犬の病気の可能性を探る上で、血液検査と並んで大切なのが尿検査です。健康診断の際にも必須項目として行われています。
しかし、尿の成分の分析は動物病院で行うものの、採尿は飼い主さんが自宅で行わなければいけないことがほとんどです。そこで、正しい採尿の仕方や注意点について解説していきます。
動物病院から犬の採尿を頼まれた際に、尿を吸い取るためのスポイトと、尿を入れるための容器が渡されるかと思います。飼い主さんの役割は、スポイトで犬の尿を吸い取り、専用の容器へ移すことです。
ここでは、スポイトで吸い取る前の尿をどうやって溜めるのかについて、3つの方法を解説していきます。
外で排尿するのが習慣の犬の場合は、紙コップなどに直接尿を受け取るようにましょう。受け取るための容器は、清潔なものであれば何でも大丈夫です。 一度別の容器に溜めることで、スポイトでも吸い取りやすくなります。
犬が普段から使っているトイレシートを裏返しておくことで、尿を吸収させずに残すことができます。 後はトイレシートに溜まった尿をスポイトで吸い取り、専用の容器へ移しましょう。
トイレシーツを無駄にしたくないという場合は、サランラップを上に敷きましょう。サランラップを敷くことで、尿を採取した後の後始末も簡単になります。 しかし、トイレの様子がいつもと違うと、犬が排尿をしぶることもあるため、様子を見ながら行ってください。
犬の尿の中に関係のない細菌が混入してしまうと、正しい検査結果が出なくなってしまいます。したがって、犬の尿の中に余計なものが入らないように、尿を受け止めるための容器やトイレシーツは綺麗な状態のものを使用しましょう。
一言で尿検査といっても、動物病院では主に3つの検査が行われています。ここでは、それぞれの検査で調べられる項目と、どんな病気が分かるのかについて解説していきます。
一般性状検査では、見た目や比重といった、尿そのもの状態を検査します。検査するのは、主に以下の項目です。
一般性状検査で見る項目
これらの項目を検査することで、腎臓病や尿崩症の可能性を探ることができます。
尿試験紙検査では、試験紙を使用して、尿の細かい成分を検査します。検査するのは、主に以下の項目です。
尿試験紙検査で見る項目
見た目からは分からない尿の状態を調べ、糖尿病や尿路結石といった病気の可能性を探ることができます。
尿沈渣では、顕微鏡を使用し、尿に含まれる固形成分を観察します。確認するのは、主に以下の項目です。
尿試験紙検査で見る項目
獣医師が肉眼で判断できるため、数値では分からない尿の状態を知ることができます。尿結石や膀胱炎の可能性を探ることができます。
犬の尿検査に関して、よくある疑問に回答していきます。疑問点を事前に解消し、万全の状態で尿検査に望めるようにしましょう。
尿検査にかかる費用は動物病院によって変動します。 受ける尿検査の種類によって費用も変わりますので、かかりつけの先生に聞いてみてくださいね。
動物病院によって必要とされる量は変わってきますが、一般的に2mlほどあれば問題ないとされています。思ったより犬の排尿の量が少なかった場合は、最低でも0.5mlは確保するようにすることをおすすめします。
尿は新鮮な状態であるほど、検査結果が正確に出ます。したがって、3時間以内を目安とするといいでしょう。採尿した後は、鮮度を保つ意味でも冷蔵庫で保管しておくとことをおすすめします。
もし3時間よりも前に採尿した際は、何時間前の尿なのかを動物病院の受付で伝えるようにしましょう。
犬の尿に異常があると感じたら、市販のシリンジで採尿してから動物病院へ行くことで、スムーズに診察を受けることができます。 持参してもいいのかどうかは、あらかじめかかりつけの動物病院に電話で確認しておくと、なお安心でしょう。
尿検査は費用や手間も含め、とても手軽にできるのが魅力です。尿検査を行うことで、愛犬の体の中で起こっている異変にいち早く気づくことができるでしょう。採尿の際には、今回の記事を参考にしていただき、愛犬に合った方法で行うようにしてみてください。
もし検査結果に異常が見られても、焦らず、獣医師の指示に従いながら治療を進めていくことが大切です。定期的に尿検査を行い、愛犬の健康を保ってあげましょう。