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鍼灸治療を受ける犬
健康管理 / 病気
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2021.05.09

犬に鍼灸は効く?有効な病気から病院の探し方まで鍼灸治療の知りたいを解決!

近年、犬にも鍼灸治療を行う病院が増えてきました。西洋医学を主体とする動物病院での治療とは異なり、注射や投薬、手術といった治療をせずに病気を治す鍼灸治療が注目を集めています。特に、副作用などの負担がないこと、注射のように犬が痛がらないことや治療を嫌がらないことなどが、注目を集める理由といえます。しかし、どこへ行けば鍼灸をやってもらえるのか分からないと思う方も多いのではないでしょうか?また、どんな施術をされるのか、本当に効果があるのか、どんな病気に有効なのかなど、鍼灸治療に対しての疑問も多くあると思います。

そこでこの記事では、鍼灸治療とはどんな治療なのか、どんな病気に対して有効なのか、良い治療院の探し方のポイントなどについてみなさんの知りたい情報をまとめてお伝えします。

文:西村 百合子/ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士

犬の鍼灸治療とは?

鍼灸治療の道具

犬が発症するさまざまな病気にも有効だとされ注目を集めている鍼灸治療。鍼灸治療は、それぞれ「はり治療」と「灸治療」と異なる2種類の治療をまとめた呼び方です。人間の治療では、はりと灸をセットで行うことが多いことから、鍼灸治療と呼ばれています。犬の場合も、人間の治療と同じく多くの場合で、はりと灸をセットにして行います。

はり治療とは

人間のはり治療と同様に、犬の全身にある経穴と呼ばれるツボにはりを刺して治療します。犬のはり治療で使用されるはりは、人間用のはりと同じもの。病院によって異なりますが、犬の体の大きさや症状に合わせて太さの違うはりや刺さないはりなどを使用して、体の表面にあるツボに刺して治療を行います。

灸治療とは

犬の灸治療も病院によって異なりますが、人間の治療のように直接皮膚にもぐさを置くのではなく、棒灸などの温灸やシートの上にもぐさを置く施術が行われます。また、煙の苦手な犬のために煙の出ないもぐさを使用する病院もあります。

鍼灸治療を犬におすすめする理由

鍼灸治療を受ける犬

日本での鍼灸は、中国で発祥し日本で独自の発展をした東洋医学の考えに基づいて行われています。東洋医学の考え方は、本来身体に備わっている自然治癒力を高め、心身のバランスを整え病気を防ぐ(未病)体作りをしていくというもの。また、西洋医学との大きな違いは、不調のある部分だけを診るのではなく、食生活、体質などから体全体のバランスを見極め、なぜその不調が起きているのかを探り対処することにあります。鍼灸治療では、まずは脈診によって体全体のバランスをチェックし、必要なツボへ施術します。

全身麻酔やと副作用の心配がない

近年、WHO(世界保健機関)などによって科学的にもその効果が認められてきた鍼灸治療。手術や投薬を主体とする西洋医学とは異なり、副作用などの心配もなくまた麻酔をかける必要のない鍼灸治療は、シニアや心臓疾患を持つ犬でも施術が可能です。そして何よりも、犬の体に負担がない治療であることが特徴です。犬によっては、施術中に気持ちよく寝てしまうことも。注射や手術などで治療する西洋医学との大きな違いと言えます。

西洋医学では完治が難しい病気にも適応している

一般的に腰痛や肩こりなどに効くイメージのある鍼灸治療ですが、実は適応する病気の範囲がとても広いことが特徴です。特に、関節炎、椎間板ヘルニア、変性性脊椎症、加齢による足腰の痛み、筋肉の衰えによる歩行困難など神経、運動器の病気、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などの皮膚の病気やてんかん発作、前提疾患など西洋の医学では完治が不可能とされている病気にも有効です。

また、心臓・循環器、消化器、腎臓疾患、膀胱炎などの泌尿器、前立腺肥大、子宮蓄膿症の生殖器、甲状腺機能低下症、糖尿病などホルモンの病気など、骨折などの外科手術が必要のないあらゆる病気に適応しています。

犬の鍼灸治療には免許がいる?

犬 鍼灸

人間での鍼灸治療は、補完代替医療と呼ばれている西洋医学以外の医療行為と位置付けがされています。治療には非常に高い技術を要するため、文部科学省が認可する学校を卒業後、国家試験に合格した場合に限り鍼灸師の資格が与えられます。なお、人間の場合は、はり師と灸師はそれぞれ別の資格となっています。

動物の場合の鍼灸は、獣医師のみが行える医療行為です。人間の鍼灸師のように国家資格は必要がないため、獣医師が独自に勉強をして施術を行っている場合がほとんどです。また、人間の鍼灸師の資格を取得した獣医師が行っている場合もあります。

鍼灸治療を行っている病院選びは慎重に

前述のように、犬の鍼灸治療には資格を必要としないため、獣医師であれば犬に対して誰でも鍼灸治療を行うことが可能です。しかし、人間では国家資格を必要とするほど高度な技術と知識が不可欠となる治療であることから、病院選びは慎重に行う必要があります。

犬の鍼灸治療を受けるときの心構え

灸を燃やす

初めての鍼灸治療では、本当に治るのか不安でいっぱいになるはずです。ここで大切なことは、鍼灸の力と犬の自然治癒力を信じることです。また、鍼灸治療では「証」と呼ばれる問診があります。食事の内容から日常生活での気になること、散歩の様子など犬の様子を細かく獣医師に伝える必要があるため、犬の状態をよく観察し把握しておくことが大切です。

服薬は中止してから

西洋医学の動物病院に通い慣れていると、鎮痛薬や消炎剤などの薬を処方されることが当たり前と思いがちです。実は、多くの飼い主が「薬を飲ませていれば安心」と感じる薬依存症になっていると言われています。しかし、犬が持つ自然治癒力を高める鍼灸治療ではこのような薬は処方されません。

薬がないとなんとなく不安を感じるかもしれませんが、鍼灸治療を受けている時に、西洋医学の薬を飲ませることはせっかくの鍼灸治療の効果を半減させてしまいます。ステロイドを服用している時には、鍼灸治療はできないと言う獣医師もいます。鍼灸治療を始めると決めたら、服薬は中止することが大切です。

治療を途中でやめないこと

即効性もある鍼灸治療ですが、その犬の状態によっては長期間の通院が必要となる場合があります。大切なのは、なんとなく体調が良さそうに見えるから、元気になってきたからなどの素人判断で、途中で通院を止めないこと。鍼灸治療は、獣医師から許可が出るまでは続けることに意味があります。本気で愛犬の病気を治したいと考えているのであれば、必ず最後まで鍼灸治療を受けるようにすることが大切です。

犬に優しい鍼灸治療、治らない病気に悩むなら是非受診してみて

元気そうに笑う犬

西洋医学は、悪いところに直接アプローチし手術や投薬で治療する対症療法であるのに対し、東洋医学は体全体のバランスを見極め、体質を改善しながら体の内側から根本的に治す治療法です。ステロイドで症状を抑えることができたとしても、根本的な治療ができない病気や現代の西洋医学では原因が解明できない病気なども、鍼灸治療では治る可能性があります。

ただし、治療が長期にわたり治療費が高額となることもあるため、通院する上では覚悟が必要となります。最近では、動物保険が適用されるケースもあるので、鍼灸治療を考えている場合は、保険適用される病院を探してみてくださいね。

  • 更新日:

    2021.05.09

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。