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健康管理 / 病気

2021.04.06

犬アトピー性皮膚炎ってどんな病気?正しい知識を持って向き合おう

犬が耳の後ろを何度もなんどもカイカイしていたり、足先を執拗に舐めたりカミカミしていませんか?そんな症状がある時に診断される病名に犬アトピー性皮膚炎があります。以前は、アレルギー性皮膚疾患と診断されることが多かった皮膚の激しいかゆみを伴う病気です。アレルギー性皮膚炎はアレルギー性の炎症によって発症する皮膚疾患で、その代表的な疾患が犬アトピー性皮膚炎。一度発症してしまうと、治療が長期に渡ってしまうことが特徴です。10頭に1頭の割合で発症すると言われる犬アトピー性皮膚炎とはどのような病気なのでしょうか?今回は、犬アトピー性皮膚炎の原因と治療法について詳しくご紹介します。

文:西村 百合子/ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士

犬アトピー性皮膚炎とは?

アトピー 犬

アトピー性皮膚炎と診断されると、「かゆみの激しい治らない病気」とイメージしませんか?なんとなくどんな病気かわかるけれど、原因がよくわからない、動物病院では説明されたけれど理解できなかったなど、具体的にどのような病気なのか、原因は何なのかがわかりにくい病気がアトピー性皮膚炎です。まずは、アトピー性皮膚炎とはどんな病気なのかを詳しく知っておくことが大切です。

かゆみを繰り返す皮膚病

犬アトピー性皮膚炎は、炎症を伴うかゆみが起こるアレルギー性皮膚疾患です。初期の症状では、皮膚の赤みや丘疹と呼ばれる発疹が耳の内側、脇の下、鼠蹊部、足先などに認められます。激しいかゆみを伴うことが多く、同じ場所を何度も掻きむしってしまったり、舐め続けることがあります。

また、犬アトピー性皮膚炎は慢性化しやすく、皮膚の色素沈着や皮膚がゴワゴワになる苔癬化が起こります。ステロイドなどのかゆみ止めによって、一時的にかゆみは抑えられますが、しばらくすると再び発症してしまう治らない病気としても知られています。

さまざまな原因が絡み合って起こる

犬アトピー性皮膚炎の症状には個体差があることが特徴の皮膚疾患です。また、はさまざまな原因が絡み合って犬アトピー性皮膚炎を発症するとされています。なお、犬アトピー性皮膚炎は発症しやすい犬種があります。

犬アトピー性皮膚炎の好発犬種とは

遺伝的な要因から発症することが多い犬アトピー性皮膚炎。日本の症例では以下の犬種が好発犬種とされています。遺伝的要因が関係する病気のため人気犬種が多いことが特徴です。特に最近では柴犬の発症が増えてきていると報告されています。

犬アトピー性皮膚炎の好発犬種

  • 柴犬
  • シーズー
  • ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー
  • ミニチュア・ダックスフント
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ビーグル
  • トイプードル

犬アトピー性皮膚炎の原因とは?

アトピー 犬

人間では症状の数だけ原因があると言われているアトピー性皮膚炎。特定非営利活動法人「日本アトピー協会」によると、遺伝的要素、環境的要素(摂取要因・吸引要因、農薬・食品添加物)、心理的要素が原因としてリストに挙げられています。犬アトピー性皮膚炎の場合は、このほかに皮膚のバリア機能の低下が原因とされ、これら複数の要因が重なって発症するとされています。

遺伝的要素とは

犬アトピー性皮膚炎の原因として、アトピー素因の他に免疫が過剰に働く状態を引き起こす体内の物質IgE抗体を作り出しやすい体質であることも挙げられます。アトピー素因、IgE抗体どちらも体質と関係のあるもので、遺伝的要因が大きいとも考えられています。

アトピー素因とは

日本皮膚科学会ではアトピー性皮膚炎を「かゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気」と定義づけています。また、アトピー素因と言われる体質を持つ患者が多いと言われています。聞きなれないアトピー素因という言葉ですが、アトピー性皮膚炎を知るためには知っておきたいワードです。

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎のどれかを家族または自分自身が持っていること。ダニ、ハウスダストをはじめ花粉などに過剰に反応して、気管、鼻、眼、皮膚などに炎症を起こすアレルギー体質であることを指します。つまり、母犬や父犬などの血縁に犬アトピー性皮膚炎を発症した犬がいる場合は、犬アトピー性皮膚炎を発症する可能性が高いのです。

皮膚のバリア機能の低下

犬アトピー性皮膚炎を発症している犬は、皮膚の保水成分であるセラミドが少ないというデータがあるそうです。皮膚の保水成分が減少することで乾燥肌となり、皮膚の防御力が弱まってしまいます。バリア機能が低下すると、皮膚の表面からアレルゲンが犬の体内に入り込みやすくなってしまい、アレルギー症状を起こし犬アトピー性皮膚炎を発症してしまうのです。

環境的要素(摂取要因・吸引要因、農薬・食品添加物)とは

犬アトピー性皮膚炎は、体に入ったアレルゲンによっても発症します。犬にとってアレルゲンとなるものは、ハウスダスト、花粉、カビ、猫などのフケ、昆虫の死骸など。また、大豆、トウモロコシ、小麦、卵白、牛乳、七面鳥などの食物や農薬や添加物などの化学物質などもアレルギーの元となる場合があります。

心理的要素とは

人間の場合では、ストレスやトラウマの影響が引き金となり、アトピー性皮膚炎を発症することがわかってきました。犬の場合は、そこまでは解明されていませんが、犬にとってストレスやトラウマは健康を害する要因の一つとなる可能性もあるため、健康を維持するためにも、ストレスを極力受けない生活環境を作ってあげることが大切です。

犬アトピー性皮膚炎の治療法

アトピー 犬

一度発症してしまうと完治することはないとされている犬アトピー性皮膚炎ですが、適切な治療によってかゆみが減少する、皮膚の状態が改善するなどの効果が期待できます。また近年では、犬アトピー性皮膚炎の研究が進み、さまざまな薬が使用できるようになりました。まずは治療方法を理解して、獣医師と相談することが最適です。

長期にわたって治療が必要

完治することがない犬アトピー性皮膚炎は、長期にわたって継続的な治療が必要となります。そのため、薬との相性や自宅でのこまめなスキンケアなど、犬の体の負担にならない方法を選択することが求められます。

一般的な治療方法では、皮膚のバリア機能を高めたり、菌が増えないように皮膚の状態に合わせたシャンプーなどのスキンケアやかゆみ止めの塗り薬の他に、ステロイドの内服薬が処方されます。また、近年では免疫抑制剤、分子標的薬といった高度な治療や体質改善を目的とした減感作療法なども行われています。

犬にとって辛いアトピー性皮膚炎は体質に合った治療法を選択してあげて

アトピー 犬

かゆみが強く犬にとってストレスが大きいアトピー性皮膚炎。遺伝的な要因が大きく、発症しないためのこれといった予防法は残念ながらありません。また、発症の原因には複数の要因が関係するため、一つ一つを丁寧に診察してくれる動物病院を見つけることも大切です。最近では研究が進み、さまざまな治療法を選択することが可能となっています。治療には複数の方法を組み合わせることが推奨されているので、一つの治療で良くならないからと諦めずに、気長に原因を調べ適切な治療法を選択してあげてください。

参考文献
  • 更新日:

    2021.04.06

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。