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連載 / ブログ

2021.06.06

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.17

豆しば暮らし|恋の季節

「メロンの子供が欲しいって言ってるヤツがいるんだよね」
パパがママに言います。
「メロンって、小さくて可愛くて、機敏で逞しくて賢いって評判なんだよ。だから、メロンの血を引くジュニアとの生活は絶対に楽しいと思う、って」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第17話です。

体が小さいことのリスク

メロンがお母さんになる。

メロンをまだ小さな子供のように思っていた二人には、考えもしなかったことでした。

「ちょっとビックリしちゃうけど…犬の一生を考えたら、ちょうどそんな時期なのかもしれないね」

「じゃあ、前向きに検討しようか」

ママは、かかりつけの動物病院あてに、メールで相談してみました。
気になることがあったのです。

その後送られてきた先生からのメールには、こう書かれていました。
『体の小さなメロンちゃんには、大きな赤ちゃんを産むことは難しいと思われます。お相手は、メロンちゃんと同じくらいのサイズの子が望ましいです』

「やっぱり!」

その夜ママは、このことをパパに話しました。

「豆しばの男の子を見つけなきゃいけないってことだね」

「うん、メロンの体を第一に考えたいもの」

とは言え、まだ豆しばが珍しかった頃のこと。
そんな当ては全くありません。

豆しば男子を探せ

週末、パパはメロンを連れてドッグランへ。
ママとハルカちゃんはお留守番です。

「豆しば男子か…。そう簡単には見つからなさそうだな」

2時間近くが過ぎ、そろそろ帰ろうかと思っていたパパの目に、赤茶色の小さな子の姿が飛び込んできました。
赤い首輪に青いリードをつけています。

「うーん、どっちだ?!」

飼い主さんが、ムサシと呼んでいるのが聞こえました。

「ムサシ…! どう考えても男子!」

ムサシくんは、メロンより若干大きいくらい。
豆しばと言って差し支えありません。

「ついに発見! でも、何て声をかけたらいいかな…」

ですが、パパは見る前に跳ぶタイプ。
ムサシくんの飼い主さんに近づくと、満面の笑みで言いました。

「あのう…種付けしてもらえませんか?」

不審者丸出しです。

ラブラブ?

警戒する飼い主さんに、パパは慌てて事情を話しました。

「そうでしたか。実はうちも、子供を考えていたんですよ」

話はとんとん拍子に進みましたが、パパは大きな問題があることを思い出しました。
それは、メロンの犬嫌い。
果たして、受け入れてくれるものやら…。

ですが、その心配は杞憂に終わりました。
気がつけば、メロンはムサシくんのお隣に。

メロンはグイグイくる子が苦手で、つい威嚇してしまいます。
その点、ムサシくんは何だかそっけないくらい。

そのクールさが、メロンのハートをガッチリと掴みました。
キラキラと輝く乙女の瞳で、ムサシくんを見つめています。
ムサシくんも、はにかみながらメロンに寄り添っていました。

「カップル成立…ですかね?」

「そのようですね。ムサシ、お前も隅に置けないなぁ」

メロンの初恋のお相手は、塩顔のシャイボーイでした。

  • 更新日:

    2021.06.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。