目下の課題というレベルです。そんな中、自宅トイレの流れが悪いと感じ、水道業者を呼びました。当然カイルはパニックを起こし、震えが止まりません。
業者さんには「この部屋には問題がなく、アパート共用ポンプに問題がある。汚水が逆流する可能性があるので、数日間はトイレは使用しないでください」と言われました。
そして翌日の午後、買い物から帰宅すると部屋の半分が汚水に浸り混乱したカイルがいました。
幸いな事にカイルは汚水に触れておらず、近付くと部屋の隅に逃げたのですぐに保護することができました。当時の部屋はメゾネットだったので、リードをつけてカイルをロフトに避難させました。
しばらくはこの部屋に住めないと判断し、まずは犬と泊まれるホテルを探しました。緊急事態宣言中ということもあり、多くのホテルは休業。先輩の家に1泊、民泊で2泊、その間に長期滞在できるホテルを探して、残りの半月は舞浜のホテルに宿泊しました。
車や新しい場所、キャリーバッグ、人、リード、外、全てが怖いカイルにとっては想像を絶する日々だったはずです。ストレスから最初の2日間はご飯もおやつも食べず、5.7kgの体重は5.2kgまで落ち、舐性皮膚炎で前足の一部ががただれてしまいました。

災害は、想像もしないタイミングで突如として起こることを身をもって経験した私たちは、日頃の備えが「命」と「健康」を守ると痛感しました。
保護犬に限らずペットを飼ったばかりという方、どう備えるべきかイマイチわからないという飼い主の方に向けて、我が家で行っている対策をご紹介します。
フード、おやつ、トイレシート、シャンプータオル、おもちゃ、ブラシ、愛犬手帳(ドッグパス)をリュックにまとめてクローゼットの持ち出しやすい所に置くようにしています。
「大変な時におもちゃなんて…」と思うかもしれませんが、自由にお散歩が出来ない状況で、愛犬のストレスを軽減させたり緊張をほぐすおもちゃは、意外と重要な存在です。他にも、長い間シャンプーができないこともあるので、シャンプータオルも非常に重宝しました!
避難中は、飼い主んさんも自分のことでいっぱいいっぱいになってしまうことでしょう。自由に動物病院にも行けない時の愛犬手帳は、読んでもらうだけで「細かく、わかりやすく」愛犬を説明できるので頼りになります。
リードをつけようとすると逃げる、クレートに入ってくれない、室内でトイレが難しい、足を触らせてくれない、など色んな「苦手」を持つ子がいると思います。
でも、災害が起きてからそんな事は言っていられません。嫌がる愛犬に無理を強いるのは心苦しいですよね。私は、少しずつでももっと練習してあげれば良かったと今でも後悔しています。カイルの場合は、上記の災害を経験した後に、遊びながらハーネスの着脱をコマンド化しました。非常事態の時に脱走してしまったら大変ですものね。
また、屋外で食べものを食べること、シートと屋外のどちらでもトイレが出来ることも大事だと感じたので、少しずつ練習しました。クレートは日常的に開放し、自由に出入りできるようにしています。混乱した状況下で「いつもの場所」があるだけで愛犬にかかるストレスは大きく変わります!
避難時には、公的手続きや買い物などで愛犬と離れなければならない時があります。クレートでお留守番できればそれも良いですが、周りにペットを飼ってるなど頼れそうな方がいるなら「少し見てもらえる」関係性を築いておくと心強いです。
安心できるのは、飼い主だけでなく愛犬も同じはずです。民泊やホテルを転々をした後、先輩宅に泊めてもらった際、カイルは「生きてる?」と思うほどぐっすり眠りました。民泊やホテルでは音や光に警戒してしっかり休めていなかったのだと、恥ずかしながらその時初めて気付きました。
災害時は、飼い主さんも不安な気持ちになります。それはきっと愛犬にも伝わります。些細なことに感じるかもしれませんが、飼い主さんの落ち着きや余裕が、緊張して食べられなかったご飯を食べるきっかけになったり、ゆっくり眠れたり、愛犬にとって大きな影響を及ぼす可能性があるはずです。

犬の防災グッズは、ここぞ!という時に使うものだからこそ、機能性が大事!愛犬の命を預けられるのかを基準に、飼い主さんも安心できるものを選びましょう。我が家では、店頭で実際に商品を見てから、インターネットで色や価格帯を確認して購入しています。
同じ犬種であっても個体差があるので(同じチワワでも1kgの子もいれば4kgの子もいる)、「チワワサイズ」や「プードルサイズ」を基準にするだけでなく愛犬に合ったサイズを選べるよう、しっかり確認したいですね。
クレートは災害時、愛犬の臨時ハウスになります!念のため、飛行機に対応した頑丈なものを用意しておくと安心です。上に他の子のクレートが乗っても平気な強度が好ましいです。また、クレートを置く場所が限られる場合もあるので両開き機能は地味に重要です!
とはいえ、緊急避難が必要になるような場合、クレートは手持ちするには重い上に、かさばって身軽に動きにくいというデメリットもあります。そこで我が家では、緊急性の高い場合はリュック型のキャリーバッグで避難、その後長期滞在の可能性が発生したら頑丈なクレートを取りに行く、というシュミレーションをしています。
中・大型犬の場合は、抱っこしての移動が困難です。しかし、災害が起きて避難する道はガラスの破片など危険がいっぱい。
夏場はどうでしょう。アスファルトがとても熱く足裏火傷のリスクもあります。また避難中、お散歩ができても足を洗う場所がないかもしれません。
犬の足裏はとても敏感なので、慣れるのが難しい子もいるかもしれませんが、飼い主としてはあると安心なグッズです。
収納力があるキャリーバッグは救世主です。
ウンチ袋やお水、おやつなどを入れておけば、忘れ物を気にせずすぐに移動できます。
また、アウトドアブランドのものは機能性が高く、様々な天気を想定して作られているものが多いです。少し高いなぁと思うかもしれませんが、使う(背負う)時間が長くなるキャリーバッグだからこそ、良いものを用意しておきたいですね。

私がペットの防災の基本だと思っていることは、「愛犬の安全」と「飼い主さんの安定」のどちらも確保することです。
犬は繊細な感情を持つ生き物です。家族をよく見ているからこそ、動揺や不安は伝わってしまいます。災害に見舞われて不安になるのは当然です。しかし、最善の備えと判断が出来れば愛犬への声掛けにも説得力が生まれます。
そして、大切なペットを守るためには、ペット達が「守られてくれる」ことが必要です。これは、飼い主がいくら安全に守ろうとしてもペットが飼い主を信頼していない限り、自らの判断で行動しようとしてしまうということです。結果、怪我や病気をしてしまう事があります。
カイルは災害当時、信頼関係が希薄な私と知らない環境に警戒し、食べることを拒否しました。歩いて移動しようとしてもカイルが違う方向に逃げようとしました。
こちらがいくらやる気を出しても、ペット達が受け入れてくれない限り「防災」も成立しにくいのです。情報や用品の備えはもちろん、まずは飼い主自身が自分を大事にして、愛犬が頼りたいと思える飼い主になりたいと思っています。
ドックドッグでは、2021年9月の防災月間に30日間連続で「犬の防災」に関するオリジナル情報配信してまいりました。
すべての記事を以下のページにアーカイブ化してあるので、気になるテーマがあれば遡ってチェックしてみてくださいね!
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