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柴犬 小説
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2021.07.25

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.4

豆しば暮らし|メロン重病説?!

時折届くメールや写真には、メロンの子供たちの元気いっぱいな様子が綴られていました。
「もうこんなに大きくなったんだねぇ」
「時の経つのは早いよ」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第4話です。

異変

子供たちが巣立ってから、1年が過ぎました。
ホルスタインのようだったメロンのおっぱいも小さくなり、体の肉付きも程よく、しなやかな体型に戻っています。

春が来て雪がとけ、そろそろドッグランに行けそうだとウキウキし始めた頃、ふと、ママが気付きました。

「ん? メロン、おっぱいがふくらんでない?」

もちろん、授乳中程ではないのですが、確かにふくらんでいました。

「どうしてかな?」

そう言えば、とママは思います。
何だか、じっとしている時間が長くなったような気がする…。

もしかして…

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老化、というにはまだ早いメロンの年齢を思うと、考えられるのは何らかの病気です。

「病院に行った方がよさそうだね。早期発見・早期治療に越したことはない」

ママは仕事に復帰していましたが、その日はお休み。
ハルカちゃんとメロンを車に乗せて、動物病院へと向かいました。

平日の動物病院は、さほど混んではいません。
すぐに名前を呼ばれ、診察室に入りました。

「先生、メロンのおっぱいが…」

事情を聞いた先生は、何やら難しい顔をしています。
そして、メロンのおっぱいをギュッと押しました。
すると、半透明の膿のようなものが…。

「えっ、何これ…?」

もしかして、悪い病気なのでは。
ママは、目の前がだんだん暗くなってくるのを感じました。

告げられた病名は

悪性腫瘍。
その4文字が、ママの頭の中に浮かんでは消えてゆきます。

もう手遅れとか、そんなことないよね?!
どうしよう…。
神様、どうかメロンを連れて行かないで…!

「お母さん、メロンちゃんは…」

「メロンは…?」

ざわつく心を必死で抑えながら、前のめりになって、先生の言葉を待っていました。

「想像妊娠です」

「……ズコッ!」

誰かのボケにズッコケる、コメディにありがちなシーンそのままに、ママは椅子から転げ落ちそうになりました。

想像妊娠。

あまりにもパンチの効いたワードに、笑いが止まりません。

「おっぱいのふくらみも、いずれおさまりますから大丈夫です。心配なさることは何もありません」

「はひ、ありがとうござひまひたー」

笑いが止まらず、震える声でお礼を言い、病院を後にしました。

それからの何年かは、春が来るたびにメロンのおっぱいふくらみました。

「春の風物詩だねぇ」

この小さな頭の中では、一体どんな想像が展開されていたのか…。
それを思うだけでママは、笑いをこらえることができません。

  • 更新日:

    2021.07.25

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。