東日本大地震から数ヶ月後、私は捨てられていた愛犬の「紅」と出会いました。テレビで頻繁に流れる震災の映像を見る度に「もし愛犬と自分の身にも同じことが起きていたら…」と背筋が凍るような感覚を覚えたことを記憶しています。
今回は8歳の「甲斐犬」と暮らす我が家の災害対策について、愛犬との防災を考え始めるようになったきっかけや体験談を交えながら、愛犬のために備えている犬用防災グッズまでをご紹介します。

我が家の紅は甲斐犬の女の子で、今年で9歳になります。そんな彼女が茨城にある我が家にやってきて4年目の2016年、皆さんの記憶にも新しい「熊本地震」が発生しました。
当時は被災地の映像がずっとニュースで取り上げられていました。映像から呼び起こされたのは、離れた岡山で東日本大震災の映像を見ていた日々の言葉にできない悲しみでした。
テレビで連日流れる熊本地震の映像を愛犬と並んで見ながら、背筋が凍るような思いをした記憶があります。紅は東日本大震災を経験していません。私も震災当時は岡山の大学に通っていたため、家族の中で唯一震災を直接経験しませんでした。
しかしながら、紅と暮らす私たちは、熊本の被災地の映像によって東日本大震災での記憶が呼び戻され、気持ちが落ちこんだ日々を過ごしていました。何よりペットとの同行避難ができず、倒壊した家屋と敷地内に残される犬の姿に、ショックを受けていました。
東日本大震災でも問題となった同行避難がいまだに困難な状況であることを認識し、災害が起きた際にも自宅での生活することを見据えるようになりました。災害に備えて犬用のグッズを買ったり備蓄を考えたりと、人間中心だった防災意識が犬との防災に変化しました。
熊本地震をきっかけに、愛犬を含む家族の防災を真剣に考えるようになり、以来ネットや書籍で「犬の防災」について調べるようになりました。
特に印象的だったのが、森絵都さんの『おいで、一緒に行こう 福島原発20キロ圏内のペットレスキュー』です。東日本大震災の際、福島原発20キロ圏内のペットたちがどのようにボランティア団体などに保護されたかを克明に綴ったこの書籍を号泣しながら読みました。
また、東日本大震災のドキュメンタリー番組で目にした、同行避難ができないために家に残された犬が、避難所に向かう家族が乗った車を走って追いかける姿がどうしても頭から離れませんでした。
「何があっても絶対に紅とは離れ離れにはならないぞ」と誓い、そのためにネットで犬の防災について調べる日々でした。

上述のような経験もあり、犬と暮らす我が家にとって万が一自分たちが被災した場合を想定すると、やはり日頃の準備が何よりも肝心だと思っています。
もしもに備えて、今から準備していること・これから備えを一層強化しようと考えていることをご紹介します。
犬と共に生き残るためには、まず何よりも人間がしっかりしていなければなりません。人間が怪我をしたり、被災後の生活に困って犬のケアが疎かになるような状態では、備えているとは言えないと考えています。ですから、人間用の備蓄を日頃から蓄えています。
ローリングストック法を意識して、乾物やレトルト食品、パックご飯、カップラーメン、袋麺など、平常時でも非常時でも使える食材を普段から使って生活しています。月に一度は少し多めに備蓄になる食材を買うようにしています。やはり日頃から食べ慣れた味のものが一番食が進むので、非常時でも元気でいられる要因になると思っています。
愛犬のために備蓄しているのは、第一に人間にとっても犬にとっても大事な水、第二にドッグフードです。
被災した場合を考えて、水の備蓄は週1回程度、家族4人と愛犬の分を含めて500ml×35本入りなどをまとめ買いし、他にも備蓄用の2L×6本の水を数箱常備するなどしています。
ドッグフード(餌のメイン)は20kgを半年単位で購入、半生のフードなどは半月に1度程度のスパンで1週間分多く購入しています。その他にもレトルトパウチタイプのフードは長持ちなので日頃から少し多めに購入して、ローリングストック法で消費して買い置きしています。
犬用の非常食はあまりないため、人間と同じく日頃食べ慣れたドッグフードの買い置きが大切だと考えています。
被災時に怖いのは、犬が倒壊した家屋から飛び出して迷子になることです。万が一迷子になった場合のために鑑札と迷子札をつけています。
ハンドクラフト作家さんなどが作っている可愛らしいデザインのものもあるので、防災を意識した日にまずは愛犬の迷子札を作ってみてはいかがでしょうか。愛犬の通院に関する情報(病院の連絡先や投薬名など)を記入しておいたり、アレルギーの表記をする、なども気をつけておきたい点です。
また、日頃から犬が家の中で安心できる場所を作っておくと、脱走の回避に繋がります。クレートを避難場所にするようしつけておくこと以外にも、日頃から犬の防災手帳を持ち歩いておくのもおすすめです。人間が事故や災害に遭った場合でも、家に犬がいることを周囲に伝える手段になります。

自宅での被災を考えて防災用品は家に常備していますが、家屋が倒壊した場合などは避難所や車上での生活になることも視野に入れて、車の中にもいくつか防災用品を設置しています。
基本的には散歩用品のスペアとして伸縮しないリード、折りたためるご飯容器、消臭うんち袋、ハーネス、ペット用防水座席シート、犬用クッションシート、おしっこシートやタオルなどを積んでいます。もし出掛けた先で犬と被災した場合でも、これらがあれば有用かと思います。
首輪だけでは非常時に心配なので、ハーネスと伸縮しないリードを準備しています。一番大切なのは、犬と人間の命綱と言っても過言ではないリードです。耐性の考慮も必要ですが、スペアがあると安心できます。
日常の散歩で使用するリードは伸縮タイプを使用していますが、緊急時は周囲の状況も考えて伸縮しないタイプがよいでしょう。また、災害の発生時が明るい日中とは限りません。反射素材がついていたりするものや、首輪やリードに取り付けられるタイプのライトなどもあるといいと思います。
被災時に避難所などに向かう道は、瓦礫だらけになっている可能性があります。海外のニュース映像で災害現場で救助犬が靴を履いているのを見たり、散歩グッズの一環として調べたりした結果として犬にも靴が必要だと思い購入を決めました。
犬との防災について考え始めた時に購入したのが「いぬとわたしの防災ハンドブック」でした。何が大切か冷静にわかりやすく、順序立てて説明されています。これから防災について考えたい時に一度読んでみてください。実際に備えている人々へのインタビューや避難グッズ一覧、チェックリスト、避難手帳も記載されており重宝します。

今回は私が普段から実践している犬の防災対策やおすすめアイテムについてご紹介しました。この記事が、愛犬との防災について考え始めるきっかけになっていれば幸いです。もしものときに愛犬と自分の命を守れるよう、日ごろの準備の参考にしてくださいね。
9月の防災月間中は、毎日お昼の12時半ごろに「犬の防災」に関する情報配信をしています。
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