スーパーでの買い物やちょっとした用事で、車の中に犬を置いて出る場面は日常生活の中でよくあること。特に、真夏は外に連れ出すよりはエアコンで冷やした車の中の方が安全だと思いがちです。
それは家族そろって御墓参りに出かけた日の出来事でした。とても暑い日で、愛犬を車から降ろすには危険だと判断したAさんは、車を木陰に止め、車内を冷房でキンキンに冷やし、愛犬を乗せたまま御墓参りに行きました。
暑い空気が入ってはいけないと、窓は閉め切った状態でした。目の前のお墓にお参りをし、戻ってきた時、愛犬はすでにぐったりとしていたと言います。その間わずか5分程度。
その夏一番の暑さとも言われたその日、エンジンを切った車内の温度はあっという間に上昇してしまいました。10歳を過ぎていた犬にとっては、とても耐えられるものではなかったのでしょう。墓地の近くに動物病院はなく、1時間かけて動物病院に着いた頃には、愛犬はすでに心肺停止の状態となってしまいました。
「暑い日にはプールや海水浴で遊ばせたい!」そう思う飼い主も多いのではないでしょうか。しかし、水遊びをしていたからといって安心ではありません。
念願だった犬との暮らしを始めたBさん。子供の夏休みにあわせ、愛犬を連れ家族全員で海水浴に出かけました。朝からとても暑かったため、大型テントの中に水を張ったタライを置き、海水浴が終わってからは、愛犬をタライの中に入れていたと言います。
犬を飼ってまだ日も浅く、熱中症に対する知識もあまり持っていなかったBさんですが、気をつけなければいけないと思いタライを用意したそうです。お昼前には帰途につき、冷房の効いた車の中で愛犬はスヤスヤ寝ていたそうですが、突然急変。パンティングが止まらなくなり、嘔吐を繰り返し始めたのです。
初めてのドライブだったことから、車酔いかもしれないと考えていたBさん。しかし、愛犬の意識が朦朧としている様子に、慌てて動物病院へとハンドルを切ります。しかし、動物病院に着く直前、愛犬は呼吸停止してしまいました。
あまり知られていませんが、熱中症を発症するのは、炎天下や気温の高い場所に限ったことではありません。日中の散歩を避け、夕涼みがてらお祭りに連れて行った犬が、翌日になり体調を崩し、3日後に命を落としたケースもあります。
飼い主からすれば、夜の散歩で熱中症を発症するとは考えもしないはずです。しかし、エアコンが効いた涼しい室内で1日を過ごしていた犬にとって、夜とはいえ湿度が高くアスファルトが冷えて切っていない場所に出たことで、急激な環境の変化からヒートショック状態となり、熱中症を発症してしまうケースも多くあるのです。
熱中症の怖いところは、これといった診断基準がない点にあります。体温が39度以上あることが熱中症の判断基準とされていますが、個体差があり、体温がそこまで上がっていなくても熱中症を発症したケースもあります。 また、2~3日後に症状が現れることもあり、獣医師によっては即座に熱中症とは判断がつかないこともあるのです。
熱中症を発症すると、嘔吐や下痢を繰り返しやがて意識混濁となると言われていますが、その症状がすべてではありません。体温が急上昇したことにより、神経や臓器が徐々に機能不全を起こし、やがて死に至るというケースもあるのです。
恐ろしいのは、一度破壊された神経や臓器が完全に元に戻るかどうかは誰にも判断がつかないところです。体を冷やして体温を下げる、脱水にならないように水分補給をする等が一般的な対策です。
しかし、何らかの熱中症の症状が現れていた場合、応急処置を行ったからといって命を取り留められる保証がないところも熱中症の怖さです。ちょっと体調が悪そうに見えるだけかもしれませんが、一度熱に侵された神経や臓器は、静かに症状が進行している可能性もあります。
そして、残念なことに現在の獣医学ではその進行を止めることはできません。その犬の免疫力、体力が命を左右するといっても過言ではないのです。
炎天下での外出は絶対に避けるべきことですが、夕方の散歩でも気温が高いと感じる時があります。そんなときに活用しているグッズをご紹介します。
保冷剤を首に巻いてもすぐ温まってしまうという悩みを解決してくれたのがこのベストです。ぬらして振り回すと、ベスト自体がひんやり冷たくなるという構造で、外出先で温まってしまっても水さえあればすぐに冷えひえのベストに戻るという優れもの。洗濯機でザブザブ洗っても効果が持続するのも嬉しいところ。
熱中症から生還しながらも、5年にわたり治療を続けているある犬のレポートを読んだことで、熱中症の恐ろしさを痛感しました。炎天下は誰でも気をつける環境ですが、湿度には気がつきにくいこともわかりました。
犬にとって、湿度50%を超えると熱中症のリスクが上がるといわれています。特に、寒い国で生まれた犬種や短頭種は十分に気をつける必要があります。
そこでとっている対策は、冷感タイプの敷きパッドをベッドに敷いてひんやり感をアップ、また室内の湿度を管理すること。もちろん、ディロンがスヤスヤと寝ているかどうかも大切なチェックポイントの一つ。みなさんもエアコンの除湿モードや除湿機を活用して、ぜひ湿度管理に気をつけてあげてくださいね。
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