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健康管理 / 病気
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2021.05.09

【獣医師監修】犬の門脈シャントってどんな病気?原因や治療法、予防策を紹介

犬の門脈シャントという病気をご存じでしょうか?なかなか聞きなれない病名ですが、ヨークシャーテリアやミニチュアシュナウザーなどがかかりやすいと言われている病気です。とはいえ、どんな犬種でもなる可能性はあり、早めに気づき対処することで改善できることもあるため、初期症状や対策などを知り、万が一の時に迅速に行動できるように備えておきましょう。今回は、飼い主さんが知っておきたい門脈シャントの原因や治療法などを解説していきます。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:つちや りょうこ)

犬の門脈シャントってどんな病気?

動物病院で診察を受ける犬

犬が門脈(もんみゃく)シャントという病気になると、さまざまな症状を引き起こします。手遅れになる前に、初期症状はどんなものがあるかをチェックしておきましょう。

初期症状とチェック項目

軽症の場合は食欲不振や下痢、嘔吐などの消化器症状が見られます。重症になると肝性脳症と呼ばれる神経症状を起こします。 ふらつきや元気消失などの症状から徘徊、昏睡といった重篤な症状を引き起こす場合もあります。

また尿酸やアンモニアが多量に排泄されるため、結石の原因となり、膀胱炎や血尿などの泌尿器症状も見られることがあると言われています。

他の犬や人にうつる?

犬の門脈シャントは遺伝的素因が強いと言われています。感染症ではないため、かかったのちに他の犬や人にはうつることはありません。

犬が門脈シャントになる原因とは?

動物病院で診察を受ける犬

犬が門脈シャントになる原因と、かかりやすい犬種や年齢をご紹介します。

原因1.先天性

犬が門脈シャントになる原因は、多くが先天性です。子犬のときから一般的なサイズよりも体格が異常に小さく、体重の増加が見られないなどの発達障害をおこします。子犬のときに1度血液検査を行い、早期発見ができるようにしましょう。

原因2.後天性

後天性の要因はいくつかあります。持続的に門脈の血圧が高くなった状態や、重篤な肝炎や肝硬変といった肝疾患を患うことが要因になります。肝疾患は症状が進行しても無症状場合が多く、去勢や避妊手術、健康診断の血液検査で発見されることがあります。

かかりやすい犬種や年齢は?

門脈シャントにかかりやすい犬種は、ヨークシャ・テリアやミニチュアシュナウザー、シーズーなどと言われています。先天性であることが多いため、1歳未満で発症するケースが多く見られます。

犬の門脈シャントの治療法

薬を飲む犬

犬の門脈シャントの治療法は、大きく分けて2つあります。

治療法1.内科的治療

1つ目は投薬や食事療法による内科的治療です。軽症の場合に用いられることが多く、アンモニアの産生や吸収を防ぐ薬剤を与えたり、低タンパク質の食事を与えたりして治療します。

治療法2.内科的治療

2つ目はシャント血管の閉鎖手術を行う外科的治療です。強い症状が見られる場合に行われますが、犬の健康状態によっては手術が難しい場合があります。

シャント血管と呼ばれる異常血管を見つけるためにも、血管内に造影剤と呼ばれる特殊な薬剤を入れたうえでのレントゲン撮影やMRIなどの画像診断が必要な場合もあり、高度医療専門の病院への紹介などをされることもあります。

手術に関しても同様で手術の手技が難しく、専用の器具や設備などが必要になります。

治療にかかる費用

動物病院は自由診療のため治療にかかる費用はさまざまです。この病気を特定する上では、X線や心エコー検査、血液検査などたくさんの検査も必要となります。高額になる可能性も高いため、気になる場合は事前にかかりつけの動物病院に確認しましょう。

犬の門脈シャントの予防法

頭を撫でられる犬

先天性の門脈シャントの場合は残念ながら予防法がありません。そのため病気が疑われるときは早めに動物病院に相談しましょう。犬が門脈シャントの疑いが考えられる場合は、ひどい神経症状などにつながることを避けるために、低たんぱく食を少量に分けて与え、血液中のアンモニア濃度上昇を抑えるようにする必要があります。かかりつけの先生からの指導をよく聞くようにしましょう。

再発する可能性

外科手術を受けても適切な位置でシャント血管を閉鎖していないときに起こる可能性があります。

犬の門脈シャントとの向き合い方

見上げるポメラニアン

犬の門脈シャントは遺伝的なことが多く、早期発見や早期治療が重要となります。動物病院での定期検診や、犬の成長過程、食事の量などこまめにチェックしましょう。万が一疑われる症状が見られる場合は早めに動物病院に相談してくださいね。また日々の生活での注意点など、こまめに相談をしながら、かかりつけの先生と連携を取りながら生活していけると安心です。

  • 更新日:

    2021.05.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。