犬の体臭の原因は、大きく「生理的な臭い」と「病気による臭い」に分けられます。
汗は「エクリン腺」と「アポクリン腺」という2種類の皮膚の汗腺から分泌されます。
エクリン腺はサラサラとした水状の汗が出る汗腺で、アポクリン腺は脂分を多く含んだ汗を出します。臭いのもとになるのは、このアポクリン腺です。
人の場合、アポクリン腺は脇や足の裏、外耳道など限られた場所にしかありませんが、犬の場合は全身に分布しているため、臭いが強くなると言われています。
口の中に食べかすが残っていると細菌が増殖し、細菌が蓄積すると歯垢(プラーク)を形成します。この歯垢が原因で、口臭を生じるようになります。歯垢は放っておくと歯石へと変化し、歯周病の原因になります。
また、肛門腺に分泌物がたまって強い臭いを生じることもあります。肛門腺は肛門の両脇4時と8時の位置にあり、その中には臭いを伴う分泌液が入っています。分泌液は自然に排出されることが多いですが、分泌液が溜まりすぎると臭いが外に漏れ出すことがあります。
皮膚病や外耳炎、歯周病などが原因で、犬の体臭がきついと感じることもあります。病気が原因の場合の多くは、臭いの変化だけでなく、何らかの症状を伴います。
犬の体臭がきつくなった、いつもと違うと感じるときは、次のような病気の可能性があります。
皮膚の新陳代謝が異常に速くなり、フケの多い乾燥した皮膚になったり(乾性脂漏症)、反対に油性のべとついた皮膚になります(脂性脂漏症)。原因は犬種による遺伝的なものもありますが、多くは細菌などの感染、アレルギー、代謝性疾患などから二次的に発症するものと言われています。
外耳炎とは、いわゆる耳の部分から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気です。
耳が赤くなる、腫れる、耳垢の量が増える、悪臭がするといった症状が現れるほか、耳を後足でしきりに掻く、地面に擦り付ける、頭を振るなど行動に変化が見られることもあります。
外耳炎を引き起こす原因にはアトピーやアレルギー、耳ダニの感染などがあります。
犬の口の中の病気で最も多くみられるものが歯周病で、3歳以上の成犬の約80%が歯周病を患っていると言われています。
犬が歯周病になると歯茎が炎症を起こして赤く腫れ、出血したり、口臭がきつくなります。さらに進行すると、歯がぐらついたり、歯の根元まで細菌が入り込んで膿がたまり、頬の皮膚が破れて膿を排出することもあります。
家庭でできる、犬の体臭対策をご紹介します。
犬の体臭対策の基本はシャンプーです。シャンプーの頻度は月に1~2回が望ましいとされています。シャンプー前にブラッシングで汚れや毛のもつれ、抜け毛を取り除いておきましょう。
臭いを気にしすぎて頻繁にシャンプーすると、皮膚に必要な分の皮脂まで落としてしまい、皮膚のバリア機能が低下して皮膚病を誘発することもあるので注意しましょう。
歯垢や歯石がたまると口臭の原因になるので、歯みがきで歯垢を落とし歯石を予防しましょう。子犬の頃から歯ブラシに慣れさせることが理想的ですが、トレーニングは成犬になってからでも遅くありません。褒めながら、少しずつ慣れてもらいましょう。
肛門腺がたまるときは、定期的に絞りましょう。
肛門腺の分泌液は非常に臭いので、シャンプーのときなどに絞るのがおすすめです。肛門が時計の中心であると考えると、4時と8時の位置に肛門腺があるので、肛門から押し出すように絞ります。難しいと感じたら無理をせず、動物病院やトリミングサロンなどのプロにお願いしましょう。
病気が原因の場合は、動物病院で適切な治療を受けましょう。
脂漏症は、原因となる病気があればその治療をし、痒み止めや薬用シャンプーを使用します。外耳炎は耳の洗浄や点耳薬、歯周病であれば全身麻酔下での歯石取りや、抜歯が行われます。
犬の体臭を減らすにはシャンプーが効果的ですが、ケアしていても愛犬の体臭が気になる、いつもとは違う臭いがするという場合は、皮膚病や歯周病などの病気が隠れているかもしれません。
病気が原因の場合は治療が遅れると更に臭いが強くなるだけでなく、病気が悪化してしまうことも考えられるので、異常を感じたら動物病院の受診をおすすめします。