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砂浜で横たわる柴犬
連載 / ブログ
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2021.07.29

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.5

豆しば暮らし|VS 海

ハルカちゃんは、もう2歳。
歩くこともしゃべることも、とても上手になりました。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第5話です。

今日は海日和

真夏の暑い日曜日。

「こんな日は、海に行きたいねー!」

「ハルカも2歳になったから、大丈夫だよね。みんなで海、行こうよ!」

ハルカちゃんはもちろんですが、メロンも海は初めてです。
嬉しさのあまり、ハルカちゃんは、メロンの前脚をつかんで踊り出しました。

「うみ、うみー! みんなでうみー!」

後ろ脚で何とかバランスを取りながら、メロンも嬉しそうにしています。

ハルカちゃんとは対照的に

「やったー、うみだー!」

ハルカちゃんは大はしゃぎ。
ママの手をしっかりと握って、砂浜の上を走り回ります。

「あし、あついねー」

それから、ママに抱っこされて海へ。
恐る恐る、水の中に足を入れました。

「わあっ、あし、つめたいー! でも、たのしいね!」

ザブザブと海に入ったり、ママの腕につかまって泳ぐ真似事をしてみたり。
ハルカちゃんは、初めての海を満喫しています。

ところがメロンは…。
リードを握るパパの足元、こんなはずじゃなかったという表情で、立ちすくんでいました。

「そっか、メロンは水が苦手だもんな…」

海は広いな恐ろしいな?

柴犬の後ろ姿

駐車場から海に向かって歩く道のりは、とても楽しいものであったことでしょう。
照りつける日差し、潮の香り。
クンクンと匂いを嗅ぎながら、時々砂が鼻に入ってくしゃみを連発しながら、メロンは足取りも軽く歩き続けました。

ところが、海を目の当たりにした時。
パパがどんなに海のそばまで行こうとしても、メロンは意地でも動きません。

「お風呂でさえ嫌がるんだから、海なんて、恐ろしい場所にしか見えないのかもね」

水しぶきをあげて迫り来る波。
太鼓を打ち鳴らしているかのような激しい波音。
メロンには、襲い掛かろうとする巨大な敵のように感じられていました。

ハルカちゃんが危ない!

「メロンー! おいでー!」

ハルカちゃんの呼ぶ声がしました。

「メロンといっしょに、うみであそびたい」

「ううん、メロンは海の中に入っちゃいけないの。残念だけど、海の中では遊べない」

「どうして?」

「毛が抜けちゃうかもしれないでしょ? ハルカ、知らない犬の毛が体にわーってくっついてきたら、どんな気持ちになる?」

「ちょっと…イヤだな」

「それに、犬が嫌いな人も、犬が怖い人もいるからね。人がイヤだなって思うことをしてはダメ」

ハルカちゃんとママが話している間、メロンは考えました。
さっきは元気よく呼んでいたのに、急に静かになった。
もしや、この恐ろしい海が妹に悪さを…?

そして、押し寄せる波に向かって、勢いよく吠え始めます。

「ど、どうしたメロン?」

尻尾を股に挟みながらも、吠えながら海に近づいて行きました。

「あ、もしかして、恐ろしい海にハルカが捕まってしまったとか思ってる? それで、ビビりながらも助けようと?」

パパはしゃがみ込み、吠え続けるメロンの目を見ながら言います。

「ハルカとママは、楽しく遊んでいるだけだよ。大丈夫」

パパの言葉に、メロンはやっと吠えるのをやめました。
それから、急いで元の場所に戻ろうとします。

「お前は、本当にいいヤツだな」

どうやら、海との勝負はメロンの勝ちのようです。

  • 更新日:

    2021.07.29

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。