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ぐったりするミニチュアダックスフンド
健康管理 / 病気
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2021.05.07

【獣医師監修】心タンポナーデってどんな病気?犬が発症したときの治療法や予防法

心タンポナーデという犬の病気をご存知ですか?聞いたことのない人もいるかもしれません。心タンポナーデは心臓に関係する病気です。今回は犬の「心タンポナーデ」という病気の症状から原因・治療法・予防法まで解説します。愛犬の万が一に備えて犬のかかる病気について知っておきましょう。

監修:葛野 莉奈/獣医師、かどのペットクリニック 院長(文:かしま あやの)

犬の心タンポナーデってどんな病気?

ぐったりして元気のない犬

心タンポナーデは、犬の心臓を覆う心膜と心臓との間に血液などの液体が溜まる病気です。

初期症状とチェック項目

心タンポナーデになると犬には呼吸困難や運動量の低下、ぐったりするなどの症状がみられます。心臓の周りに液体がたまることで、心臓が思うように動かなくなってしまうためです。急に症状が現れることが多く、初期症状はほとんどみられません。

心臓機能が低下する病気なので、命にかかわることが多く、緊急性が高い病気です。レントゲン検査や心電図、エコー検査などで総合的に病気の診断します。家庭で判断できる病気ではないので、症状がある場合は早めに動物病院を受診する必要があります。

他の犬や人にうつる?

心タンポナーデは、他の犬や人にうつることはありません。

犬が心タンポナーデになる原因とは?

元気のない表情の犬

心タンポナーデになる原因は、腫瘍や慢性弁膜症の悪化、外傷性のもののほか、原因が分からない特発性のものもあります。

原因1.腫瘍性疾患

犬の心タンポナーデのうち、およそ8割が血管肉腫という腫瘍が原因と言われています。犬の心臓腫瘍の多くは、血管肉腫と大動脈小体腫瘍です。腫瘍が心臓を圧迫したり、腫瘍細胞が浸潤したりして心臓の動きが悪くなることで心タンポナーデを発症します。

原因2.僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内にある僧帽弁が何らかの原因で閉じなくなる病気です。これにより血流が正常に行われず心臓の壁が障害され、心臓の外へ血液が漏れることで心タンポナーデを引き起こします。

原因3.外傷

交通事故などの外傷によって引き起こすことがあります。心臓から出血し、心タンポナーデになることがあるのです。

原因原因4.特発性

原因が分からない特発性のものがあります。癌や僧帽弁閉鎖不全症の可能性がなくても、何らかの原因で心臓の周りに液体が溜まってしまうことがあります。

かかりやすい犬種や年齢は?

心タンポナーデにかかりやすい犬種や年齢は、原因により異なります。

腫瘍の場合、血管肉腫ではジャーマンシェパードやラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーがかかりやすいと言われています。大動脈小体腫瘍は、ボクサーやボストンテリアなどの短頭種に多い病気です。これらの腫瘍は、一般的に7~15歳(中高年齢)で発症すると言われています。

僧帽弁閉鎖不全症は、一般的にはマルチーズやシーズー、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルが特にかかりやすい病気です。8~10歳で咳などの心不全症状がみられますが、犬種によっては若齢時に発症する場合もあります。しかし、高齢犬ならどの犬種にも発症する可能性がある病気です。

犬の心タンポナーデの治療法

投薬治療を受ける犬

心タンポナーデの治療法は、まずは犬の心臓と心膜との間に溜まった液体を抜くことです。しかし、これは根本的な治療にはならず、原因となる病気の治療をしないと、再発の危険性は拭えません。

腫瘍であれば抗がん剤治療や、場合によっては手術が必要になることもあります。僧帽弁閉鎖不全症の場合は、主に内服や食事管理など内科的な治療をしていきます。

治療にかかる費用

犬の治療費は、犬の体重や治療内容によって異なるほか、自由診療のため病院により差が大きくあります。心タンポナーデは、診断にレントゲンや心電図などを使用します。また、溜まった液体を抜く処置が必要で、原因により外科的な処置や内服による治療も必要な病気です。そのため、治療にかかる費用は高額になることが考えられます。

病院によって費用も異なるため、治療が必要になる場合は事前にどのような処置が必要でどのくらいの費用がかかるのか相談しておくと安心です。

犬の心タンポナーデの予防法はある?

病院で診察を受ける犬

腫瘍が原因であることが多い犬の心タンポナーデでは、残念ながら予防法はありません。そのため、原因となる疾患を早めに見つけてあげられることが大切です。犬を守るために、定期的な検査をすると安心ですね。

再発する可能性

心タンポナーデは、犬の心臓に溜まった液体を抜くだけでは完治しないため、根本的な病気の治療をしないことには再発の可能性があります。また、原因が分からない特発性の場合にも、再発する可能性はあります。

犬の心タンポナーデとの向き合い方

病院で診察を受ける犬のイラスト

命にかかわることがある心タンポナーデは、それまで元気だった犬が急に動けなくなることもあり、飼い主さんもあわててしまいます。治療や再発の危険性を視野に入れながら、見守っていかなければならないのも大変です。有効な予防法はありませんが、原因になる疾患を早めに見つけてあげられるよう、定期的な健康診断などを受けておくと安心ですね。

参考文献
  • 更新日:

    2021.05.07

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ライター・専門家プロフィール
  • 葛野 莉奈
  • 獣医師、かどのペットクリニック 院長
  • 麻布大学卒。2015年より神奈川県内にてかどのペットクリニックを開業。ながたの皮膚科塾を卒業し、普段の診療でも皮膚科には力を入れております。 私生活では犬8頭と猫2匹と生活しているので、一飼い主として、そして獣医師として飼い主さんと動物たちとの生活がよりよくなることに少しでも貢献できると嬉しいです。