私は2011年3月11日の「東日本大震災」発生時、神奈川県で愛犬「さち」と暮らしていました。地震発生時、私は高校におり、父と母は仕事、さちは家にひとりぼっちの状態でした。
愛犬が留守番中に、災害が起こった場合どうなるのか。今回は当時の体験談と併せ、愛犬のための災害対策について紹介します。

我が家の「さち」は雑種犬の女の子で、今年で13歳になります。幸いなことに、我が家はそれまで大きな災害を経験したことがなく、加えてさちはとても怖がり。大雨の日は、雷や風の音が怖くて、ソファの裏側に隠れてしまうような女の子でした。
そんなさちが我が家にやってきてから、3年ほど経ったある日、東日本大震災が起こりました。
これまでに体験したことがないような大きな揺れ。怖い、と思うと同時に、家でひとりで留守番しているさちのことがとても心配になりました。
大丈夫だろうか、留守番なんてさせるんじゃなかった。不安な思いと後悔に胸が潰れそうになりながら、急いで高校から家に帰りました。
帰宅しドアを開けると、すぐにさちが飛びついてきました。「どこ行ってたの!」と言わんばかりに私の手や顔を舐め、ハッハッと息を切らし落ち着かない様子でした。
室内は荒れていました。棚の上の物が落ちているだけでなく、絨毯がめくれあがっていたり柵が倒れていたりしたのは、きっとさちがパニックでになって走り回ったからだろうと思います。
とにかくさちが無事で良かった。ホッとすると同時に、また新たな不安を覚えました。
「父母が帰宅するまでの間、自分一人でさちを守り切れるだろうか?」
正直私は自信がありませんでした。そして、これまでの自分の防災意識の低さを痛感しました。
その後、幸運にも私が住んでいた地域は避難区域とはならず、父母も翌日には無事に帰宅しました。
しかし、連日流れる地震や津波の被害の報道を見て、「もしも」のことを考えることが多くなりました。もしもあの時、さちが外に逃げ出してしまっていたら、津波が来ていてすぐに避難が必要だったら、誰もすぐに帰宅できない状況だったら・・・など、考えれば考えるほど、私達家族はこの子を守り切れるのだろうか、と不安になりました。
そして、その思いは父母も同じでした。我が家は東日本大震災をきっかけに、愛犬を守るための防災対策をより深く考えるようになりました。

日頃から災害対策はしていたつもりの我が家ですが、実際にこのような経験をしてみると、準備が足りなかった部分、もっと話し合っておかなければいけない部分が見えてきました。
自分達の身を守りながら愛犬も守るということは、想像以上に覚悟のいることです。
しかし準備さえしておけば、もしもの事態で最善を尽くすことが出来ます。災害はいつ起きるかわかりません。いざというときに後悔しないよう、いつか、ではなく、今すぐにでもやるべき対策があります。
そこでここからは、実際に我が家が実践している対策や、おすすめの防災グッズをご紹介いたします。
先にも述べた通り、災害はいつ起こるか分かりません。愛犬が留守番中の時かもしれませんし、愛犬との外出時かもしれません。そこで必須になってくるのは、「この時はこう動く」という行動パターンを作っておくことです。
災害が起きると家族間での連絡も取りづらくなり、冷静な判断や行動が難しくなります。そんな時に、状況に応じた行動パターンや約束事があることで、冷静に行動しやすくなります。例えば「平日は母が一時帰宅し、その後愛犬を連れて公園まで避難する」などです。
様々なパターンを事前に想定しておくこと、また、家族の通勤・通学状況が変わるごとに話し合いをし、情報の更新をしておくことがポイントです。
震災当時、「ペットが避難所に入れず行き場が無かった」というニュースをよく目にしました。地域ごとに差もありますが、ペットの屋内同伴が可能な避難所はあまり多くないようです。
いざという時、どこの避難所に行けばいいのか迷わないよう、住んでいる自治体ごとの避難所のルールを確認しておきましょう。
また、お散歩がてら実際に愛犬を連れて避難所まで行ってみる、というのもオススメです。意外に坂道がきつい、など、歩いてみて分かることもありますし、ある程度愛犬が道に慣れていた方が避難の時にスムーズです。
対策や準備は充分に出来ていても、すぐに帰宅できる家族が誰もいない、というケースはあると思います。そんな時のために、信頼できる知人や親族が近くに住んでいる場合は、愛犬のことを話しておきましょう。
様子を見に行ってほしい、水とごはんを替えてあげてほしい、時には愛犬を連れて避難してほしい、など、頼める範囲でお願いしておくことで、少しでも愛犬の危険を減らすことが出来ます。
また、それと併せて愛犬の性格や特性もしっかり伝えておくといいでしょう。トイレは屋外でしか出来ない、足を触るとすごく怒る、常備薬がある、など、把握してもらった方がいいことはまとめて書き留めておくのも良いと思います。

ペット関連の防災グッズは様々なものがありますが、今回は特に、我が家で話題に上がった「避難時」に役に立つグッズにスポットを当てていこうと思います。
というのも、我が家の愛犬さちは頑固なところがあり、日頃の散歩中も固まって動かなくなることが多く、いざと言うときにスムーズに避難できるかが不安でした。そうでなくても被災した地域は足元が悪かったり、いつもと違う雰囲気で戸惑う子も多いと聞きます。
というわけで、もしもの時にスムーズに避難するために役に立つであろうオススメグッズを3点紹介していきます。
まずひとつめのオススメグッズは、「ハーネス」です。
避難時、または避難所での行動は、愛犬にとってイレギュラーなことばかりのため、普段は落ち着いている愛犬も興奮してパニック状態になってしまう可能性があります。そんな時にリードと首輪だけの状態ですと首輪が抜けてしまうリスクがあり、愛犬にとっても周囲にとっても危険です。
実際我が家の愛犬は首周りの毛が厚いため、ちょっとした拍子にスポンと首輪が抜けてしまったことがあります。その時は庭でしたが、公道だったらと思うとゾッとします。
その時の反省という意味でも、我が家は愛犬の安全を確保するため、平時から首輪ではなくハーネスを使っています。
オススメグッズふたつめは、「ペット用キャリー」です。
抱っこが出来る小型犬の場合はあまり必要ないかもしれませんが、抱っこが苦手な子、体が大きい子の場合は、キャリーがあると移動の役に立ちます!
今は若くて元気いっぱいの愛犬も、数年後は長距離の移動が難しくなることもあります。また、災害時のパニックで歩いてくれなくなったり、予想以上に長距離の避難になってしまう場合も、キャリーがあれば安心です。
ただ、被災時に突然キャリーに乗せるとビックリしてしまう子もいると思うので、平時からキャリーに時々乗せてみて、慣れさせてあげると良いでしょう。
そして最後に、最も手軽かつ重要なオススメグッズが、「靴下」です。
災害時に避難ルートの足元が悪くなっていることを考え、犬用靴下を何足か常備しておきましょう。
暴風雨や震災の被害を受けると窓ガラスの破片などが道に飛散していることがあり、そのまま外を歩くと足の裏を傷つけてしまう危険があります。
そして一番怖いのが、ほんの小さな傷でも、災害時の衛生環境では細菌感染を引き起こしかねないというところです。
細菌感染は最悪の場合命に関わることもあります。人が足元を守るように、愛犬の足元も守ってあげましょう。

愛犬を危険から守るためには、いつもそばにいてあげることがもちろん理想です。けれど実際はそうはいかない時もあります。
離れていても愛犬を守ることが出来るように、いざという時に後悔しないように、今から出来ることを少しずつでも実践し、もしもの事態に備えてもらえたらと思います。
また、防災対策は、一度考えれば大丈夫、というものではありません。私達も犬も歳を取りますし、周囲の環境は日々変わっていきます。
少なくとも年に一回は、対策を見直すために家族で話し合う機会を作るようにしましょう。
9月の防災月間中は、毎日お昼の12時半ごろに「犬の防災」に関する情報配信をしています。
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