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2021.04.28

小説|雨野さん家のたねとまめ|vol.20

雨野さん家のたねとまめ|雨野さん家のお姉ちゃん

吾輩はたねである。今朝からなんとなく落ち着きがないこの家は雨野さん家。まめは気付かずまだお休み中の朝である。

#たねとまめ

篠目 春行/アマチュア小説家、シナリオライター

この記事は、猫の「たね」と犬の「まめ」の暮らしを描いた、アマチュア小説家による創作物語の連載第20話です。

雨野さん家は五人家族。お父さんお母さん、お兄ちゃん妹ちゃんとそれと…。

女の人の声

「たっだいまー」

お母さんでも妹ちゃんでもない、女の人の元気な声が玄関から聞こえる。それに気付いたお母さんは忙しそうに、でもどこか嬉しそうに台所から出て来た。

「お帰り。もう、突然帰ってくるって言うからびっくりしたわよ朝日」

「ごめんごめん」

お母さんよりちょっぴり背の高い女の人、もといお姉ちゃんは大学に通うため遠くで一人暮らしをしているらしい。基本的に大雑把で適当な人だから、時たまこうやって予定も立てずに突然帰ってくるのだ。

朝日お姉ちゃん

「おーニャンコロ久し振り〜」

お母さんと喋り終えたお姉ちゃんは、たねを見つけるやいなやわちゃくちゃに撫で回し始めた。って、ちょっと! また手を洗ったあとちゃんと拭いてないでしょ!! たねの毛がびたびたなんだけどー!

手はちゃんと拭かないし撫でかたは乱雑だしたねのことは変な名前で呼ぶしで、たねはお姉ちゃんのことが少し苦手なのである。

「わふ?」

騒ぎ、というかお姉ちゃんの大声に起こされたようで、まめがあくびをしながらとことこ歩いて来た。まだ眠いみたいでちょっとふらふらしてる。そんな寝ぼけながら歩いたら危ないでしょうに。

ワンコロ

「おっ! お前が噂のワンコロか!」

ふらふらするふわふわを見付けたお姉ちゃんは、抱えてたたねをぽいっと投げて(こういうところがほんと大雑把!!)今度はまめの頭をわちゃくちゃに撫で始める。

「ワンコロじゃなくてまめちゃん。たねちゃんだってニャンコロじゃなくてたねちゃんなのにねえ」

「にゃー」

もっと言ってやってよお母さん。

心外なんですけど

「まめつぶ可愛いじゃん〜よしゃよしゃ」

…こういうところが以下略。

まめはそんな大雑把なお姉ちゃんの撫でかたでもいいらしく、なされるがまま撫でられている。

「まめつぶ大人しいね、たねより大人しいんじゃない?」

!?

いやいやいや! それはない! ないよお姉ちゃん! まめは今寝起きだから大人しいけど、いつもはやんちゃで暴れん坊で騒がしいんだから!

まめがちゃんと起きればお姉ちゃんもびっくりするんだからね!

しかしたねの抗議虚しく、お姉ちゃんの中ではまめは大人しくて可愛い犬として認定されてしまい、少しも納得できないたねなのであった

  • 更新日:

    2021.04.28

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ライター・専門家プロフィール
  • 篠目 春行
  • アマチュア小説家、シナリオライター
  • 柔らかな文体での創作物語を中心に活動しています。 飼い主だけでなく他の動物と交流する犬の可愛さを、私の文章で色んな人にお伝えできたら嬉しいです。