magazine

ぬいぐるみを抱える犬
食べもの
鉛筆アイコン

2021.08.25

手づくりごはん|パートナーに優しいレシピ【第3部】|vol.2

パートナーに優しいレシピ|犬に赤ちゃん言葉は有効なのか否か

犬に話しかける時、小さい子どもに話すような口調になってしまうことがありませんか?

一見怖そうな(?)お父さんでも、愛犬に「プップ(うんち)しよう」とか「チャリンチャリン(自転車)来たから危ないよ」と言っていたりしますよね。

犬にとって、一般的に言う「赤ちゃん言葉」は意味のある話し方なのでしょうか?それとも今すぐやめるべき恥ずかしいことなのでしょうか?今日は、犬についつい使ってしまう、赤ちゃん言葉について考えてみました。

#パートナーに優しいレシピ

さの さえこ/ドッグライター

なぜ人間は犬に赤ちゃん言葉を使うのか

海辺で木の棒を噛む犬

この疑問に対して、世界中でさまざまな実験や研究が行われています。
その中で、人間が犬に赤ちゃん言葉を使う理由が2つ浮かび上がってきました。

犬に赤ちゃん言葉を使う理由

  • オーディエンスチューニング効果によるもの
  • 言葉が理解しづらい相手への配慮から

オーディエンスチューニング効果とは

オーディエンスチューニング効果は心理学の専門用語で、直訳すると「聴衆に合わせる」という意味になります。人間は相手に合わせて、声のトーンや言葉を無意識のうちに使い分けることがあります。

ところで、人間の保護欲をかき立てる条件として、丸っこい顔つきやクリクリした目、そして目と目の間隔が離れているなどの外見的特徴があると言います。人間の赤ちゃんはその条件を満たすことで、弱くても大人に守ってもらって成長することができるのだそうです。
この外見の特徴が小型犬や子犬にも見られることが多いために、つい人間は赤ちゃん言葉で犬に話しかけてしまうことになるようです。

言葉が理解しづらい相手への配慮とは

たとえば日本語があまり得意ではない外国の方と話す時、意識して易しい日本語を選んで話すようなことがありませんか?

これと同じで、言葉が通じにくい犬に対しても、簡単で小さな子どもでも理解できるような単語を選んでいることがあるそうです。 オーディエンスチューニング効果と似た意識とも言えますね。

普段の会話では「車が来たから端に寄りなさい」というフレーズでも、犬には「車だよ。端っこだよ」というシンプルな言い方になるところが、赤ちゃん言葉に聞こえることもあるようですね。

犬は赤ちゃん言葉をどう感じているのか

散歩中に振り向く犬

人間の感覚で使われる赤ちゃん言葉が、聞いている犬たちにどのように伝わっているのかも気になりますよね。海外で行われた実験結果から、赤ちゃん言葉は子犬と成犬とで反応が分かれるという結果が出ています。

子犬は赤ちゃん言葉に反応を示す傾向がある

赤ちゃんに話しかけるように高いトーンで大げさに抑揚をつけた話し方をした声を聞かせた時、ほとんどの子犬が、その声に対して活発な反応を見せました。
逆に同じ内容を抑揚のない口調で聞かせると、「おやつ」などの犬が好む単語が含まれていても反応は薄かったそうです。

この実験を通して、赤ちゃん言葉のイントネーションには、子犬の気持ちを高揚させるものが含まれているのではないかと結論づけられました。

成犬は赤ちゃん言葉には無反応な場合も

一方、成犬では、子犬と同じように反応するタイプと、全く反応しないタイプに分かれました。

無反応の成犬がいたことの理由として、実験の際に使われた声が見知らぬ人のものであることに疑問を抱いたのではないかと推測されています。

無条件に赤ちゃん言葉に反応を見せる子犬とは違い、精神的に成熟した犬は、向けられた口調や内容だけでなく「誰から発せられた声なのか」も判断しているのではないかと考えられる結果となりました。

メリハリのある口調がしつけに活きる?!

元気に笑う犬

実験結果から推測すると、「〜でちゅねぇ」とか「アンヨ(足)」「てって(手)」のような言葉遣い自体はともかく、赤ちゃん言葉を使う時の声の高さや抑揚は、犬にとって無意味な話し方ではないように私は思いました。

特に赤ちゃん言葉を「飼い主さんが使う」というのは、成犬にとっても意味のあることかもしれません。

もしそうであれば、赤ちゃん言葉と普通の口調を使い分けることで人間の気持ちを少しでも犬に伝えることができるかもしれません。

普段とのギャップに犬が耳を傾けることも

私はいつも、うちのコに話す時は無意識にのんびりと話しかけています。たぶん赤ちゃん言葉になっていると思います。

でもある日、うちのコが普段行かない公園で突然走り出してリードが離れてしまった時、マズイ!と思い咄嗟に「待て!」と強い口調で叫んだことがあります。
すると、夢中になると我を忘れるうちのコが、ハッとしてその場に立ち止まりました。

飼い主の声色から気持ちを読み取ることのできる犬の能力を考えると、普段の口調とのギャップが大きいほど、飼い主が訴えかける強さを感じてくれるのではないかと思った出来事のひとつです。

気持ちを落ち着かせる・楽しませる効果

家でシャンプーする時や、口の中に直接薬を入れて飲ませる時など、私はいつにも増して赤ちゃん言葉になります。

バカバカしいくらいに赤ちゃん言葉を使うと、うちのコはポカンとした表情で聞いているかシラけているかのどちらかなのですが、そのおかげでシャンプーや薬の嫌な気分が薄らいでいるような気がします。

また、散歩中に「えらいねー、がんばってるねー」「楽しいね〜」と明るい声で話しかけると、私の方を見上げて途端に動きが軽やかになり、元気に歩き出すことがよくあります。
気持ちを和らげたり元気づけられたりできるのが、赤ちゃん言葉の良いところのように思います。

赤ちゃん言葉は恥ずかしいことじゃない

草原の中でほほ笑む愛犬

側で聞いているとクスッと笑ってしまいそうになることもある赤ちゃん言葉ですが、上述のことから無理にやめなくてはいけないことではないように思いました。

きちんとしたしつけをした上で赤ちゃん言葉を使うことは、愛犬を愛おしく思う気持ちのあらわれではないかと思います。

成犬になると犬は飼い主の口調を敏感に察知するようになります。飼い主の本気を伝えたい時との区別として、赤ちゃん言葉を利用するのもひとつの方法なのかな?と思ったりしています。

  • 更新日:

    2021.08.25

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • さの さえこ
  • 犬の東洋医学生活管理士2級、ドッグライター
  • 子供の頃はアレルギーで飼えなかった犬を、大人になって初めて迎えることができました。しかし里子で迎えた初めての愛犬は、外耳炎、歯肉炎、膿皮症、膝蓋骨脱臼を持っていました。 この子をきれいな体にするにはどうしたら良いか。そんな気持ちから得た経験を、「犬の食」を通してお伝えできればと思っています。