magazine

赤紫の服を着た飼い主に頭を撫でられる茶色いトイプードル犬
お手入れ
鉛筆アイコン

2021.08.10

【獣医師監修】Tタッチとは?犬の心にアプローチする効果ややり方

動物の身体と心にいい影響を与えてくれると言われるTタッチTタッチはマッサージのように犬に触れ、リラックス効果を与えてくれるものですが、実はマッサージとは全く異なり、犬の精神面に働きかけます。
今回はそんなTタッチの効果ややり方を紹介していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:かしま あやの/ドッグライター)

犬のTタッチとは?

耳の裏を撫でられる白いチワワ犬

Tタッチとは、犬との普段のスキンシップの時間を、より意味のあるものにしてくれるボディケアのことです。1983年にアメリカで誕生したTタッチは、動物の感情や精神、身体のバランスを整える効果があるとされています。

Tタッチとマッサージとの違いは?

マッサージの一種と考えている方もいるかもしれませんが、マッサージとTタッチでは理論が全く異なります。マッサージはツボや筋肉に働きかけ、血流や臓器に影響を与えるものです。

これに対し皮膚のすぐ下、筋肉より上の層に働きかけるTタッチは、ストレスを軽減しリラックス効果が期待できるケアです。精神面に働きかけるという点が大きな違いになります。

犬にTタッチをすることで期待できる効果8つ

青いマットの上で飼い主にわきの下を触られる白黒の犬

犬にTタッチをすることは、以下のような効果が期待できます。知っていると、さまざまなシーンで役立ちますよ。

【1】吠える、咬むなどの問題行動の解決

飼っている犬に、吠えたり咬んだりする行動問題がある場合には、Tタッチを取り入れてみるといいですよ。これらの行動問題には、犬に何らかのストレスがあることを意味しています。Tタッチによりストレスを和らげることは、吠えたり咬んだりする行動や飛びつくことなどの問題行動の改善に繋がります。

【2】緊張を和らげる、恐怖心を軽減させる

Tタッチには、犬の情緒を安定させる効果もあります。人やほかの犬に恐怖心があったり過剰反応したりする犬に、安心感を与えられるほか、花火や雷などの大きな音に対する恐怖による緊張をほぐしてくれると言われています。

【3】グルーミング嫌いの改善

犬の中には、グルーミングが苦手な子もいますよね。そんな犬にもTタッチを取り入れることで、ブラッシングや足ふき、爪切りなどの手入れをスムーズに受け入れられるよう改善するお手伝いもしてくれるでしょう。

取り入れるTタッチの方法は、カーミングキャップという視界を適度に遮るキャップを着けたり、ボディラップを巻いたりする方法などさまざまです。普段のケアが苦手な犬には、まずTタッチからはじめてみるのもいいですね。

【4】怪我や病気に対する自己治癒力の向上

Tタッチをすることは、ケガや病気を抱える犬の痛みを和らげるのにも役立ちます。また手術からの回復を促したり、通院や治療によるストレスを和らげたりする効果も期待できますよ。このほか、慢性的な身体の麻痺や四肢の切断などを抱えている犬の、日々のケアにもおすすめです。

【5】関節炎などの老化症状

シニア犬には関節の痛みや呼吸がしづらいなど、さまざまな症状が出てきますね。Tタッチは、関節の痛みやストレスの軽減のほか、身体を動かしやすくしたり、呼吸を楽にしたりするサポートも。このほか耳や目の衰えから生じるさまざまな問題には、身体だけでなく、精神面での手助けになることもありますよ。

【6】競技会やトレーニングでの集中力の向上

運動前や運動中にTタッチを取り入れることは、集中力を高めるとともに、ケガの予防効果も期待できます。また運動後の身体や心のケアにもおすすめです。

【7】新しい生活に馴染むためのサポート

犬を飼い始めた時、新しい環境に犬も緊張するでしょう。Tタッチを使ってケアすることで、リラックス効果が期待でき新しい生活に早く馴染みやすくなり得ます。また、先住犬やほかの同居動物がいる場合にも、それぞれを受け入れられるようにお手伝いできます。

【8】災害発生時にも落ち着きを取り戻す効果

Tタッチは、災害発生時にも役立ちます。Tタッチは、飼い主と犬との緊張を和らげる効果があり、災害時のストレスや不安が多い中でも、落ち着きを取り戻す手伝いをしてくれるでしょう。

犬のTタッチのやり方

黄色い布団の上でお腹を撫でられる犬

Tタッチにはいろいろな種類がありますが、多くのTタッチに円を描くタッチが含まれています。飼っている犬の状況を把握し、必要なTタッチの種類や方法を見極めて取り入れてみましょう。

基本は円を描くTタッチ

  1. 飼い主自身が指や手、肩、腕などをリラックスさせ、手のひらで優しく犬の身体に触れます
  2. 手で円を描きながら犬の皮膚を動かしていきます。この時、身体の表面を滑らすのではなく、皮膚を動かすのがポイントです
  3. 時計の針の6からはじめ、時計回りに皮膚を動かしていきます。1周と4分の1程度動かしたら、場所を変えて同じように繰り返します

このほかにも、耳のTタッチやパイソンリフトと呼ばれる呼吸を整えるTタッチなど、たくさんのTタッチがありますよ。

ハーネスやボディラップを使用したものも

Tタッチには指の腹だけでなく、指先や手のひら全体、指の背面を使用したものもあります。またハーネスやリード、伸縮性がある専用のボディラップなど道具を用いた方法も。

目的に応じて、いろいろなTタッチの方法があります。興味がある場合は、一度Tタッチのセミナーなどに参加してみるといいですね。

犬との絆をTタッチで深めよう

青いタオルの上に座って飼い主に前足を触られる黒い犬

Tタッチの一番大切な点は、まず飼っている犬がどんな状態にあるかを知ることです。犬の行動問題や、飼っている中で困っていることがあるなら、一度犬のことをよく観察し、必要なTタッチを取り入れてみましょう。

スキンシップを通して犬との関係の向上や犬との生活がよりよいものになることが期待できるでしょう。

  • 更新日:

    2021.08.10

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。