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柴犬 小説
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2021.05.16

アマチュア小説ライターが綴る、犬と暮らした日々のこと【第2部】|vol.13

豆しば暮らし|ママがママになる

「今日さ、仕事の後で病院に行ってくるわ」
「どこか悪いの?」
「ううん、赤ちゃんができたかもしれないんだ」
「えええええ?!」

#柴犬 / #豆しば暮らし

笠井 ゆき/ライター、葬儀司会者

この記事は、アマチュア小説家が「犬と暮らした日々のこと」をもとに綴る創作物語【第2部】の連載第13話です。

おめでたですよ

30代の半ばを過ぎて、もう子供は授からないのかと思っていたママは、先生の一言に天にも昇る心地でした。

「おめでたですよ」

録音して、毎日聞きたいくらい。携帯の着ボイスにしてもいいかも。
そんなことを思いながら、弾む足取りで家路につきます。

その晩、高齢出産になるのだから体を労ることを第一に考えようというパパの言葉に後押しされて、ママは、しばらく仕事をお休みすることにしました。

「ねぇメロン。しばらくの間、ママは毎日お家にいるからね」

メロンは、首を傾げてキョトンとした顔をしています。

「もしかしたら、メロンが赤ちゃんを連れて来てくれたのかなぁ。ありがとうね、メロン!」

その言葉そのものを理解することは難しかったかもしれませんが、ママの気持ちはメロンに伝わっていました。
ギュッと抱きしめられて、メロンも幸せそうな顔をしています。

メロンはお姉ちゃんになるんだよ

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今日は、助産師さんが訪ねて来る日です。
高齢出産にあたり、注意すべきことなどをしっかりと教えてもらおうと、ママは準備に余念がありません。
メロンはママと遊びたくてならないのですが、何となくママの邪魔をしてしまいそうな気がして、おとなしくしていました。

「メロン、大事なお話があります」

メロンの様子に気づいたママが、優しく話しかけました。

「これからママのお腹がだんだん大きくなっていって、赤ちゃんが生まれるの。それは、メロンがお姉ちゃんになるってことなんだよ。ママはママに、パパはパパに、メロンはお姉ちゃんに。みんなで赤ちゃんを育てていこうね」

メロンは、じっとママの顔を見つめていました。

助産師さんがやって来た

チャイムの音と共に、メロンは玄関へ。助産師さんのお迎えです。

「あらー、かわいいワンちゃんですねぇ」

優しい笑顔を向けられて、メロンは嬉しくなりました。
リビングのソファに腰掛けた助産師さんの足元で、遊ぼう遊ぼうとはしゃいでいます。

コーヒーを淹れたママが助産師さんの向かいに座ると、助産師さんは、高齢出産とダウン症の話を始めました。
途端に、それまで和やかだった空気がピンと張り詰めます。

メロンははしゃぐのをやめ、ママの足元できちんとお座りをしました。

助産師さんとママが何を話しているのかわからないけど、きっと、赤ちゃんに関する大事なこと。
私はお姉ちゃんになるんだから、お利口さんにしていなきゃ。

メロンは神妙な顔で、二人の話に聞き入っています。
メロンもまた、赤ちゃんを迎える心構えをしているようでした。

  • 更新日:

    2021.05.16

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ライター・専門家プロフィール
  • 笠井 ゆき
  • ライター、葬儀司会者
  • 年中無休の犬好き、犬バカです。只今、自宅警備員まめお(パピヨン)と同棲中!犬を愛する喜びを、皆さまと分かち合ってゆけたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。