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健康管理 / 病気
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2021.04.15

犬が喜ぶツボ押しを図解!始める前の注意点もご紹介

私たち人間と同じように、犬の体にもたくさんのツボがあります。ただ押すだけではなく、お灸や鍼治療の時にも押さえるポイントがツボです。東洋医学では、エネルギーのたまり場のことを「ツボ(経穴)」と呼びます。人間のツボ押しはWHOも認める治療法ですが、最近では犬のツボ治療として、鍼やお灸を施術する動物病院も増えてきています。
今回は、お家でもできる愛犬のためのツボ押しについて、犬の身体にあるツボの場所を図解しながら、身体や各器官への作用について詳しく解説します。

文:西村 百合子/ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士

ツボとは?犬のツボはどこにある?

犬 ツボ

中国では、紀元前2世紀頃から体を流れる「気」のルートとなる「経絡(けいらく)」という考えが生まれ、漢王朝の時代には、中医学のバイブルとも言われる文献に書き記されています。

この経絡にあるエネルギーの溜まり場がツボです。日本には、6世紀ごろ中国の文献が伝えられたと言われ、その後日本独自の伝統医学である東洋医学として現在に伝えられているのです。

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経絡(けいらく)とは

経絡(けいらく)とは、皮膚の下を縦に通るエネルギーの道です。

犬の経絡は全部で20本あると言われ、中でもメインとなる経絡は12本です。残りの8本は、メインの働きを助ける役割を担う「奇形八脈」と呼ばれる経絡です。

経絡は、東洋医学で「気」と呼ばれる活動エネルギーと「血」と呼ばれている栄養が通る通り道です。つまり、血液や体液と関係のある生命エネルギーの源「気」と、食べ物から摂取した栄養を体の隅々まで運ぶ働きをしている「血」が流れているのが経絡です。

犬のツボはどこにある?

経絡の上で、活動エネルギーの「気」がたまっている場所が「ツボ」です。ツボのことを、東洋医学では経穴と呼びます。

人間と同じように犬も全身にたくさんのツボがあります。WHOが認めている人間のツボは361個で、犬にも同じだけまたはそれ以上のツボがあると言われます。この経絡上にあるツボを刺激することで、気の乱れを整え、不調を取り除くというのが東洋医学の考えです。

ツボが集まっている経絡には、肺に関係する肺経、内臓に関係する大腸経、胃経、脾経、小腸経、腎経、胆経、肝経、心臓に関係する心経や膀胱に関係する膀胱経などがあります。

また、経絡のサポート役である任脈、督脈もツボが集まっているところです。これらの経絡上にあるツボの大きさは直径約1~5mm。ボールペンのペン先ほどの大きさです。

犬のツボ押しで得られる効果とは

ツボを押すことで、気の流れが良くなることから体調が良くなると言われています。また、自然治癒力を高める効果もあるのです。毎日、飼い主にツボ押しされることで、痛みが和らいだり、病気予防につながる可能性もあります。

犬が気持ちいいツボ押しのポイント5つ

犬 ツボ

私たち人間が、肩が凝っている時やお腹が張っていると感じている時に、ツボを押すと楽になるを感じることはありませんか?犬も、さまざまな体の不調がある時にツボを押してあげることで、気持ちいいと感じるのです。
ここでは、犬が気持ちいいと感じるツボ押しのポイントと注意点をお伝えします。

症状に合わせてツボを選ぶ

ツボは、犬の体の各臓器や器官に関係する経絡にあるため、症状に合わせたツボを押すことが大切です。むやみやたらに押していくというよりは、「こんな症状があるからここを押してあげよう」という風に、目星を付けてからおこないましょう。

厳密に探そうとしすぎない

前述のようにツボは非常に小さい点であるため、ピンポイントのツボを探すのは大変です。ツボ押しをするときは、「だいたいこの辺」という感覚で行うことがおすすめです。多少場所がずれていても、ツボ押しの刺激はツボに伝わり効果が得られます。

始める前に合図する

初めてツボ押しをするときやツボ押しをする前に、まずは「これからツボ押しをするよ」と、合図をすることが大切です。合図の仕方は、首から尻尾の付け根にかけて、背骨に沿って手のひらで優しく数回撫でてあげましょう。犬の背中には、免疫アップのツボがたくさんあるので、撫でてあげるだけでもツボ押しと同じように効果があります。

大の身体のサイズに合わせた押し方を

ツボを押す時には、大型犬の場合は親指の腹で、小型犬の場合は人差し指の腹や綿棒を使って行いましょう。まずは、自分の腕に指を当てて、どのぐらい押すとどの程度の力がかかるのかを確認しておくことがおすすめです。

嫌がる場合は無理をしない

ツボ押しをするときは、指の腹部分をツボにあて、ゆっくりと力をかけながら約3秒ほど押し、ゆっくり指を離しましょう。もし犬が嫌がったら、力を緩めるか指を離してください。あまりに嫌がる場合は、そのツボに関連する臓器などに不調をきたしている可能性もあるため、無理に押さないようにしてください。

犬のツボ押しの注意点5つ

犬 ツボ

犬にも効果のあるツボ押しですが、犬にツボ押しをするときには次のことに注意して行いましょう。

  • 食後にツボ押しはしない
  • ケガをしている場所には触らない
  • 嫌がる場所は無理にツボ押ししない
  • 爪は短く切ってから
  • アクセサリーははずしてから

犬のツボ押しをやってみよう!【図解】

犬 ツボ

では、ポイントと注意点を踏まえて、愛犬のツボ押しをやってみましょう。

まずは、背中の皮膚を引っ張ってみよう

犬 ツボ

犬の背中には頭頂部から尻尾の付け根にかけて、背骨に沿って督脈という経絡があります。この督脈には、たくさんのツボがあります。たくさんのツボを1個ずつ探し当て押すのは大変ですが、背中の皮膚を両手で引っ張り上げることで多数のツボを刺激することができます。

健康な犬の皮膚は、引っ張るとよく伸びることが特徴です。もし、部分的に引っ張ると皮膚が硬く感じたり、伸びが悪い場所があったら、そのツボに関連する臓器や期間に何かしらのトラブルが起きている可能性があります。

犬の首、肩のこりを解消するツボ

犬は、飼い主を見上げることが多いため、肩が凝りやすいと言われています。
また、散歩の時に引っ張る傾向のある場合は、首が凝っている可能性があります。特に、シニアは首が凝っていることが多いので、ツボ押しでコリを解消してあげましょう。

ここをツボ押し:督脈(とうみゃく)

犬 ツボ 督脈

首や肩こりを解消するには、首から背中にかけて走る督脈を刺激してあげましょう。首の皮膚を引っ張り上げることで、たくさんのツボが刺激できます。

犬の免疫力アップ、腎をサポートするツボ

東洋医学では、ホルモン、免疫系、泌尿器系、生殖器系の働きを指し、生命エネルギーを貯蔵する機能を「腎」と呼びます。骨、脳、髪(被毛)や肺の働きをサポートするのも「腎」です。

ここをツボ押し:湧泉(ゆうせん)

犬 ツボ 湧泉

「腎」の働きをサポートするツボの一つが「湧泉」。湧泉のツボは、一番大きな肉球の付け根にあります。ここを親指で、つま先に向かって押し上げるように押してあげましょう。

ここをツボ押し:腎兪(じんゆ)

犬 ツボ 腎兪

腎臓の近くにあるツボで、腎疾患に効果がある事から腎兪と名付けられています。
ここを押すと、内臓全体がリラックスできます。腎兪のツボは、最後の肋骨の上、背骨の両脇にあります。このツボは疲労回復にも役立つとされています。

犬の胃腸の調子を整える4つのツボ

犬の不調で比較的多いのが、便秘や下痢です。そんな時に刺激してあげたいツボが尻尾の付け根から肋骨の下まで並んでいます。

ここには、大腸兪、関元兪、小腸兪と3つのツボがあり、押してあげることで、腸の神経を刺激し、胃腸の調子を整える効果が期待できます。

どのツボも背骨の両側にあるので、背骨を挟んで両側を押してあげましょう。また、食欲不振の時など胃腸の調子が悪い時には、お腹側にあるツボの中かんを刺激してあげましょう。

ここをツボ押し:大腸兪(だいちょうゆ)

犬 ツボ 大腸兪

腎兪のすぐ下にあるツボです。第4腰椎と第5腰椎のあいだ(尻尾の付け根から数えると、4番目と5番目の腰椎のあいだ)にあります。
犬には7個の腰椎がありますが、胸側から第1腰椎が始まり、尻尾側の第7腰椎まで順番に数えられます。

大腸兪は、特に便秘に効果が大きいとされているツボで、便秘の時は少し強めに押してあげましょう。

ここをツボ押し:関元兪(かんげんゆ)

犬 ツボ 関元兪

大腸兪よりひとつ尻尾側にずれた場所にあるツボです。第5腰椎と第6腰椎のあいだにあるツボが関元兪です。
このツボも特に便秘に効果があります。

ここをツボ押し:小腸兪(しょうちょうゆ)

犬 ツボ 小腸兪

関元兪よりひとつ尻尾側にずれた場所にあるツボです。第6腰椎と第7腰椎のあいだにあるツボが小腸兪です。
血便や血尿に効果のあるとされるツボです。また、腰痛にも効果が期待できます。

ここをツボ押し:中かん

犬 ツボ 中かん

犬の「みぞおち」と「へそ」を結んだ線の真ん中にあるツボが中かん(「かん」は、にくづき「月」に完了の「完」と書きます。)です。
中かんは食欲不振だけではなく、嘔吐や下痢などにも効果があるとされています。このツボを刺激するときは、指で押すよりも優しく円を描くように撫でてあげましょう。

犬もツボ押しでリラックス!

犬 ツボ

犬も人と同じように、ツボ押しすることで不調の改善や健康増進効果が期待できます。ご紹介したツボは代表的なツボですが、この他にも犬が気持ち良いと感じるツボはたくさんあります。ツボ押しのポイントは、強く押しすぎない、嫌がる場所は押さないこと。全身を軽く押してあげることでも効果が期待できます。毎日、数分でもいいので食後のリラックスタイムにツボ押しでスキンシップをとってみてはいかがでしょうか。

参考文献
  • 犬の東洋医学生活管理士 テキストブック
  • 更新日:

    2021.04.15

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ライター・専門家プロフィール
  • 西村 百合子
  • ホリスティックケアカウンセラー、愛玩動物救命士
  • ゴールデンレトリバーと暮らして20年以上。今は3代目ディロンと海・湖でSUP、ウインドサーフィンを楽しむ日々を過ごす。初代の愛犬が心臓病を患ったことをきっかけに、ホリスティックケア・カウンセラーの資格を取得。 現在、愛犬のためにハーブ療法・東洋医学などを学んでおり、2014年よりその知識を広めるべく執筆活動を開始。記事を書く上で大切にしていることは常に犬目線を主軸を置き、「正しい」だけでなく「犬オーナーが納得して使える」知識を届ける、ということ。