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柴犬 小説
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2021.06.13

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.18

豆しば暮らし|メロンもママになる

動物病院の先生から、メールが届きました。
「えーっと何々…。自由な恋愛を楽しめていいですね、だって!あの先生、真面目そうに見えて意外と…」
「バカなこと言ってないで、続きを読んで!」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第18話です。

おめでたです

パパに叱られて、ママは続きを読み始めました。
近いうちにエコー検査をしましょうと書いてあります。

「今度の週末、僕がハルカをみているから、メロンを連れて行っておいでよ。ついでにドライブでもして、ゆっくりしたらいい」

「ありがとう、そうする」

週末の動物病院は混み合っていました。

「検査が終わったら、郊外の大きな公園に行って、のんびりお散歩しようね」

足元でお座りをしているメロンに、ママは話しかけます。

「走るのはやめておこう。赤ちゃんに何かあったら大変だから」

メロンも、わかっていますという顔でママを見つめていました。

名前を呼ばれて診察室へ。
メロンのお腹の様子が、モニターに映し出されます。

「あっ、赤ちゃんだよメロン!」

「4匹いますね。おめでたです」

「おめでた…。何度聞いてもいい言葉! でも先生は、自由な恋愛の方がお好みですか?」

ママの火の玉ストレートな発言に、先生は真っ赤な顔をして、目をパチクリしていました。

いよいよ出産の日

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メロンのお腹は、あっという間に大きくなってゆきます。
ケージとは別に、出産と育児用の段ボール箱を用意することにしました。

「メロンが安心するように、僕のTシャツを入れておこう」

「パパの加齢臭は、不安要素でしかないよ」

「……泣かないもん」

そうこうしているうちに、破水したメロンは、段ボール箱の中に入って行きました。
上から覗けるようにしてあるので、パパもママも緊張しながら、その時を迎えたメロンを見守っています。

痛々しい声を上げながら、メロンは1匹目の子を産み落としました。

「メロン、大丈夫かな。つらそうだね」

「犬のお産は軽いっていうけど、やっぱりお母さんになるって大変なことなんだよ。経験者は語りますよ」

心配御無用!

横たわったまま、メロンは赤ちゃんを舐めてお世話をしていました。
誰に教わらなくとも、お母さんのすべきことがわかっている様子です。

「あんなに小ちゃかったメロンが、ママになったんだよ…」

ママの目に涙が込み上げてきました。

その時です。
メロンが、片方の後ろ足をヒラリと上げました。

「ん? エアロビクスみたいだぞ」

それは何と、出産のポーズ。
赤ちゃんのお世話のかたわら、2匹目の子を出産しました。

その後も、淡々と同じことを繰り返します。
無造作、と言ってもいいほどでした。

「昔の人の言うことは本当だね。軽すぎて驚いたよ」

パパが感心したように言いました。

赤茶色の男の子と女の子、赤茶色と黒のゴマの女の子、そして白い男の子。
元気いっぱいの赤ちゃんの誕生です。

  • 更新日:

    2021.06.13

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。