magazine

犬 猫 物語
連載 / ブログ
鉛筆アイコン

2021.05.26

小説|雨野さん家のたねとまめ【第2部】|vol.5

雨野さん家のたねとまめ|まめの骨とたねのまたたび

吾輩はたねである。あそこにいる尻尾ふりふり上機嫌な黒いのはまめ。お母さんが持ってる白いのが気になっている奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第2部第5話です。

いい匂いにつられて、まめは今日もそわそわ。

まめに骨

「あらあらまめちゃん、すごいわねもう気付いちゃったの?」

そう言ってお母さんは空いてる手でまめの頭をなでなでする。そして、もう片方の手に持っていた骨のようなものをまめの口元に差し出した。

「はいどうぞ」

まめはそれを見るとぱあっと表情が明るくなって、勢いよくかぶりつく。あんまり美味しそうには見えないから興味がなかったたねだけど、ふがふががしがしと噛んでいる姿はすごく美味しそうに見えてちょっぴり気になってしまった。

「ふふふ、今日もすごい勢いねえ」

お母さんはまたそっとまめを撫でる。

たねにまたたび

「そうだ、たねちゃんにもまたたびあげよっか」

少しの間まめを眺めていたお母さんは、思い出したと手を叩いた。そのまま戸棚の奥をごそごそと探すと、袋から木の枝のようなものを取り出す。

ぴくり、たねはこの匂いを知っていた。

先程のまめのように、匂いのする方へ歩いていく。そんなたねを見て、お母さんは嬉しそうにその木の枝を差し出した。

「最近あげてなかったものね、はい、たねちゃん」

口元に差し出されたそれはとってもとっても美味しそうないい匂いがした。木の枝にかぶりついて、無我夢中で舐めたり噛んだりすると、とてもきもちがよかった。

よっぱっぱー

「うにゃー、にゃああ」

思わずおっきな鳴き声が出る。すると、まめはこちらを向いてどうしたの? と首を傾げた。

しかしまたたびに夢中のたねはまめなんて構っていられない。またたびの匂いにごろごろと床に転がる。

まめは骨をしっかり噛みながら、でも不思議そうにたねを見ていた。

「わんっ!」

「わふ?」

幸せな一日

今度はお母さんの方を向いて首を傾げる。多分、たねが答えないからお母さんにどうしたのか聞いてるんだと思う。

お母さんはそんなまめの様子を見て、ふふって笑った。

「ふふ、まめちゃんはたねちゃんがまたたびで遊んでるのを見るのは初めてだもんねえ。でも大丈夫よ、危ないことしているわけじゃないからね」

「わん」

わかっているのかいないのかまめは返事をした。その間もたねはごーろごーろとまたたびと戯れる。

大人しく骨をがじがじするまめ、またたびでごろごろするたね。そのまま気が付いたら眠っていて、起きた時すごく清々しい気持ちだった。

もうお姉ちゃんなんて知らないもん!

またたびで気持ちよくなってお昼寝する。今日はとてもいい日だった思う、たねなのであった

  • 更新日:

    2021.05.26

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。