犬が前足を噛む理由はいくつか挙げられます。
犬が前足を噛む原因にはまずストレスが挙げられます。ストレスの原因は「飼い主が遊んでくれない」「大きな音が聞こえる」などさまざまです。犬が前足を噛んでいるときは、なにか緊張したり、怖い思いをしたりするようなことがなかったか確かめてみましょう。
犬は、かゆみがあるときにも前足を噛むことがあります。かゆみの原因は虫刺されから草や花粉のアレルゲンなどさまざまです。肉球や指の間はアレルギーやアトピーによるかゆみが発症しやすい場所なので、噛むしぐさが見られたときには、皮膚を観察してみるといいですね。
犬が前足を噛むときは、捻挫や打撲、とげが刺さっているなど痛みがあることも考えられます。原因が分かりにくいときには早めに受診してあげましょう。
しびれや麻痺が生じ感覚が鈍ると、犬は自分の前足や後ろ足を自分の足だと認識できずに噛んでしまうことがあります。しびれは長時間同じ姿勢でいることで起こりますが、しびれや麻痺にはそのほかもっと重要な病気が隠れていることもあります。ほかの症状が見られないか、一緒に観察してみてください。
犬が前足を噛むときの症状から考えられる病気には、皮膚病や骨折、神経系疾患があります。
噛むしぐさと同時に、赤く腫れたり毛が抜けてしまったりしている場合は、単純なかゆみではないかもしれません。放っておくとさらに噛んでしまい、症状が悪化してしまうこともあります。
犬が前足を噛んだり、舐め続けたりするなどのしぐさに加えて、足先の赤みや腫れ、脱毛などの症状がみられる場合、皮膚病を発症している場合が考えられます。
一時的なかゆみではなく、食物や花粉によるアレルギー性皮膚炎や遺伝的要因が含まれるアトピー性皮膚炎では、場合によっては完治が難しく、長期にわたる治療が必要です。
皮膚真菌症は、糸状菌というカビにより起こる皮膚病です。全身に及んでしまうため、局所的な対応では治癒できず、長期間の治療が必要になります。人に感染することもあるため、抵抗力が低い幼児や高齢の方は手洗いを徹底するなど、気を付ける必要があります。
このほかにあるのが、ダニなどの外部寄生虫が原因の皮膚病です。ノミやダニに関しては予防薬もあるので、定期的に投与しておくことが大切です。寄生虫によっては飼い主さんもにも皮膚炎を感染させるものもありますので、疑わしい場合は速やかに受診をし、必要に応じて生活空間を別にするなどの対処が必要になる可能性もあります。
噛むしぐさ以外に、犬の前足が腫れたり熱を帯びたりしているときは、怪我をしていることが考えられます。
捻挫は、歩き方がおかしいことや、触られるのを嫌がるなどの症状を伴います。痛み止めの投与により早期に治ることが多いです。長引くようであれば病気も考慮してみましょう。
骨折の場合は、治療が簡単ではありません。骨折したときからできるだけ早い時期に適切な治療をすると、負担がより軽減される可能性があります。
犬が前足を噛むようになったり、歩き方がおかしかったりなど、普段と違う症状が見られたら早めに受診してあげましょう。
犬の前足が動かないときには、神経系疾患を発症していることがあります。
犬が前足を噛むしぐさに加えて、足が動かないときには、椎間板ヘルニアや外傷性の疾患によりしびれや麻痺が生じていることがあります。
原因は、先天性のものから加齢、外傷性のものまでいろいろです。ふらつきや歩行時の違和感が見られたら、早めに受診してあげましょう。
犬が前足を噛む原因により、対処法はいろいろあります。
ストレスにはいろいろな要因があります、まずストレスの原因を突き止めてあげましょう。一人の時間が多くてさみしいときには、おもちゃなど気が紛れるものを用意してあげるといいですね。雷や花火など大きな音が聞こえるときには、雨戸を閉めたり、音楽を流してあげたりするなどの対策をとりましょう。
アレルギーによるかゆみのために、前足を噛んでしまう場合には、まずアレルギー対策をしてあげましょう。フードを低アレルゲンフードに変えることもひとつの方法です。場合によってはアレルギー薬やかゆみ止めの使用も必要になります。
皮膚のバリア機能低下は乾燥を引き起こしたり、皮膚疾患の原因になったります。乾燥してかゆみなどがあるときには、保湿剤や保湿クリーム、シャンプーなどにより皮膚を潤して皮膚のコンディションを上げてあげると改善されることもあります。
あまりに噛み過ぎて傷や皮膚炎を引き起こしてしまう場合には、物理的な対策法としてエリザベスカラーを装着して噛むことをやめさせたり、噛む部位を保護したりする必要もあります。
麻痺やしびれ、痛みに対しての対処は簡単ではありません。このような場合には早めに動物病院を受診して、原因の追究に努めましょう。
犬が前足を噛む原因はいろいろあります。暇つぶし程度のものから、重大な病気が潜んでいることもあり、その場合には早急な処置が必要になることもあります。犬がいつもと違う様子だったり、長期間にわたって前足を噛んだりする場合には、犬の前足をよく観察してみてくださいね。