magazine

黄色いソファに座る豆柴
連載 / ブログ
鉛筆アイコン

2021.07.04

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第3部】|vol.1

豆しば暮らし|巣立ち・前編

メロンの子供たちは、日増しに大きくなってゆきます。
「離乳食をスタートした方がよさそうだね」
「わぁ、懐かしいなぁ。毎日メロンに作っていたのが、遠い昔のように思えるよ」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第3部】の連載第1話です。

メロン、どうしたの?

食欲旺盛な子供たちは、離乳食の食べっぷりも見事なもの。
お皿に顔を突っ込むようにして、ムシャムシャと食べています。

あっという間に、お皿は空っぽ。

「いやん、かわいーい! 名残惜しそうにお皿を舐める姿が、何だかいじらしいわぁ」

胸をキュンキュンさせるママの隣で、メロンはじっと子供たちの様子を見ていました。

離乳食を食べ終わった子供たちは、メロンに駆け寄ってきます。
もちろん、目当てはおっぱい。

ですが、メロンは、さっとその場から離れてしまいました。

「あれ? メロン、子供たちがおっぱいちょうだいって。あげないの?」

ママの声に振り向いたメロンは、子供たちに歯を剥いて小さく唸ります。
これには、子供たちもママもビックリ!

あんなに優しいお母さんだったのに…。
一生懸命に子供たちのお世話をしていたのに…。

親離れ子離れ

芝生で寝そべる子犬

メロンが子供たちにおっぱいをあげる回数が、激減してしまいました。
また、子供たちが、いまだブームの去らぬジャンプ遊びに興じている時、リビングで追いかけっこをして遊んでいる時。
それまでのように見守ってはいるのですが、一緒に遊ぼうと近寄ってくると、プイッと背を向けて立ち去ってしまいます。

メロンは、こう思っていました。

もうじき、子供たちとの別れの時が来る。
新しい家族と幸せに生きていくために、私はいつまでもあの子たちのママでいてはいけない…。

そう。
子供たちに親離れをさせようとし、自分もまた、子離れをしようとしていたのです。

まさかの転勤

「ムサシくんのとこ、赤茶色の女の子がいいって」

メールを見ながら、ママが言いました。

「あとね、私のお得意さんで大の犬好きのご夫婦が、白い男の子を譲ってほしいって言ってるんだ。パパのお友達は、ゴマの女の子がいいって言ってたんでしょ?」

「うん…。あ、ペットロスから立ち直った先輩が、赤茶色の男の子と暮らしたいって」

「すごい、被りナシだ。これで、みんな引き取り先が決まったね!」

「そう、なんだけどね…」

パパは言いにくそうにしています。

「何かあった?」

「実はさ…言い出しっぺの友達、急な転勤が決まったって。転勤先では社宅に住むから、ペットが飼えないらしくて…」

「えええええーっ?!」

このタイミングで転勤…。
誰が想像し得たでしょうか。

「やっと決まったと思ったのに…」

ムサシくんのところとパパのお友達のところは、最初から名乗りをあげてくれていました。
ですが、あとの2件は、パパとママがあちらこちらに掛け合って、やっとのことで見つけたのです。

「どうしよう…」

ゴマの女の子の運命やいかに。

  • 更新日:

    2021.07.04

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。