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小さな子供と豆柴
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2021.08.15

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.8

豆しば暮らし|謎の微笑

来る日も来る日もドカ雪。
雪かきのしすぎで、雪を積んでおく場所に余裕がなくなりました。
業者さんを呼んで、積んだ雪を持って行ってもらうことに。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第8話です。

作業開始

「どーもー!除雪に伺いましたー!」

除雪用のショベルかーと大型トラックと共に、業者さんがやって来ました。

ママは、期限が目前に迫った確定申告の準備で大わらわ。
お休みだったパパが、業者さんの相手をします。

「それじゃ、やっちゃいますんで、指示してくださいね!」

「はい、お願いしまーす!」

ガリガリと雪山を崩す音。
雪をトラックまで運びドサリと積み込む音。
それらに負けじと張り上げる業者さんとパパの声。

雪と機械と人とのコラボにより、除雪作業はフルボリュームで始まりました。

その頃ママは…

豆しば

「また間違えた…!」

パソコンのキーを叩いていたママは、頭を抱えてしまいました。
あまりの騒々しさに、気が散って気が散って仕方がありません。

そもそも事務仕事が苦手な上に、やりたくないことはお尻に火がつくまでやらないママにとって、確定申告は年に一度の壮絶な試練でした。

「雪のせいにしてはいけない、機械のせいにしてはいけない、人のせいにしてはいけない!悪いのは私!さぁ、気を取り直してがんばるのよ!」

大声で気合を入れると、ママは再び、領収書の束と格闘します。

ですが、その気合も束の間。
好きなことには並外れた集中力を見せるママでしたが、やりたくないことに対しては、3歳児並みのそれしか持ち合わせていないのです。

「んー、うるちゃいなー!」

そんな中、その声は確かにママの耳に届きました。

スーパーナチュラル?!

言いたくても言ってはいけない。
その声は、ママが必死にこらえていた心の声そのものでした。

しかし、3歳児並みの集中力しか発揮できなくとも、ママも大人です。

「きれいにしてもらってるんだから、そんなこと言っちゃダメ」

パソコンの画面から顔を上げ、声の主をたしなめました。

「…って、あれ?」

声の主などどこにもいないことに、ママは気づきました。
パパは外、ハルカちゃんは幼稚園。
家にいるのはママだけです。

「私…誰と話したの…?」

もしかして超常現象?
こらえていた心の声が、3歳児の叫びとなって現れた?

改めてあたりを見回すも、やはり誰もいません。
冷たいものが、背筋を這い上がってきます。

その時、何者かの視線を感じたママは、ぎくりとして振り返りました。
そこにいたのはメロンです。

「今の…メロン?」

メロンは、人の言葉をかなり理解しています。
条件さえ揃えば、話すことも不可能ではないのかもしれません。

「ついにしゃべれるようになったの?!」

ですがメロンは、微笑むだけ。
その謎の微笑が、「んー、うるちゃいなー!」の答えなのか。
神のみぞ知るとはこのことです。

  • 更新日:

    2021.08.15

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。