magazine

コンクリートの上で座って飼い主を見上げる犬
食べもの
鉛筆アイコン

2021.07.14

手づくりごはん|パートナーに優しいレシピ【第2部】|vol.8

パートナーに優しいレシピ|犬と飼い主の「最適な距離感」とは

私は時々、うちのコとの距離感が分からなくなります。
自分のやりたいことに集中してうちのコの相手をしないことに、時々罪悪感を覚え、うちのコに寂しい思いをさせてしまっているのではないか?と心配になってしまいます。
でも一日中うちのコのことだけを考えて過ごすのも、違うような気がします。

お互いがストレスなく健やかな日常生活を送ることができる、愛犬と飼い主の「最適な距離感」を考えてみました。

#パートナーに優しいレシピ

さの さえこ/ドッグライター

犬にも存在する「パーソナルスペース」

水色のベッドの上で横たわる犬

人間には、それ以上近づかれると嫌悪感や違和感を覚えることのある「パーソナルスペース」がありますよね。実は犬も8ヶ月~1歳くらいの間にさまざまな経験をすることで、パーソナルスペースを獲得すると言われています。
この辺りから初めて会う犬に対して好き嫌いが出るようになることもあります。

好き嫌いが出ると聞くと良くないことにも思えますが、パーソナルスペースを確立することは、犬にとって大切なことです。

パーソナルスペースは自分の安全地帯のようなものです。これを持つことで、相手との心地良い距離を保ち、友好的に接することができます。

もしパーソナルスペースを確立できないまま成長してしまうと、近づいてくる人や犬に対して恐怖や不安から攻撃的になったり、逃げ回ったりすることが考えられます。

このパーソナルスペースをもとにして、飼い主と愛犬の距離感を見てみたいと思います。

飼い主でも近づいてほしくない時がある

基本的には飼い主と愛犬の距離は近いと考える方が多いと思います。
でも愛犬がこんな態度を取った時は、気をつけてみる必要があるかもしれません。

愛犬に配慮が必要な時

  • 近づくと唸ることがある
  • 近づくと顔をそむけられた

近づくと唸ることがある

一緒に暮らす家族でも、犬の中では順位付けをしています。
1番はお父さん、2番目は自分(犬)、3番目はお母さん、という具合です。

たとえば、顔にほおずりしようとしたり、お尻の様子を確認しようとしたりした時、1番のお父さんだと唸らないのに、同じことを自分より下のお母さんがすると唸ることがあります。
自分のパーソナルスペースに入ることを許せる人間と、許せない人間がいるのですね。

ただし、いつも唸らない愛犬が突然激しく唸るようになったら、ケガや病気の可能性もあります。体調に変化がないか注意してあげる必要があります。

近づくと顔をそむけられた

唸るほどではないけれど、「今は近くに来てほしくないなぁ」と犬が感じることもあるみたいです。

うちのコの場合は、外でたくさん遊んで疲れた時や、私が家事などをしている姿をうちのコがボーッと見ている時に近づこうとすると、不意に顔をそらすことがあります。
すごくさりげない仕草なので見逃してしまうことも多いのですが、こんな時は「ほっといてほしいな」と感じている気がしています。私が離れるとまたこちらに目を向けるので、ただ黙って私を観察していたいのかもしれませんが(笑)

常に近すぎる距離感にも気をつける

「離れていたくない」「常に触れ合っていたい」と、飼い主さんもしくは愛犬もしくはお互いがそう感じている時、相手に依存することが困った事態を招くことがあります。
こんなことがあったら、少し気をつけてみる必要があるかもしれませんね。

愛犬との距離が近すぎる時

  • 愛犬がずっと飼い主のそばから離れない
  • つい愛犬を抱きしめてしまう

愛犬がずっと飼い主のそばから離れない

飼い主さんが家にいる時、トイレもお風呂もずっとついて来て寝る時も一緒という子は、飼い主さんのそばにいないと不安になってしまっています。かわいいけれど、これでは飼い主さんも1人で出かけられなくなってしまいますよね。

この場合、「外の世界でたくさん刺激を受ける」「自分の場所を持つ」ことが解決の糸口になることがあると言われています。
うちのコも迎えた当時は私を追いかけ回し、出かける時はキャンキャン悲しそうな声を出していました。でも散歩でたくさん歩き回ったり、家の中でベッドや敷物などをいくつか置いてみたら、突然落ち着きました。

外の世界でさまざまな経験をして家では自分専用の居場所を持ったことで、うちのコの気持ちに変化が起きたように思います。

つい愛犬を抱きしめてしまう

愛犬がかわいくて、ついギュッと抱きしめたくなることがありますよね。帰宅すると、うちのコは後ろ足で立って大喜びしてくれるので、抱きしめようとしたことがあります。
でもその瞬間「なにするの?」とうちのコは真顔になり、四つん這いに戻りました。

犬には気に入ったおもちゃなどを抱え込む機能はありますが、これは抱きしめるとは違う動作なのだそうです。
もしかしたら人間が愛情を込めて抱きしめる行為は、犬からしたら押さえつけられたと感じるのかもしれません。きっとうちのコは「ボクはうれしいだけなのに、どうしておさえるの?」と、疑問を感じたのでしょうね。それからはうちのコが喜ぶ仕草を自然に受け入れることにしました。

愛犬への関心は飼い主の思いやりも大切

コンクリート道路を散歩中の犬

体の距離感もありますが、犬との関係は心の距離感も大切だと考えています。
犬は人間との長い生活の中で、とても人間的な心の動きを獲得しました。そのため、「動物だからそこまで気を遣わなくてもいいだろう」という態度を見せると、愛犬を傷つけてしまうことがあります。
人間と犬にも最適な心の距離や思いやりが必要です。

犬には飼い主と一緒に楽しみたい時がある

みなさんは愛犬がつまらなそうにしている姿を見たことはありませんか?
もしもこんなことがあったら、愛犬が「パパやママと一緒に楽しみたいな」と考えているかもしれません。

愛犬が一緒に楽しみたい時の仕草

  • 飼い主か散歩中にスマホに夢中になる姿をジッと見ている
  • おもちゃをくわえて近づいてくる
  • 飼い主のそばで前足を舐めている

飼い主が散歩中にスマホに夢中になる姿をジッと見ている

犬は飼い主と散歩する時は、一緒に楽しみたいと考えているような気がします。

以前、歩数でポイントが貯まるアプリに夢中になってしまったことがありました。
散歩しながらスマホをずっと見ていたので、うちのコの動きに合わせることができず、思わず引っ張ってしまったり蹴っ飛ばしてしまったりしたことがありました。
しかしある時、うちのコがふと立ち止まって不思議そうな目で私を見ているのに気づき、とても反省しました。

「楽しいね」「お花きれいだね」「がんばってるね!」とさりげなく声を掛けるだけで、うちのコの顔はパーッと明るくなって元気になったりします。こうして声をかけていると、自転車や車が来て端にどかせる時や、信号でマテをする時もスムーズに聞いてくれるようです。

今は、散歩の時はうちのコと同じものを見聞きして過ごすようにしています。

おもちゃをくわえて近づいてくる

愛犬がおもちゃをくわえて近づいてくる時は「遊ぼう!」もしくは「遊ぶから見てて」のサインですよね。
わが家の場合は、私の前でおもちゃを落としたら「遊ぼう!投げて」で、くわえたまま座り込んだら「遊ぶから見てて」になります。

いずれにしても飼い主参加型のアピールなので、参加してあげると愛犬は大満足してくれると思います。

飼い主のそばで前足を舐めている

うちのコを迎えて間もない頃、私のそばでしょっちゅう足を舐めるのを見て、獣医さんに相談したことがあります。
私は爪か足に異常があるのではないかと心配したのですが、獣医さんに「かまってほしいってことだよ」と言われました。

自分を見てほしいけどうまく伝えられなくて、足を舐めるという行為で紛らわせていたようです。 こんな仕草を見かけたら、ちょっと声をかけてあげたいですね。

かまわれすぎるのも犬には悪影響がある

愛犬に無関心なのも問題ですが、逆にかまいすぎても良くないことが起こる可能性があります。 もしもこんなことがあったら、少し愛犬との距離感を考えてみる必要がありそうです。

愛犬との距離が近すぎる時の問題

  • 体の一部分の毛をむしってハゲてしまった
  • 要求吠えや攻撃的な態度を取るようになった

体の一部分の毛をむしってハゲてしまった

これは近所の柴犬に起こったことです。
昼間は仕事や学校で家族は出かけてしまうため、その柴犬は留守番をしています。しかし家族が帰宅した途端、みんなが一斉にその柴犬をなで回したりして代わる代わるかまい続けた結果、その子は昼間のひとりぼっちと夜のかまわれすぎのギャップで心が病んでしまい、足の毛をすべて噛みちぎってしまいました。

その家のお母さんが異変に気づき、犬専用の心療内科に通院したことでおさまってきたようですが、完治には時間がかかると言われたそうです。
愛犬の心の負担を思いやらなければならないこともあるのですね。

要求吠えや攻撃的な態度を取るようになった

自分の犬は本当にかわいいですよね。おねだりしてきたら、つい何でも聞いてあげたくなってしまいます。
でも、それが原因でワガママになってしまい、要求がエスカレートして吠えるようになったり、要求が通らないと攻撃的になったりすることがあります。要求を通そうと必死にならなければいけないのは、犬にとってもつらいことでしょう。

ダメなものはダメと突き放すことも、愛犬のためには必要だと思います。

人間と犬は食べ物にも適度な距離感を

上機嫌に笑う犬

犬はあの手この手で、飼い主の食べ物をもらおうとがんばることがあります。横で待っていても無視されるとわかると、絶対に視界に入る目の前でジーッと見ていることも(笑)

しかし、人間と犬は同じ哺乳類ではありますが、違う動物種です。だから食べ物の距離(区別)はとても大切です。ねだられるまま人間の食べ物を与えた結果、つらい思いをするのは愛犬ですよね。

薄味だから大丈夫ということはありません

肉を使ったソーセージやハム、ベーコンはダメだけど、あっさりしている魚肉ソーセージ、ちくわ、おでんなら少しくらい平気かな?と思ったりしがちです。

でも原材料を見ると、これらの食品には添加物がたくさん使われています。犬は人間用に添加されている化学添加物をほとんど分解することができません。

ほんの少しなら体調に影響は出ないかもしれませんが、食べるたびに愛犬の体に負担をかけていること、そして回数を重ねるうちに病気へのリスクが高まることを忘れないようにしたいですね。

材料を厳選しておすそ分けするのは大丈夫

愛犬と飼い主にも一定の距離が必要とは言っても、飼い主さんたちが食卓を囲むかたわらで、愛犬がポツンとうらやましそうに見ている姿も私としては不憫に思えてしまいます。

そこで、人間の食事に使う材料を少しだけ取り分けて、犬用に簡単なおやつを作ってあげてはいかがでしょうか?
人間がカレーなら、ジャガイモやニンジン、肉をゆでてスープにしてあげるとか、一緒に生野菜サラダを作るなら、スープにトマトを加えて煮込み、ミネストローネ風にしてあげるなど、工夫次第で愛犬の体に負担の少ない食べ物を作ることができます。
飼い主さんの食事と同じ材料を加熱するだけなので、手間も最小限で済みます。

家族の一員として愛犬と接する生活を

愛犬と散歩中の1枚

犬は家族の一員という表現をよく聞きます。人間の家族は、一緒にいることもあればみんなバラバラで好きに過ごしていることもあります。話したいのに無視されたり上の空で適当にあしらわれたりしたら悲しい気持ちになるし、逆にずっとつきまとわれたら「うっとうしいなぁ」と思ってしまいます。

犬も、もしかしたら同じ気持ちなのかもしれません。過度な擬人化はよくありませんが、一緒に楽しみたい時は飼い主さんも同じ気持ちでいてほしいし、静かに過ごしたい時はひとりにしてほしいのではないでしょうか?
一緒に楽しみたいというサインに応えることで、私は自分のやりたいことに注力しても罪悪感なく過ごせるのではないかと思っています。

  • 更新日:

    2021.07.14

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • さの さえこ
  • 犬の東洋医学生活管理士2級、ドッグライター
  • 子供の頃はアレルギーで飼えなかった犬を、大人になって初めて迎えることができました。しかし里子で迎えた初めての愛犬は、外耳炎、歯肉炎、膿皮症、膝蓋骨脱臼を持っていました。 この子をきれいな体にするにはどうしたら良いか。そんな気持ちから得た経験を、「犬の食」を通してお伝えできればと思っています。