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柴犬 小説
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2021.08.22

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.9

豆しば暮らし|ドーベルマン先輩

パパは出張、ハルカちゃんはおばあちゃんのお家にお泊まり。
久し振りの、メロンとママとふたりだけの休日です。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第9話です。

お出かけしよう!

「世間様が働いている平日にお休みできるって、申し訳ないけど最高!」

ウキウキしながら支度をするママを見ながら、メロンはクルクルと回っています。

「ドッグランは24時間オープンしてるから、その前に温泉に行きたいな。着いたら、まずはお散歩して。メロンは温泉に入れないから、車の中で待っててもらうけど、いい?」

心地よい季節になり、車の中で待っていても、暑くもなく寒くもなく。
水とおやつとふかふかのクッションがあれば、問題なさそうです。

「さぁ、出かけよう!」

瞳をキラキラと輝かせながら、メロンは玄関へと駆けて行きました。

静かなるドッグラン

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車を走らせ温泉へ。ゆっくりと過ごした後は、お待ちかねのドッグランです。
いつもは賑わっているドッグランも、月の輝くこの時間には、すっかり静まり返っていました。

「よし、メロン走ろう!」

メロンもママも全力でダッシュ。
楽しくなったママは、大声で笑います。
すると、遠くの方に人影が…。

人の姿を見つけ、メロンは飛び跳ねながら駆け寄って行きましたが、途中でびたりと止まってしまいました。

「こんばんはぁ」

息を切らしながら、ママが挨拶をします。

「誰もいないと思って…お恥ずかしいところをお見せしました」

「いえいえ、楽しそうで何よりです」

2頭のドーベルマンを連れた青年が、はにかみながら答えました。
メロンは、この大型犬を警戒していたのです。

先輩の教え

「あ! ごめんなさい、私達が来たからリードを?」

「ええ、まぁ…」

その容姿から怖い印象を持たれがちですが、ドーベルマンは穏やかで友好的な性格の持ち主です。
しかし、愛情深く忠誠心が強いため、家族を守ろうと勇敢な行動を示します。
万が一に備えて、青年はリードを繋いだのでした。

メロンはブルブルと震えながらも、歯を剥き出して小さく唸っています。
2頭のドーベルマンはそれに構わず、メロンに挨拶をしようとしました。

尻尾を股に挟みながら、一段と震えを増しながら、それでもメロンは犬嫌いを貫き通そうとします。

「メロン、ドーベルマン先輩にご挨拶は?」

ドーベルマン先輩は、両サイドからメロンを挟み、じっと見つめています。

「どんなに嫌いでも、挨拶はきちんとしなさい。あなたも日本犬なら、礼儀を重んじるべきなのでは?」

その涼やかな目元は、メロンにそう教えているようでした。

それからと言うもの、メロンは、ドッグランで出会った人のもとに駆け寄ると、ビシッとお座りをします。
ですが、犬嫌いは相変わらず。

「ドーベルマン先輩。あなた達の教えは、人間に対してのみ有効でした…」

  • 更新日:

    2021.08.22

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。