magazine

豆しば
連載 / ブログ

2021.05.23

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.14

豆しば暮らし|だって、お姉ちゃんだもん

ママのお腹は、日増しに大きくなってゆきます。
「大きなお腹を突き出して、メロンを連れて歩いているとね、西郷どんになった気分でごわす」
遊びに来ていたママのお友達は、それを聞いて大笑い。

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第14話です。

変化はママの体ばかりでなく

メロンにも、少しずつ変化が現れました。

それまでは、リードをグイグイと引っ張りながら、自分の行きたい方へと進んでいたのですが、だんだんとママのペースに合わせてゆっくりと歩くようになったのです。
そればかりではありません。
ママに寄り添ってみたり、ママの前を歩いていても時々振り返ってママの様子をみてみたり。
ママと赤ちゃんを気遣っているかのようです。

先日の検診で、赤ちゃんは女の子だとわかりました。

「メロンが長女で、チビたんは次女だね」

パパが微笑んで言います。
赤ちゃんのことを、パパはチビたんと呼んでいました。

「生まれて来るのは春だから、春っぽくて女の子らしい名前がいいね、チビたん」

パパは、赤ちゃんによく話しかけるようになりました。
でも、ママの口を開けさせて、喉の奥に向かって話しかけるのが、ママにはちょっぴり不満。

お腹に話しかけろや。

気性の荒いママはそう言いたくなりますが、パパの想いを台無しにしてしまうのがわかっているので黙っています。

ダメですよ

豆柴

「ねぇ、お腹に触ってもいい?」

お友達がそう言って、ママのお腹に手を伸ばしました。

それまでメロンは、ママの隣で丸くなって寝ていたのですが、その瞬間にすっと立ち上がりました。
そして、お友達の手を遮るように、ママのお腹の前に立ちはだかります。
ダメですよ、とでも言いたげに。

「赤ちゃんに、元気に生まれて来てねってお話ししようとしてくれているんだよ」

ママがそう教えると、メロンはママの顔を見つめ、ゆっくりと身を引きました。

「偉いねぇメロン、妹を守ろうとしたんでしょ? お姉ちゃんだねぇ」

笑ってメロンの頭を撫でると、お友達はママのお腹にそっと触れました。

「あっ、キックした! あんたに似て、喧嘩っ早い子になるんじゃない?」

「何言ってんの、私に似たらおっとりした子になるでしょうが!」

いよいよ入院

「おっとりって…」とお友達は笑いましたが、赤ちゃんは本当に、おっとりさんのようでした。
予定日を一週間近く過ぎても、生まれてくる気配が全くありません。

「促進剤を使いましょう」

先生の判断で、入院することになりました。

「急にお腹が痛くなって、救急車で運ばれるものだとばかり思ってたんだけどなぁ…」

病室のベッドの上で、ママは独り言。
荷造りをし、バスに乗って病院に向かい、看護師さんに病院の中を案内してもらい…。のどかなものです。

「メロンは大丈夫かな」

数ヶ月ぶりにママと離れたメロンはどうしているのか、それだけが心配でした。

その頃メロンは、赤ちゃんとママの無事を祈っていたのでしょう。
なぜなら、初産で高齢出産のはずのママのお産は…。

  • 更新日:

    2021.05.23

いいなと思ったらシェア
ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。