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柴犬 小説
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2021.09.12

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.12

豆しば暮らし|祈り

「メロンちゃんの体に異変が起こっていることはわかるのですが、それが一体何なのか…。今の段階ではわからないのです」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第12話です。

入院

「じゃあ、どうすれば…?」

「今できることをしましょう。メロンちゃんには、このまま入院してもらいます。いいですね?」

「はい…」

「明後日の午後、迎えに来てください」

念のための血液検査だったのに、大変なことになった…。

先生に抱っこされて連れて行かれるメロンは、何だか嬉しそうな顔をしています。
楽しいことなど、待ってはいないのに。

いや、落ち込んでどうする。
柴犬は頑丈なんだ、豆しばだって大丈夫!

メロンに笑顔で手を振ると、ママは帰路につきました。

「えっ、入院?」

「重い病気なの?」

パパもハルカちゃんもショックを受けています。

「まだ何もわからない。でも、きっと大丈夫だから!」

確率は3分の1

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メロンの退院の日がきました。

「骨髄の病気、急性白血病、慢性白血病。メロンちゃんの病気は、この3つのどれかだと思われます」

「どれも怖そうな病気ですね」

「はい、非常に。骨髄の病気であれば余命は1週間。急性白血病であれば余命は2週間。慢性白血病なら、今すぐどうこうということはありません。薬を服用し、病気と付き合っていくことになります」

確率は3分の1。
メロンに配られたカードは、あまりにも厳しいものでした。

詳しく調べるために検査が必要だと、先生は言います。
そのためには、全身麻酔をかけなければならないと。
メロンの年齢を考えると、それに耐えられるかどうかはわかりません。
もし、そのまま逝ってしまったら…。

「先生、検査はしないでください。どんな結果になっても受け入れます。今は、少しでもメロンと一緒にいたい。ひどい飼い主だと思われるでしょうが」

「いえ、検査中に亡くなるのが、一番悔いが残ると思います。わかりました、そうしましょう」

運命の2週間

それからママは、神社に通い続けました。

残された時間が短いのなら、どうぞ穏やかな旅立ちを。
まだ尽きぬのなら、どうぞ幸せな日々を。
神様、どうかメロンをお守りください。

1週間が過ぎました。
メロンは元気そうにしています。

「メロン、ごはんだよ。お薬もちゃんと飲もうね」

食欲もあり、薬も嫌がりません。
お散歩に行っても、しっかりと歩いています。

さらに1週間が過ぎました。
やはりメロンは元気そうです。

「朝、目が覚めるたびに、今日でメロンとお別れかもしれないって思ってたけど…。大丈夫そうだね、メロンがんばったね!」

ママはメロンを抱きしめました。
お日様のにおいがします。

「神様にお礼を言いに行こうね」

天からあたわった小さな命。
その炎の尽きる日まで、共に生きる時間を何よりも大切にしようと、ママは改めて誓いました。

  • 更新日:

    2021.09.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。