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2021.05.12

小説|雨野さん家のたねとまめ【第2部】|vol.2

雨野さん家のたねとまめ|まめと妹ちゃんのサンダル

吾輩はたねである。隣で妹ちゃんのサンダルに足を突っ込んでいる黒いのはまめ。それはまめのじゃない、と言っても伝わらない奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第2部第2話です。

妹ちゃんの新品のサンダルは、ちっちゃなまめにはやっぱり大きい。

お父さんのお土産

事の始まりはこうだ。

お仕事から帰ってきたお父さんは、手に提げていた袋を机に置いて2階にいる妹ちゃんを呼んでいた。

元気に返事をした妹ちゃんは、これまた元気に階段を降りてきてお父さんに飛び付く。

「お父さんおかえり!」

「ただいまひかり。今日はひかりにお土産があるんだよ」

サンダル

「お土産?」

お父さんはそう言うと、机の上に置いた袋を妹ちゃんに渡した。妹ちゃんはなになにー!? と興味津々にその袋を受け取る。

「開けていい!?」

「もちろんいいよ」

がさがさと袋を広げて、中から妹ちゃんの顔よりもおっきな箱を取り出す。妹ちゃんは一回お父さんの顔を見てから、その箱を開いた。

箱の中には小さな、妹ちゃんにぴったりなサンダルが入っていた。

妹ちゃんはサンダルを手に取って、またお父さんの顔を見る。

大喜びの妹ちゃん

「サンダルだー!」

「前のサンダルは小さくなっていただろう?」

「うん! ありがとうお父さん!」

「夏になったらいっぱい履いてくれたらお父さんも嬉しいよ」

「うん! いっぱいいっぱい履く!!」

妹ちゃんはぎゅってサンダルを抱きしめた。

平和が一番

そして、たねとまめの前にやってきて。

「見て見て! たねちゃんまめちゃん! お父さんにサンダルもらったよー!」

サンダルを差し出して見せた。

サンダルには、ゆるゆるとした猫と犬が描かれていた。それを見たたねは、お父さんはたねたちのことを思い出したのかな? なんて思った。

一方差し出されたサンダルに興味津々のまめ。ふんふん匂いを嗅ぎながらサンダルの足を入れる部分に足を突っ込んだ。

「あっ! まめちゃんひかりより先に履いちゃだめだよー! 夏になったらいっぱい履くから、そしたらまめちゃんも履いていいよ!」

真剣に言う妹ちゃんに、お父さんが思わずふふって笑う。妹ちゃんはまめにはぶかぶかのサンダルを回収すると、またお父さんにお礼を言ってから玄関へと走っていった。

「あんなに喜んでもらえるとはなあ」

妹ちゃんの背中を見ながらお父さんはぽつりと零す。

雨野さん家の人たちは、お父さんもお母さんも、お兄ちゃんも妹ちゃんもいい人たちなのである。みんな素直で優しい。……お姉ちゃんだけはちょっっと難ありだけど。

喜ぶ妹ちゃんに、それを見て喜ぶお父さん。まめも2人がご機嫌なのはなんとなくわかっているみたいで元気に尻尾を振っていた。

そんな2人と1匹を尻目に、平和でいいなあと思う。たねなのであった。

  • 公開日:

    2021.05.05

  • 更新日:

    2021.05.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。