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2021.09.19

手づくりごはん|パートナーに優しいレシピ【第3部】|vol.10

パートナーに優しいレシピ|動物愛護法【1】もう動物はモノではない

今回から2回にわたり、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」のことをお話させたいただきたいと思います。動物愛護法は、私たちが一緒に暮らす犬たちを初め、人間と共に生きる動物たちを守り、可能な限り苦痛のない生涯を送れるように定められた法律です。
1回目の今日は、動物愛護法の概要をご紹介します。
この法律は昭和48年(1973年)に施行されました。偶然ですが、私は昭和48年生まれです。施行当時、私の周りにいた犬や猫と、人間の動物に対する考え方を振り返りながら、動物愛護法の改正された内容や課題を考えてみたいと思います。

#パートナーに優しいレシピ

さの さえこ/犬の東洋医学生活管理士

野良犬と野良猫が当たり前の昭和48年

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これは私が北海道に住んでいた頃、自宅で撮った写真です。我が家には祖父がどこかから連れて来たアイヌ犬がいました。

当時の犬は外飼いが普通で、それは冬に雪が何メートルも積もる北国でも同じでした。
犬は家族というよりも、番犬のイメージが強かった時代です。

近所には野良犬がウロウロして襲われたこともあります。野良猫も多く、子猫が箱に入れられて捨てられているのも当たり前の光景でした。狂犬病自体は1957年に撲滅させることに成功しましたが、日本での犬や猫が管理しきれているという状態ではなかったと思います。

動物が人間に迷惑をかけないような規制

施行当時、先進国の一員として動物愛護法を策定することになったものの、現代のような動物愛護の精神が当たり前ではなかった当時の国民に、「動物は人間と同じ!」といきなり謳っても、受け入れられないことが予測できました。

そのため当時の動物愛護法は罰則なども曖昧な部分が多く、人間の生活に害を及ぼしたら困るでしょ、だから法律で管理しようね、というニュアンスの内容にとどまっていたようです。

ドッグフードがバラエティのネタになる

まだ私が小学生くらいの頃(昭和50年代)に、テレビで自分の犬を溺愛している女性の飼い主さんが出ていました。

しかし愛犬のためならお金は惜しまないという飼い主さんが愛犬の食費は月に3,000円しかかけておらず、「長生きしてほしいから、ドッグフードしかあげないんです!」と話していたことに、出演者だけでなく私自身も驚いた記憶があります。今ならドッグフードなんて当たり前なのに、この当時は珍しいものだったのかもしれませんね。

営利目的の動物取扱業者のルールが明確化

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やがて時代は変わり、捨て犬や捨て猫を拾って育てることから、専門のペットショップやブリーダーから譲り受けることが当たり前になりました。

2019年の改正では、主に悪質な動物取扱業者の取り締まりが強化された印象があります。しかし一方で、動物と飼い主を結びつける大切な役割を持つのもペットショップのスタッフやブリーダーということから、新たに設けられたこともあります。

巣立っていく子犬や子猫が幸せに暮らせるために、動物販売業の方々の存在は重要なものになりました。

第一種動物取扱業登録時の条件の明確化

第一種動物取扱業は、営利目的で動物を扱う業者を指します。動物愛護団体などの非営利目的の場合は第二種動物取扱業になります。

第一種動物取扱業は2005年の改正で登録制になりましたが、これまで登録に関する条件の規定が曖昧だという問題点がありました。

2019年の改正では登録を拒否するための条件が具体的になり、9項目にわたって挙げられています。この他、不正または不誠実な行為をするおそれがあると認められた場合にも拒否することになっています(第12条七の二)。

扱う動物の管理と購入者への対応の強化

第一種動物取扱業者には扱う動物の適切な管理と、購入者への説明や対応が求められています。これは、売れても売れなくても、動物たちが最後まで捨てられたり殺処分を受けることなく、適切な環境で生きられるようにする「終生飼育」を目的に定められました。

第一種動物取扱業の義務(一部)

  • 犬や猫の生後56日未満での引渡しの禁止(第25条の5)※特例あり
  • 受渡しまでにマイクロチップを装着すること(第39条の2関係)
  • 受渡し時の対面販売と情報提供(第21条4関係)
  • 引渡しができなかった動物の終生飼育(第21条の3関係)

犬や猫の生後56日未満での引渡しの禁止(第25条の5)

子犬や子猫の精神的な成長に配慮して定められました。生後56日までは母犬や兄弟たちと共に生活することが、その後の犬や猫の社会化において大切だと考えられています。

ただし、柴犬などの天然記念物の犬種などには特例もあり、すべての犬や猫が生後56日まで譲渡されないというわけではありません。

受渡しまでにマイクロチップを装着すること(第39条の2関係)

飼い主となる購入者に動物を引き渡す時までに、その子犬や子猫にマイクロチップを装着させることも、第一種動物取扱業者の義務になりました。

こうすることで、万が一飼い主さんと愛犬が離ればなれになっても、身元不明で殺処分になることを防げる可能性が高まります。また、無責任な遺棄も予防する効果が期待できます。

受渡し時の対面販売と情報提供(第21条4関係)

販売する動物の特徴や飼育に関することなどを、対面で行うことも義務付けられました。購入者の顔を見ながらしっかりと情報提供を行うことで、その後の飼育について正しい知識を伝えることができます。

引渡しができなかった動物の終生飼育(第22条の4)

やむを得ない事情で事業が継続できなくなったり、売れ残ってしまった動物が出てしまった場合でも、動物取扱業者には終生飼育に相当する対応が義務となっています。

殺処分ではなく、最後まで飼育する義務を負うことで、無計画な繁殖を抑制する効果も期待されています。

動物の引き取りを拒否することが可能に(第35条)

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これまで、自治体では動物の引き取りを要請された時は、必ず引き取ることになっていました。 しかし現在は引き取りを拒否できることが可能となり、その条件が明確になっています。

特に第一種動物取扱業者については、登録時に業務が継続できなくなった場合の対応策を提示することが義務付けられているため、原則として引取りは行われないと想定されます。

引き取り拒否により無計画な繁殖を抑制

引き取りを拒否することで行き場のなくなった動物が増える心配もありますが、この法律の目的は、無計画な繁殖を抑制することにあります。第一種動物取扱業者だけでなく、一般の飼い主も繁殖に対して意識を持たなくてはいけないということですね。

終生飼育、遺棄の禁止が法律で定められているので、自分がきちんと管理できるのは何匹までなのかをきちんと考えましょうね、という意味が込められています。

引き取られた動物は可能な限り譲渡へ

飼い主さんの病気などの理由で、どうしても自治体が動物を引き取らなくてはいけなくなることもあります。その場合、以前は知事や市長の判断で処分して良いとなっていましたが、今は可能な限り譲渡者を探すこと、と定められています。しかし飼い主が見つからず、年間数万匹の殺処分が発生してしまっています。心が痛みますね。

課題・殺処分方法と実験動物と動物の救済

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動物の幸せのために2005年、2012年、そして2019年と早いペースで改正を重ねてきた動物愛護法ですが、まだ課題として残っていることがいくつかあります。その一部をご紹介します。

動物愛護法の今後の課題

  • 殺処分方法:苦しまずに殺すことが難しい
  • 実験動物:自由に行われてしまうことも
  • 虐待された動物:所有者の許可がないと引き取れない

殺処分方法:苦しまずに殺すことが難しい

「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」(第40条) 動物愛護法ではこのような記載がありますが、殺処分する動物が多くなると、一頭ずつ丁寧に行うことは、獣医さんの負担が膨大なものになるそうです。そのため、安らかな最期を迎えさせてあげられないことも。

動物たちのことを思うと本当につらいですが、殺処分を手掛けなくてはいけない獣医さんの精神的なダメージも大きいのではないかと思います。殺処分方法と同時に、殺処分自体を減らさなくてはいけませんよね。

実験動物:自由に行われてしまうことも

「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」(第41条) 「できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」(第41条の2) このような定めはあるものの、日本は世界から見ると動物実験に対して規制が少ないと言われています。人間の医療のためやむを得ないのかもしれませんが、せめて動物実験を許可制にすることはできないかと思います。

虐待された動物:所有者の許可がないと引き取れない

動物愛護法第25条では、飼育放棄や虐待に対して立入検査や勧告、命令はできることになっています。しかし明らかな飼育放棄や崩壊があっても、その動物の所有者(飼い主)の許可がないと連れて帰って保護することが難しいのが現状です。

幸せに暮らせないことがはっきりしている場合に、強制的に保護できる法律があったらいいのにと思います。

更なる改正が望まれる動物愛護法の未来

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「動物はモノではない」という意識が時代とともに強くなり、それに伴って動物の命と生活環境を守ろうとする気持ちが、動物愛護法に反映されるようになってきました。

ここから先は、更なる法改正とともに、私たち飼い主の意識も変えていく必要があるのかもしれませんね。

次回は、動物愛護法の中で飼い主に対して定められている部分についてご紹介したいと思います。

  • 更新日:

    2021.09.19

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ライター・専門家プロフィール
  • さの さえこ
  • 犬の東洋医学生活管理士2級、ドッグライター
  • 子供の頃はアレルギーで飼えなかった犬を、大人になって初めて迎えることができました。しかし里子で迎えた初めての愛犬は、外耳炎、歯肉炎、膿皮症、膝蓋骨脱臼を持っていました。 この子をきれいな体にするにはどうしたら良いか。そんな気持ちから得た経験を、「犬の食」を通してお伝えできればと思っています。