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唇をめくられ歯を触られるポメラニアン犬
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2021.08.07

【獣医師監修】犬の乳歯遺残そのままでも大丈夫?乳歯遺残の問題点と処置方法

飼っている犬が歯の生え変わりの時期に差し掛かっている場合、乳歯が残っていることを心配している方もいるのではないでしょうか。中にはそのうち抜けるだろうと、様子を見ている方もいると思います。
今回は、犬の乳歯遺残とその問題点、処置の方法を紹介していきます。犬の乳歯遺残が気になる方は参考にしてみてくださいね。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:かしま あやの/ドッグライター)

犬の乳歯の数は何本?

緑色の芝生の上で笑って歯を見せる可愛い白茶色の犬

犬の乳歯の数は、おおよそ28本です。乳歯が生え変わるのはおよそ生後4~6カ月くらいで、前歯、犬歯、臼歯、奥歯の順に抜けていき、42本の永久歯へと生え変わっていきます。ただ、この順番はあごの形にもよって、犬歯は特に顎が小さい犬種では抜けにくい場合もあるため、最後まで残ってしまうこともあります。

同じ月齢でも犬種や犬によって生え変わりの時期は異なりますが、永久歯は生後7カ月~1歳くらいの間には生えそろいます。通常乳歯が抜けるのは、上顎の犬歯の場合で永久歯が生えてきてから1~3週間後程度、下顎では1~2週間程度です。

そのほかの歯は、永久歯が生えたあと数日以内に抜けると言われています。

犬の乳歯遺残ってどんな状態?

青いベッドの上でおもちゃを歯で噛む白茶色のビーグル犬

乳歯遺残とは、歯の生え変わる時期が過ぎても乳歯が抜けないまま、永久歯が生えてきて、永久歯と乳歯が併存している状態のことです。どんな犬種でも起こりえますが、チワワやポメラニアンなどあごの小さい小型犬に多いと言われています。

乳歯と永久歯は、歯の数や生え方などを参考に見分けますが、分かりにくい場合には歯のレントゲンを撮って判断することもあります。乳歯遺残が気になる場合には一度動物病院に相談してみてくださいね。

犬の乳歯遺残の問題点

飼い主に唇をめくりあげられ歯を触られる白茶色の犬

犬の乳歯遺残には、下記のような問題点があります。

【1】咬み合わせが悪くなる

犬の乳歯遺残による問題点のひとつは、咬み合わせが悪くなることです。咬み合わせが悪くなるとご飯が食べにくくなったり、歯と歯がぶつかり痛みを生じたりすることがあります。

生後7カ月以降に乳歯を抜いても、乳歯遺残による咬み合わせの悪さは治らないようです。生後5~6カ月くらいには、一度動物病院で歯の生え変わりのチェックを受けてみるといいかもしれません。

【2】歯垢や歯石が溜まりやすく、ひどいと歯周病にも

犬の乳歯遺残があることで起こる問題点には、歯垢や歯石が溜まりやすくなることもあります。乳歯が残っていると歯と歯の間が狭くなり、汚れが溜まりやすくなります。

ひどい場合には口の痛みや口臭の原因でもある歯周病になり、永久歯を失うことにもなりかねません。また、感染を起こし、顎の骨や鼻に影響が起こることもあるようです。

乳歯遺残に気がついたら、早めに対応してあげましょう。

【3】口の中の痛みや傷

犬にとって乳歯遺残は、痛みや出血、不快感に繋がることもあります。乳歯遺残があると永久歯が正常な位置に生えず、歯茎など口の中に当たってしまい傷ができてしまうことがあります。また残っている乳歯がグラグラし、出血しやすくなったり、膿んでしまう場合もあるようです。

犬の苦痛を減らして上げるためにも、生え変わりの時期には口の中をチェックしてあげるといいですね。

犬の乳歯遺残が疑われたら

病院で歯の診察を受ける可愛い白いシーズー犬

飼っている犬に乳歯遺残があるかもしれないと思ったら、早めに動物病院を受診してチェックしてもらいましょう。

動物病院で行われる処置

犬の乳歯遺残が疑われる場合、動物病院では歯周病や咬み合わせを考慮し、時期や状況に応じて抜歯することがあります。特に「生後約7カ月を超えても乳歯が残っている場合」や乳歯が遺残していることで歯並びや口腔内の異常につながる場合には、乳歯を抜く可能性が高いです。

犬の乳歯遺残の抜歯にかかる費用は、内容や犬種、病院にもよりますが、抜歯に加え麻酔をかけての処置になるため、通常の診察より高額になる場合が多いです。保険適用かどうかは歯科系の治療が補償内容に含まれている場合とそうでない場合とがありますので、自分が加入している保険内容を確認してみてくださいね。

犬の乳歯遺残が疑われたら早めに動物病院を受診

歯を見せる犬

犬の乳歯遺残が気になったときには、早めに動物病院を受診してみてもらうのがいいでしょう。歯周病や咬み合わせが悪くなることで、飼っている犬に痛みなどの苦痛があるのはつらいですよね。そのうち抜けるだろうと様子を見るより、早めに受診してあげることが、歯や口の中のトラブルを防げることに繋がります。

  • 更新日:

    2021.08.07

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。