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かゆみで自分のお尻を噛んでいる犬
健康管理 / 病気

2021.05.18

【獣医師監修】犬のアレルギー性皮膚炎ってどんな病気?症状・原因・治療法まとめ

犬を飼っていると、犬が体をポリポリとかくのを見たことのある方は多いはず。一時的なものであれば問題ありませんが、しきりに痒がったりかきむしったりするようであれば痒みの原因の一つにアレルギー性皮膚炎が考えられるかもしれません。人間の場合、花粉症・食べ物アレルギーなどがアレルギーによって引き起こされる病気として知られていますが、犬もアレルギーによってさまざまな病気にかかります。今回はその中でも皮膚に症状の出る「犬のアレルギー性皮膚炎」にフォーカスを当て、その症状や原因・治療法などについてご紹介していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:かしま あやの)

犬のアレルギー性皮膚炎ってどんな病気?

後ろ足で顔を掻く犬

犬のアレルギー性皮膚炎は免疫の病気です。本来なら体に無害な食物などのアレルゲンとなる物質に対して過剰に免疫が働いてしまうことで、接触したときに皮膚が赤くなったり痒くなったりする皮膚炎のことを指します。アレルギー反応を示さない子もいますし、アレルゲンとなる物質はそれぞれ個体によって異なります。

犬のアレルギー性皮膚炎でよくみられるものは接触性アレルギーとノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギーの3種類で、複数のアレルギー性疾患を同時に発症することもあります。

初期症状とチェック項目

アレルギー性皮膚炎の初期症状は主に痒みです。アレルギーの種類により痒みの出る場所や症状などが変わってきます。いずれも命にかかわるような悪性の病気ではありませんが、自然に治る病気ではありません。痒みを除いてあげないと皮膚トラブルが悪化してしまうため、早めに動物病院に行き、原因を見つけて治療に取りかかる必要があります。

アレルギーの種類別かゆみ症状

  • 接触性アレルギー…アレルゲンとなるものに触れている部分が赤みを帯びたり、痒くなる
  • 食物アレルギー…顔周辺・わきの下・肛門周辺・背中・手足の痒みに加え、慢性的な下痢や嘔吐の症状を併発することもある
  • ノミアレルギー性皮膚炎…背中や後ろ足、腹部、尻尾に痒みを生じる

他の犬や人にうつる?

犬のアレルギー性皮膚炎は、免疫系の病気なので他の犬や人にうつることはありません。 ただし、似たような症状の感染症もあるため、飼い主さんの判断でアレルギーと断定せずに、まずは診察を受けましょう。

犬がアレルギー性皮膚炎になる3つの原因

後ろ足で顔を掻く犬

犬がアレルギー性皮膚炎になる原因には、ハウスダストやホコリなど生活環境に存在する物質のほか、食べ物やノミが挙げられます。

原因1.環境アレルゲン(ハウスダスト・ホコリ・花粉など)

空気中に含まれる物質ですが、気温や湿度などが関係してくることもあり、特定するのが困難です。春から夏にかけて症状が強く出る場合には、花粉や草木との接触が疑われます。 カビなどに対してアレルギー反応を示す子もいます。

原因2.食べ物

犬のフードに含まれる成分が引き起こすこともあります。一般的なものは牛肉や乳製品、穀物、卵、鶏肉などです。 ただし、個体差はあり、野菜などにも反応を示す場合もあります。

原因3.ノミ

ノミの唾液でアレルギー反応を起こし、発症するのがノミアレルギー性皮膚炎です。1ヶ所噛まれただけでも強い痒みが生じるのが特徴です。春から夏にかけての、ノミの発生時期に発症することが多くなります。

かかりやすい犬種や年齢は?

犬のアレルギー性皮膚炎は、柴犬やフレンチブルドッグ、ミニチュアダックスフンド、トイプードル、シーズーなどに多く見られますが、犬種問わず発症します。 また、若齢の犬には起こりにくく、生後数年で症状が出始めることが多い傾向があります。

犬のアレルギー性皮膚炎の治療法

手作り食を食べる犬

犬のアレルギー性皮膚炎の治療法は、その種類によってさまざまです。いずれも完治が難しく、長期にわたる治療が必要になってきます。

1.アレルゲンを特定し除去

アレルギー性皮膚炎の治療法で挙げられるのは、まずアレルギー検査でアレルゲンを特定し、それを除去する方法です。食物アレルギーの場合はアレルゲンを特定し、それを除いた食事を与えることです。正しく行っていけば3週間程度で症状の改善が見られる場合もあります。痒みが強い場合には内服薬を使用していくこともあります。

2.ノミの駆除と予防

ノミアレルギー性皮膚炎では、ノミの駆除と予防が大切です。ノミを駆除する殺虫剤や成長抑制剤にはいろいろな種類があるので、愛犬に合った薬が分からない場合は動物病院で相談してみましょう。

3.症状緩和・減感作療法も

痒みの症状を抑えるために、薬用シャンプーの使用や免疫抑制剤・抗ヒスタミン剤などの薬を使用する場合もあります。その他アレルギーの原因となるアレルゲンに、徐々に慣れさせていく減感作療法という治療法もあり、約70~80%で効果が見られると言われています。

治療にかかる費用

犬のアレルギー性皮膚炎にかかる費用は、病院によって様々ですが、アレルギーを特定する検査は費用が多めに掛かるケースが多いです。検査費用に加え、治療が長期にわたること、かゆみ止めのお薬の種類などによっても費用が変わってくることから、治療方針や検査項目は医師と相談しながら進めていきましょう。費用に関してもご不安な場合はまずはかかりつけの先生に相談してみることをお勧めします。

犬のアレルギー性皮膚炎の予防法

シャンプーをされている犬

アレルギー性皮膚炎と食物アレルギーには、残念ながら抜本的な予防法はなく、痒みの症状を抑えてあげることが求められます。病院を受診して適切な処置をしてもらう他、シャンプーやドッグフードを変えて痒みを抑えてあげましょう。また痒みのある場所をかいたり噛んだりするのを予防するためには、エリザベスカラーやソックスなども有効です。ノミアレルギー性皮膚炎に関しては、ノミの予防薬を忘れないようにすることも大切です。

再発する可能性

犬のアレルギー性皮膚炎は、完治は難しくアレルゲン除去や生涯痒みのケアなどとお付き合いしながら生活していく必要があります。できる限りアレルゲンとなるものを避けて、炎症が酷くなるのを防いであげましょう。

犬のアレルギー性皮膚炎との向き合い方

草原を背に真正面からこちらを見ている小型犬

犬のアレルギー性皮膚炎は、痒みが伴い皮膚へのトラブルが広がってしまいます。完治が難しく長期的な治療が必要になりますが、犬の負担を考え、適切な処置をしてあげましょう。飼い主や犬にとって負担が少ない治療法を選んで、長く上手に付き合っていくことが大切ですね。

  • 更新日:

    2021.05.18

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。