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2021.05.12

小説|雨野さん家のたねとまめ【第2部】|vol.1

雨野さん家のたねとまめ|やんちゃなまめとお姉ちゃん

吾輩はたねである。お姉ちゃんにいい子いい子されて嬉しそうな黒いのはまめ、このたねより大人しいと言われた奴である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第2部第1話です。

まめより騒がしいとのレッテルが貼られたたね、しかしそれは覚醒したまめによって覆される−−!?

やんちゃの起床

たねは待ちわびている。まめの目がちゃんと覚めて、お姉ちゃんをびっくりさせるのを。あいつがあんなに大人しくないことは日頃からよくわかっているのだ。ただ今はお姉ちゃんは知らないだけなのだ。

「まめつぶ可愛いな〜。あ、ボールあんじゃん、遊ぶかまめつぶ!」

お姉ちゃんは視界に入ったボールを手に取る。それを見てたねはほくそ笑む。そのボールはまめのお気に入り……それを使い始めたが最後、お姉ちゃんはくたびれるまで遊びに付き合わされることになる。

「ほら、取ってこーい」

「…わん!」

勘違いお姉ちゃん

お姉ちゃんの声、それとボールが転がる音にまめの耳がぴくりと動く。てん、てんと転がるボールを少し遅れて追い掛けるまめ。ボールをくわえてお姉ちゃんのところへ戻る頃には完全に目も覚めて、いつもみたいな騒がしいまめに戻っていた。

「わん!」

「なに、まめつぶそんなに私と遊ぶの好きなの? めちゃくちゃ元気になってんじゃん」

違う、違うよ! 言っちゃ悪いけど、別にお姉ちゃんが好きとかじゃなくまめは元気なの!! そんなポジティブに捉えないでよ!! まめはいつもうるさいんだよ!

「わんわん!」

「あ、やっぱりー?」

こうなったら

しかしたねがどれだけ心の中で叫ぼうと、もちろんお姉ちゃんには伝わらない。

あの怪獣がたねより大人しいなんて誤解、許せない…。

こうなったら…。

「にゃー」

「わんっ!」

「お?どうしたニャンコロ」

たねはのっそのっそとまめの元に行く。そしてまめのくわえたボールに頬擦りをした。するとまめは、珍しくたねが遊ぶ気を出したのを見てこれでもないくらい尻尾を振り始める。

わかる? まめはお姉ちゃんなんかよりたねと遊ぶ方が好きなんだから。

どやっ! っと胸を張る。

もういいもん!

「なに? ニャンコロも遊んで欲しいの?」

!?

ちっがーう!

お姉ちゃんの素っ頓狂な解釈に、たねは勢いよくお姉ちゃんの方を向く。お姉ちゃんはそれをイエスと捉えたのか、たねの顔を見てにんまりと笑った。

「そんなに遊んで欲しいなら最初から言えばいいのに〜」

そう言ってたねの頭に手を伸ばそうとするけど、完全に拗ねたたねはお姉ちゃんの手をかわして逃げた。

もうお姉ちゃんなんて知らないもん!

走り去っていくたねを尻目に、遊ばないの? と寂しげに首を傾げるまめなのであった。

  • 公開日:

    2021.05.03

  • 更新日:

    2021.05.12

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。