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柴犬 小説
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2021.08.09

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.7

豆しば暮らし|真夜中のお散歩

今日は昨日の続きではなく、明日のためにあるものでもない。
今日は今日、大切なのは今この一瞬。
ママは常々そう思っています。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第7話です。

ママのナイトルーティーン

それでも、やらかすことの多いママは、今日の終わりに一日を振り返り反省することを、日課にするようにしました。

「さてと、行きますか」

ママの一人反省会は、メロンとの真夜中のお散歩です。
夜風に吹かれてゆっくりと歩きながら、あれこれと考えを整理してゆきます。

あの時あんな言い方をしたけれど、あれでは言いたいことの半分も伝わらなかったんじゃないだろうか。
こう言えば、もっと分かり合えたかもしれない…。

ふと振り返ってママを見つめるメロンの顔が、その通りだと言っているようにも、いや違うもっと考えろと言っているようにも見えました。
たとえ正解に辿り着けなくても、そんなメロンの顔を見ていると、ママの心は穏やかになります。

家に帰ってメロンの足と体をきれいに拭いて、水を飲ませると、次はのんびりとお風呂。

「色々あったけどいい一日だった。最高の今日よ、ありがとう!」

そう思いながら、今日も眠りにつきます。

それは冬の夜のこと

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ある冬の夜。
いつものようにお散歩に出ようとしたママは、慌てて家の中に引き返しました。

「寒い! って言うより痛い!」

大寒波がやって来たその夜の気温は、マイナス20度。

「とりあえず厚着をしなければ」

手当たり次第に重ね着をして、マフラーを鼻までぐるぐる巻きにして、帽子をかぶり、コートの上にダウンコートを着て…。
ただでさえ大柄なママは、着膨れして、小太りの中年男性のようでした。

怪しい者ではありません…

この厳しい寒さに鼻の奥が凍りつきそうになるのか、メロンは鼻息を荒くして歩いています。
とは言え、それ以外は元気いっぱい。
時々雪の中に顔を突っ込む遊びをしながら、極寒のお散歩を楽しんでいました。

「いいねぇ」

どんな時にも楽しむことを忘れないメロンに、ママは思わず独り言。

その時です。
前方を歩いていた女性が、突然立ち止まり、恐る恐る振り返りました。
それから、光の速さで走り去って行きます。

「え、何?」

道路脇の雪山に隠れて、その女性からメロンの姿は見えなかった模様。
そのため、彼女が察知したのは、小太りの中年男性のようなシルエットと、荒い鼻息、「いいねぇ」という呟き…。

「わ、私、女です! あなたを狙う不審者ではありませんよー!」

ママの叫びは、彼女の耳には届きませんでした。

寒い夜には、重ね着ではなくカイロ。
この一件で、ママは学びました。
こればかりは、昨日も今日も明日も続いてゆくことでしょう。

  • 更新日:

    2021.08.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。