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2021.08.29

手づくりごはん|パートナーに優しいレシピ【第3部】|vol.4

パートナーに優しいレシピ|良質なタンパク質の意味と探し方

犬の食べ物は「良質なタンパク質を含む物が良い」と言われますよね。
この「良質なタンパク質」って何なんだろう?って、私は常々疑問に思っていました。
その疑問を解決するため、「アミノ酸スコア」と、最近注目されている「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」を参考にして考えてみたいと思います。
愛犬のご飯やおやつ選びの参考になれば嬉しいです。

#パートナーに優しいレシピ

さの さえこ/ドッグライター

タンパク質の働きとアミノ酸への分解

ピンク色のブタのボールとフセをする犬

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに、犬の活動源となる三大栄養素のうちのひとつです。

うちのコが公園ではしゃぎすぎて力尽きると、みんなに「ガス欠になった」と笑われるのですが、この「ガス(=ガソリン):体を動かすエネルギー」になるものが三大栄養素ですね。

タンパク質は細胞や組織の構成要素になる

タンパク質は、細胞や体の中の色々な組織を作る時の材料になることで、動物が元気に動ける力をサポートしていると言われています。体の中の16~20%がタンパク質であることを考えると、とても大きな役割を持つ栄養素だということがわかりますね。

タンパク質が構成要素となる代表的なものをご紹介します。

タンパク質が構成要素となるもの

  • 細胞や組織(被毛、皮膚、筋肉、内臓、骨、爪など)
  • 免疫(白血球、リンパ球、抗体など)
  • 代謝機能を円滑にする酵素、ホルモン、脂肪など

タンパク質をアミノ酸分解して摂り込む

犬が食べたタンパク質は、そのままでは栄養として摂り込めないため、アミノ酸に分解されます。アミノ酸は22種類ありますが、体内で合成できる非必須アミノ酸と、食べ物から摂らなくてはいけない必須アミノ酸に分かれます。

分解されたアミノ酸は、体に必要な場所でまた新たなタンパク質として作り変えられて、その役割を担うことになります。

犬の必須アミノ酸はヒトより多い10種類

体内で合成できない必須アミノ酸は、人間では9種類あります。犬ではこれに加えてアルギニンも加わるため10種類の必須アミノ酸を摂る必要があります。

犬の必須アミノ酸(10種類)

    ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン、アルギニン

アミノ酸スコアとDIAASの関係

おりこうポーズの犬

アミノ酸スコアは、プロテインを摂っている方であればご存知かもしれませんね。
簡単に言うと、その食材に含まれるタンパク質の中で、人間の必須アミノ酸9種類をどれだけ高い割合でバランス良く含んでいるかを数値化したものになります。

決められた計算式を元にして割り出され、一番良いものはアミノ酸スコアが100で表されています。

犬の場合は、アルギニンを加えた10種類が必須アミノ酸になりますが、大まかな範囲では人間のアミノ酸スコアを基準にして考えても問題なさそうです。

これは、アルギニンが食物に含まれるアミノ酸の中で、それほど不足しない成分であることが理由に挙げられています。

消化吸収率も評価したDIAAS

アミノ酸スコアの弱点として消化率が示されていないことが挙げられます。スコアが高くても、体の中で100%消化吸収されているかどうかは分からないということですね。

この消化率も考慮して数値化したものがDIAAS(digestible indispensable amino acid scores:消化性必須アミノ酸スコア)になります。

DIAASについては近年注目されているスコアのため、データ量が少ないのが残念なところですが、今出ているデータと消化率を考える概念として、お話ししていきたいと思います。

アミノ酸は一番少ないものに合わせて働く

アミノ酸スコアのことをもう少しお話しします。
アミノ酸は、一番含有量の低いアミノ酸に合わせて働くという特性を持ちます。

たとえばある食材の必須アミノ酸含有量を見た時、7種類が100、1種類が80、残りの1種類が70だとすると、一番低い70にすべてのアミノ酸が合わせて働きます。

これだと、せっかく100や80に到達したアミノ酸があっても、体の中では70しか使われなくて、ちょっともったいないですよね。
このように、その食材の必須アミノ酸が体の中でどれだけ力を発揮してくれるかを表す指標がアミノ酸スコアです。

バランスの良い摂り方と調理方法の工夫

アミノ酸スコアを基準にすれば、その食材がどれだけバランス良く必須アミノ酸を含むかを知ることができます。

しかしDIAASの基準に照らした時、消化の面でやや劣る可能性があります。たとえば大豆はアミノ酸スコア100ですが、DIAASでは0.91(1.0が基準値)です。

また、仮にスコアが高くても、食材によってアミノ酸の含有量はさまざまです。だから同じものばかりを食べていると多く含有されているアミノ酸は無駄になってしまうんですね。

色々な食材を組み合わせる

このように消化率とアミノ酸バランスのことを考慮すると、次のような考え方も良いのではないかと思います。

  • たまにあげるおやつに迷ったらアミノ酸スコア100の食材を選んでみる
  • 日常的にあげる食べ物ならアミノ酸スコアを少し落としても消化の良いものを選ぶ
  • 調理方法で消化率を上げる
  • 違うアミノ酸バランスの食材を組み合わせて吸収率を高める

犬にとっての「良質なタンパク質」とは

ピンク色のブタのボールを身体に載せた犬

ここからは、アミノ酸スコアとDIAASを参考にして、犬にとって良質なタンパク質を探していきたいと思います。

消化率を上げるための調理の工夫も一緒に考えてみます。

犬にとってアミノ酸スコアの高い食材とは

動物性タンパク質では、肉類でアミノ酸スコアが高く、ほとんどが100で表されます。

特に鶏ムネ肉や馬肉、鹿肉は脂質も低く与えやすい食材ですね。
卵や牛乳もスコア100に相当する食材です。特に卵はDIAASでもスコア1.13 の優良食材になります。

魚類も、タラ、タイ、アジ、イワシなど、おやつでよく目にするものはスコア100のものが多くあります。

その他、犬が食べられる食材では大豆もスコア100の優良食材として考えられます。

消化率も考慮した選び方と調理方法

主に与える機会が多い、肉類、卵、魚類、大豆について、消化の良い食材の選び方や調理方法を簡単にご紹介します。

肉類

犬は元々肉食動物だったため、肉の消化能力は高いと考えられています。その中で特に消化の良い食材としては、水分が多く含まれている肉、脂肪分の少ない肉が挙げられます。

この条件を満たしたものが鶏ムネ肉です。鶏ムネ肉は全体の70%以上が水分で、皮を取れば脂質もとても低い肉になります。
蒸し焼きなどで水分が逃げないように工夫して食べさせてあげると良いかもしれません。

アミノ酸スコア、DIAASともに高い評価の卵は、生で食べることが一番栄養価を損ねずに吸収できます。
しかし犬は白身を生で食べることができません。そこでおすすめしたいのがゆで卵です。

脂質などの面で毎日与えることは難しいと思いますが、時々ゆで卵を少し分けてあげると楽しく栄養を吸収できそうですね。

魚類

消化の良い魚類はタイ、タラなどの白身魚になりますが、魚は水を通すことで消化が良くなると言われているため、魚の身をゆでてあげると良いのではないかと思います。ゆでこぼすことでリンの摂り過ぎも防ぐ効果が期待できます。

大豆

大豆はアミノ酸スコアが100、DIAASは0.91で評価されています。水煮大豆などの場合だと、ごくわずかですが消化率が少なくなることがわかっています。

この消化率を高めるためには、豆腐や納豆などの加工食品が良いと言われています。アミノ酸スコアとしては多少下がる面もありますが、他の食材を組み合わせることで十分なアミノ酸を摂取できるのではないでしょうか?

体を整えてくれる良質なタンパク質のレシピ

大豆ミートバーガーを眺める犬

今回は、今注目されている大豆ミートを利用して、アミノ酸レベルの高いレシピを考えてみました。大豆ミートのハンバーガーです。写真は3個分をタワーにして爪楊枝で留めています。

木綿豆腐に少ないアミノ酸を補うレシピ

大豆ミートは木綿豆腐を材料にします。

木綿豆腐もアミノ酸スコアは高いのですが、必須アミノ酸のヒスチヂンが若干少なめなので、ヒスチヂンが多く含まれるイワシをプラスしてみたいと思います。

卵は卵白だけを使い、イワシはゆでこぼして使うことで、消化率を上げ、リンの摂取量も減らせるように考えてみました。

材料(直径3〜4cm 3〜4個分)

  • 木綿豆腐 1/2丁(200g)
  • 卵白 1個分
  • イワシ 刺身1〜3切くらい
  • 野菜もしくは発酵野菜など(お好みで)少々

前日から木綿豆腐を凍らせて準備を

今回は木綿豆腐を凍らせて大豆ミートを作ります。食べる前日の夜に木綿豆腐1/2をサイコロ状にカットして、冷凍庫に入れておいてくださいね。

作り方

  1. 凍らせた木綿豆腐をレンジで3分くらい加熱する
  2. 粗熱が取れたら絞って水分を抜き細かくちぎる
  3. ちぎった豆腐に卵白を混ぜてバンズ型に成形して両面を焼く
  4. イワシはゆでて身をほぐしておく
  5. バンズに野菜とイワシを挟んで完成

レシピのポイント
大豆ミートはポロポロになるくらいに細かくした方がまとまりが良くなります。私はイワシをほぐしたものに、ペースト状の発酵野菜を混ぜてはさみました。野菜はお好みなので、入れても入れなくても大丈夫です。

初めての食感を楽しもう♪

大豆ミートはうちのコも初挑戦です。ボロボロするかと思いましたが、卵白のおかげでフンワリ仕上がりました。

良質なタンパク質は効率の良い食べ物

ペロリと舌を出す犬

良質なタンパク質を含む食材とは、その食材の持つタンパク質を体の中で効率よく使いきることができる食べ物、つまりアミノ酸スコアが高いものだと言えると思います。犬にとって良質なのは肉類、卵、牛乳、魚類、大豆などです。

しかし消化の過程ですべてのアミノ酸を使いきれないものがあることが、DIAASによって解明されてきています。そのため、アミノ酸スコアが少し低くても消化の良いものを選ぶ、消化の良い調理方法を取り入れる、色々な食材を組み合わせて足りない栄養素を補うなどの工夫も必要ではないかと思います。

良質なタンパク質を選び、さらにそれを高める食べ方をすることで少しの量でも最大限に栄養を吸収できるようにしてあげられるといいですね。

  • 更新日:

    2021.08.29

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ライター・専門家プロフィール
  • さの さえこ
  • 犬の東洋医学生活管理士2級、ドッグライター
  • 子供の頃はアレルギーで飼えなかった犬を、大人になって初めて迎えることができました。しかし里子で迎えた初めての愛犬は、外耳炎、歯肉炎、膿皮症、膝蓋骨脱臼を持っていました。 この子をきれいな体にするにはどうしたら良いか。そんな気持ちから得た経験を、「犬の食」を通してお伝えできればと思っています。