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2021.05.12

小説|雨野さん家のたねとまめ【第2部】|vol.3

雨野さん家のたねとまめ|まめと真っ赤ないちご

吾輩はたねである。テーブルの上にある真っ赤な小さいのはいちご。お母さんがもらってきた奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第2部第3話です。

美味しそうないちごはまめも気になるご様子!

いちごは美味しい

「あれ、いちごだ」

「お隣さんがくれたのよ。もうじき時期も終わりだけどーなんて言って、ありがたいわよねえ」

「へー、食べていいの?」

「いいわよ、ふたパックもらったからそれはお母さんと陽介で半分こ」

「やった」

お兄ちゃんはテーブルの上のいちごに手を伸ばした。それをひとつ摘むと、ぽいっと口に放り込む。もにゃもにゃと口を動かして、美味しそうに微笑んだ。

気になるお年頃

「お、美味しい」

「5月のいちごだものまだまだ美味しいわよ」

お母さんも一緒になっていちごを摘む。いちごをひと齧りして美味しそうに頬を押さえた。

「んー美味しい」

「ね、お隣さんに会ったらお礼言っとこ」

「そうしてちょうだい」

たねたちの頭の上で、美味しそうな声が聞こえる。まめはそんな2人の声が気になって気になって仕方がないようだ。

お母さんとお兄ちゃんの足の間をぱたぱたと歩き回って、なにしてるのと言わんばかりに上を見上げている。

なんだこれ?

「わふっ」

「なあにまめちゃん? どうしたの?」

「あ、ちょっと母さん」

「え? …あら」

足にじゃれつくまめに気を奪われたお母さんの手から、いちごがぽろりと滑り落ちる。

そして、まめの目の前に転がった。

まめはすぐに目の前に転がったいちごに鼻先をくっ付けて、匂いを嗅ぎ始める。お母さんはそんなまめを見てのほほんと首を傾げた。

「もしかしてまめちゃんも食べたいの? ねえ陽介、犬っていちご食べられたかしら」

「食べれなくはないけど…あんまりよくないからダメだよ」

しかしお兄ちゃんはすんすんと匂いを嗅いで、今にも口にくわえてしまいそうなまめからいちごを没収する。まめは突然視界からいなくなったいちごがティッシュに包まれるのを見て、ショックを受けている。…ような気がした。

お兄ちゃんに弱いの

「まめは美味しいごはんを食べようね」

「わんっ」

だけど、宥めるようにお兄ちゃんがなでなですればまめの機嫌もすぐさま元通り、いちごのことなんて一瞬で意識の外に行ってしまいまめは嬉しそうに目を細めて撫でられている。ってずるいぞまめ。たねも撫でられたい。

よしよし、ふわふわ。お兄ちゃんの撫でる手付きはいつ見ても優しくて気持ちよさそう。

ぐぬぬ…たねももの欲しそうにすればお兄ちゃんに撫でてもらえるかな。最近なでなで頻度が少ない気がするんだよね。

なんて思いながらまめとお兄ちゃんを眺めていたら、たねもあとで撫でてやるからな、とお兄ちゃんに言われて。

ああもう…お兄ちゃん大好き、と思うたねなのであった

  • 更新日:

    2021.05.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。